MMA選手の形成外科矯正是非論

レスリング・オブザーバ(web)によると、3月26日UFC Fight Night 24 でレナード・ガルシアと対戦予定だったナム・ファンが負傷欠場することとなり、代役に「コリアン・ゾンビ」ジョン・チャンソンが起用されることとなった。昨年のファイト・オブ・ザ・イヤーに推す人も多かったケンカファイトの再戦である。

7月2日のUFC132では「BJペン vs ジョン・フィッチ」の再戦が行われることになった。また、ライト級のタイトルコンテンション・サバイバルマッチ「ジョージ・ソティロポロス vs エバン・ダナム」も予定されている。

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UFCと完全統合後のWECファイターが余り目立っていないなあ、埋もれてしまったかなあという印象を持っていたのだが、Headkick Legendがこれを裏づけるようなデータを紹介している。UFC初のフェザー級の試合が行われた昨年の12月4日大会から週末のUFC128まで、UFCでは全90試合を行ったが、その階級別分布は次の通りであり、軽量級の試合自体が他階級比で少なくなっている。

ライト級 25試合
ミドル級 16試合
ウエルター級 15試合
ライトヘビー級 11試合
フェザー級 10試合
バンタム級 8試合
ヘビー級 5試合

これらの試合のテレビ放映状況は次の通りであった。

PPV 25試合 (うちバンタム級2試合、フェザー級0試合)
無料テレビ放送 24試合 (うちバンタム級1試合、フェザー級3試合)
ネット放送 13試合 (バンタム級1試合、フェザー級2試合)
放送予定無し 28試合
うち、結果的にPPVか無料テレビで放送されたもの 9試合

結果的に、この4ヶ月間で何らかの形でテレビ放送された58試合のうち、バンタム級は3試合、フェザー級は3試合しかなかったことになる。4ヶ月あれば、WECなら2大会を開催出来ていたと思うので、やはり露出は大きく減っている。現にWECでは滅多に前座に回されることの無かった水垣の試合も、米国では放送すらされていないし、UFC128に登場のバンタム級トップコンテンダー、ジョセフ・ベナビデスの試合も放送予定がない。これでは、UFC併合によるスポンサーマネーのアップなどのメリットが享受できないことだろう。

これからジョセ・アルドやユライア・フェイバー、ドミニク・クルーズらが登場したり、軽量級TUFが行われると、WEC勢の存在感も増してくることとは思う。しかし現在のUFCの登録選手数は260名(WEC併合直後は270名、ストライクフォース登録選手を含まず)。最近2大会では一人もカットされておらず(3連敗となったジョー・スティーブンソンもカットされない見通しだそうだ)、人減らしが案外進んでいないことを思えば、軽量級受難の時期はもう少し続きそうな印象である。

逆に言えば、日本のMMAが世界最強幻想(錯覚?)を作り得るのは、これらの階級と言うことになるのかもしれない・・・

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The Cutting Edge: How MMA Fighters Face Pugilistic Plastic Surgery (Wired)

ニック・ディアズがKJヌーンの打撃で流血負けをした試合(2007年11月)を見ていた外科医のフランク・スタイル (Frank Stile) 氏は、ディアズにひとつの提案をした。「その傷口のベタベタした組織を全部取り除いて、遺体から取ったあたらしい組織に入れ替えてみては?」このような手技は美容整形目的で行われているものであるが、スポーツ選手に適用されたことはなかった。結果的にスタイルの勘は当たっていた。強固に補強された新しい皮膚は、ディアズの元々の皮膚より優れていたのである。手術後のディアズは9試合連続で、ほとんど流血をしていない。

スタイル医師は「トレーニングや試合で怪我をしたとき、どんな風に治療をしたかがポイントなんだ。通常は、形成外科医以外の、例えば救急の医師やリングサイド・ドクターによって傷口が閉じられる」と語っている。

その際、複層的な処置は行われず、ごく表面だけが縫合される。すると、また打撃を受けたときに、まるでティッシュペーパーを打ち抜かれるようなことになる。その後また表面だけを閉じるというサイクルを繰り返すことになる。それで選手は星を落としたり、ボーナスをもらえなかったりする。

ディアズの場合は骨格構造にも問題があった。

「ほお骨やまゆ毛、鼻のブリッジなどに突起があって、鋭い角が出来ている場合、その場所をカットされてしまうことになる。オスカー・デラホーヤのような選手の顔がハンサムなのは、打たれていないからではなく、カットされる素因がないからなんだ。」

スタイル医師はディアズのまゆ毛を切り開き、内部の傷ついた組織を全部取り除き、骨を露出させ、表面が平らになるまで削った。そして、骨の上に骨膜を載せ、消毒済みの遺体の組織から抽出した再生コラーゲンの糸を詰め込んだ。

術後しばらく、ディアズの顔は腫れが引くまでフランケンシュタイン状態だったという。


スタイルの主張は、この手術はあくまで「修正」のためのもの、繰り返される不十分な縫合によるダメージを取り消すためのものであって、「増強」を意図したものではないと主張している。「私が患者の顔から除去しているクズのようなものを見ればいい。絹糸で縫ってあることもある。そんなもの、いまや獣医ですら使わない」

バイオエシックスの専門家、ウエスト・スコットランド大学のアンディ・マイア(Andy Miah)氏は、スポーツやヒューマン・パフォーマンスの堕落は、もうとっくの昔から始まっていることだという。

「何十年も前にペニシリンや麻酔が発見されたころから、美容形成や機能向上手術の恩恵に至るまで、われわれはとっくの昔に一線を越えている。スポーツも例外ではないし、格闘技もその道を歩んでいくのだろう」

大腿四頭筋から上腕二頭筋への筋肉移植は一つの可能性だ。あるいは、アンクルやエルボーと言った関節の強化は、関節技の一本を減らすだろうし、気管軟骨の強化はリアネイキッド・チョークによるタップを減らすだろう。アゴのラインにシリコンを埋め込めば、強烈な打撃を感じにくくなる。

それは極論だと言うのであれば、タイガー・ウッズがレーシック手術を受けて以来、10大会中7大会で優勝していることはどう考えればいいのだろう。

ワシントン大学の形成外科医マシュー・マタバ氏 (Matthew Matava)によると、「私が施術したアスリートは、だいたい10~15回目の手術だと言っている。もし選手に、ある手術を受ければ選手寿命が5年延びますよと提案すれば、ほとんどの選手が同意することになると思う。それらの手術に本当に効果があるというエビデンスが確立していることを祈るよ」

マイア氏「何らかの施術を受けていないようなアスリートは、もはや太刀打ちできないようになり、引退に追い込まれるか、施術に追い込まれるか、どちらかになるのではないかと思う。でもそれって、憂慮すべきことなのでしょうか。私はそうは思わない。タフな競争社会でエリート選手になりたければ、犠牲を払う必要があると言うことかもしれません」


差し迫ってリスクが高いのは、スタイル氏のような施術を、経験の浅い医師が行ってしまうことによる事故である。ヴァンダレイ・シウバは2009年にしばらく姿を消した時期があり、その後ソフトな主婦のような顔で復帰した。これについてスタイル氏は、「男性の眉は自然な位置に残さないといけないんだ。男性の眉を切開するときには、傷の部分だけを取り除くこと。肌を取り除きすぎると、縫合したときに眉があがってしまい、女性的な、猫のような表情になってしまう」

パフォーマンスを改善するこのような手術の有効性については、現在ボクシングコミッション協会が検討を重ねており、夏頃までに答申が出る予定となっている。

オスカー・ピストリウス(両足義足の短距離走選手)が、パラリンピックでなく、2010年ロンドン五輪に出場することにでもなれば、「強化肉体」についての人々の認識が大きく変わるだろう。「文字通り、技術が進化を超えることになると思う」とマイア氏は語っている。


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FEGはギャラ未払い、戦極は消滅へ、海外では買い叩かれ──お茶の間から格闘技が消える日(日刊サイゾー)




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