ディエゴ・サンチェスのナイトメア殺法

「Strikeforce: Feijao vs Henderson」大会より

ティム・ケネディ def メルビン・マヌーフ(1R3分41秒リアネイキドチョーク)

ケネディがマヌーフにほとんど打撃を出させず、最後はしっかりとマウントからバックマウント、落ち着き払ったリアネイキッドチョークで極めた。マヌーフはいいところなく、ちょっと悲しい。もう研究され尽くされてしまったか?

ダン・ヘンダーソン def ハファエル・フェイジャオン(3R0分50秒TKO)

1R、フラッシュダウンをうばったダンヘンが終始トップポジションでコントロール。ダンヘンの方が体格は小柄だが圧倒している。2Rも打撃で勝るダンヘンがプレッシャーを掛けてケージに押しつけ、クリンチからの投げでトップをとる。中盤フェイジャオンがスイープしてダンヘンの動きを止めたが、攻め手がなくブレイクを命じられる。フェイジャオンは精彩に欠け、チャンピオンに見えないし、何をやりたいのかもよくわからない。3R早々、「Hボム」と呼ばれるダンヘンの右がヒット、うつぶせにダウンしたフェイジャオンにパウンド追撃でダンヘンTKO勝ち。40歳にしてますます盛んなダンヘンがストライクフォース・ライトヘビー級チャンピオンに!

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「UFC Live on Versus 3: Sanchez vs. Kampmann」大会より

水垣偉弥 def ルーベン・デュラン(3R終了 判定)

デュランはエドガー・ガルシア的というのか、アメリカ版加藤友弥というのか、悪そうな顔ですごいスピードのパンチを大振りしてくるタイプ。これに対して水垣は、落ち着き払って大人の対応、見ていて何の不安感も抱かせない完勝を収めた。立ち上がり、まだ距離を測りかねているようなときに不意に一発食らって目が腫れてしまった以外は、スタンドでもクリンチでもテイクダウンでもトップコントロールでも、全局面で圧倒。もはや、あえてフィニッシュは狙う必要などなしという印象。さすが、トレスやフェイバーと激闘を重ねてきただけのことはある。いうちゃなんだが、KID や小見川の負け方を裏返したような勝ち方だった。一人のジャッジが30対27でデュランにつけていたのは驚いた。どこをどう見ていたのか見ていなかったのか、1%も理解できない。危うくまた星を盗まれるところだった。

ディエゴ・サンチェズ def マーティン・カンプマン(3R終了 判定)

頭髪を剃り上げ、気合満点すぎて物騒な表情で登場のサンチェス、試合前にはニックネームの「ナイトメア」をやめて単に「ディエゴ・サンチェズ」で行くよと語っていたが、ブルース・バッファーは思いっきり「ディエゴ・ザ・ドリーム・サンチェス」とコールしていた。試合の方は立ち上がりから、どうみてもリーチの長いカンプマンの射程距離が保たれていて、カンプマンのジャブがじゃんじゃんヒット、サンチェスはさっそく鼻血ブー状態となる。解説の岡見も「サンチェスはパンチがまるで見えていない」とクールに突き放す。しかし、打たれても打たれても、サンチェスは前進するのである。前進すればするほど、カウンターのジャブやストレートを浴びて、とうとう両目とも腫れ上がって流血、それでも最後まで前進をやめない、ゾンビのような恐ろしい様子には、さすがの解説の高島学先生も「脳内麻薬でも出ているんですかね」などと、いつもの鋭い技術分析力が鈍ってしまっていた。

ずっと前進してプレッシャーをかけ続けて、Octagon Contorl の観点からスコアを取っていたように見えたのはサンチェス、しかしサンチェスのボコボコの顔を見ていると、 Effective Striking の観点ではカンプマン優位。判定はユナニマスでサンチェス。勝ち名乗りを受け両手を突き上げながら、両目から血を吹き出すサンチェスの姿は、やっぱりどうみても「ザ・ドリーム」というよりは「ナイトメア」がぴったりであった。


●Yahoo Sports によると、ダナ・ホワイトは試合終了直後にこの試合を「Fight of the Night」に決定。ボーナスの額は、「Knockout of the Night」「Submission of the Night」が4万ドルだったところ、この試合の両者には6万ドルを支給した。さらにそれだけでは飽きたらず、30分後、ホワイトは両選手に10万ドルの追加ボーナスを決めたというからたまらない。この日のゲート収入は47万ドルだったそうだが、メインイベントの二人へのボーナスだけで32万ドルをふるまったことになる。こういうボーナス、賛否あるだろうけど、もらった選手はさぞかしやりがいがあるだろうなあ。

ダナ・ホワイト

こういう試合のことはけして忘れない。信じられない試合だった。80年代のボクシングで時々見かけた戦争のような試合だった。ディエゴ・サンチェズは最高にタフなシットの一人だ。まさにドッグファイトで、両者が最大の力を発揮したと思う。カンプマンには黒星がついたが、これは負けじゃない。この試合に敗者はいないよ。

判定はサンチェスでいいと思う。ヤツらは今日、稼いだよりたくさんの金をもらうことになる。二人とも、ウエルター級のトップ選手だ。こんな試合をした以上、二人ともタイトル戦線にいる。



ディエゴ・サンチェズ

試合中考えていたのは、「ヒットしろ」「ヒットしろ」ということだった。右フックでヤツを沈めるつもりだった。何度かヒットしたがヤツは倒れなかった。途中でゲームプランを投げ出して、ストリートファイトにしてやった。ハートの強さだけは見せることが出来ただろう。ファンが見たがるものを提供したつもりだよ。UFCのオクタゴンではこれが20戦目だった。こんな戦争のような試合は、20戦記念にぴったりだ。

乱打戦の最中にはある意味エクスタシーを感じていたよ。わかるかな。多くのUFC選手は、1Rで試合をフィニッシュすることを夢見るものだけど、今日のような試合だと、年を取ったときに、「あれはすごい乱打戦だったなあ」と思い出せるだろうね。65歳になったら、マーティン・カンプマンに電話をかけて、「あの時リングでフックで殴り合ったよなあ」っておしゃべりすることも出来る。忘れられない乱打戦になった。楽しかった。



>個人的にはこれ、名勝負だとは思うんだけど、それよりなにより、サンチェスの鬼気迫る気迫に引いてしまうばかりだった。見ているだけで引くのだから、やってる人はさぞ引いただろう。これは体に悪そうな試合だ。いまのUFCで「根性で勝つ」には、こんなにもナイトメアな気迫が必要なのかと感心した。ダナ・ホワイトにとっては、全日四天王の激戦に涙する馬場のような気持ちだったのかもしれない。実際に大判振る舞いするところがずいぶんとちが(以下自粛)

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【第170回“このプロレスがすごいベスト3”論 】(東京ポッド許可局)




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[格闘技][UFC][詩]UFCで名勝負。勝者ディエゴ「年を取ったら相手に電話して『あの時殴りあったな』と言える」

■ディエゴ・サンチェズ def マーティン・カンプマン(3R終了 判定) UFCといってもいわゆる「UFC on Versus」。日本だと公式的には、ひかりTV加入者が見ることができる。 http://omasuki.blog122.fc2.com/blog-entry-1014.html には試合展開も書いてあるが、ダナ・ホワ

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