クリス・ライトル劇場終焉【出来すぎの感も・・・】

クリス・ライトル def ダン・ハーディ (8月14日 UFC on Versus 5: Hardy vs. Lytle)

クリス・ライトル (36) が試合前に引退を発表、勝っても負けても、この試合がラストマッチとなることになった。

試合前のライトルの引退コメント。

98年からずっと戦ってきたが、その間家庭での責任は果たせずにやってきた。自分がなりたい父親像になれていない。いるべき時にいてやれなくて、4人の子供に対してひどい罪悪感を持ってる・・・だから今回の試合を最後の思い出にする。この試合にはこれまでにないくらい勝ちたい。人から、「何であいつは辞めちゃうんだ?戻ってきて欲しいよ」なんて惜しまれたい。そんな風に終わることが夢なんだ。



ライトルは計量のときにダナ・ホワイトに退職届と感謝状の封筒を手渡した。ライトルは引き続き、消防士としてのフルタイムの仕事を続けるほか(だからニックネームが Lights Out (火消し))、2012年には選挙に立候補する意向だと言われる。

ダナ・ホワイト「父として、夫としての決断なのだろう。よくわかるよ。品格のある男だ。」

(出所)
Chris Lytle retires from MMA, UFC on Versus 5 fight against Dan Hardy will be his last (MMA Mania)
Chris Lytle set to retire after UFC on Versus 5 main event (MMA Junkie)

 試合の方は激しい殴り合い。3R残り46秒というタイミングで何故かハーディがおもむろに頭から突っ込み、ライトルがこれをフロントチョークで捉えて一本勝ちした。どうしてハーディがあんなことをしたのかは不明である。古くさい荒くれプロレスラーのような両者のブロールは、好ましいものではあるのだが、正直言ってちょっと僕には人工甘味料的な甘ったるさが残った。骨太なロックを期待していたら、産業ロックの後味だったという感じだ。


試合後のライトルのコメント

試合がスタートしたときには、とても静かな気分で、ちょっとおかしなくらいだった。何も気にならないような感覚だったんだ。ごく自然な感じ、ジムで普通にスパーリングをするような感覚だった。

若い頃には、保守的な試合をして、特定のタイミングだけでパンチを放ったりしていた。でもあるとき、もうそんなことを気にするのはやめよう、と思ったんだ。そんな風に続けていればもっと勝てたかもしれないが、自分の頭のビョーキの部分が許してくれないんだ。自分は自分なりのやり方でしかできないし、なによりこんな風にやりたいんだ。

タイトルは取れなかったね。タイトルが無理だというなら、やっぱりいろいろ考え直すよ。タイトルを狙うなら、スタイルを変えないといけない。でもそれは無理だとわかってる。別の道にすすむ頃合いだよ。

こんな風に勝って、自分の意思で辞めた人はこれまでいなかった。みんな,3回連続でKOされたりして辞めていく。僕は勝って辞めたかったんだ。

(前戦、ブライアン・エバソールに負けた後)ヒザの怪我もあって、オフを取って家にいたんだ。正直言って、始めてジムに行くのが嫌になったよ。家で家族と過ごす方がよくなった。ダン・ハーディに殺されると思って、自分を奮い立たせて練習をしたけど、もうきつかった。そうなると選択肢はない。やりたくないのにやれる競技ではないよ。



(出所)
Chris Lytle: Time was right to walk away from UFC, especially after recent success (MMA Junkie)
Despite ‘Sickness,’ Lytle Content to Leave MMA on Own Terms (Sherdog)

ライトルは生涯MMA戦績31-18-5、さらにプロボクサーとしても13-1-1という記録を持っている。プロ選手としてのスタートはパンクラスだった。UFCでは10勝10敗だったが、どんどん名勝負製造機化していき、この日もファイトオブザナイト、ベストサブミッション賞のダブル受賞で13万ドルを獲得。最近13試合でボーナスを10度受賞し、ボーナスだけで合計51万5千ドルを稼いだ。

さらにこの試合には、UFCスポンサーのハーレー・デビッドソン社が勝者に同社のオートバイ (2012 Blackline、1万5千ドル相当) を進呈するとアナウンスしていたので、ライトルはこれもゲット、退職金と餞別品をたっぷりとして受け取ったことになる。(バイクの提供は、ハーレー・デビッドソン社がUFCとのスポンサー契約を延長した記念のようだ)

ライトルのファイトスタイルには批判もある。個人的には、ことライトルに関しては、割に共感できる。

ライトルはボーナスハンターという役回りを生み出した。中堅選手が生計をたてる頭の良い方法だ。UFC93のマーカス・デイビス戦では、スタンドで殴り合うことを事前に取り決め、小切手をゲットした。ライトルはそのとき、試合のやり方を理解したのだ。

観客を満足させるために星をリスクに晒すというライトルのやり方は、一部では論争の種にもなった。スポーツと見世物との境界線を曖昧にするのではないかという問題だ。ライトルはボーナス狙いの姿勢を隠そうともせず、ときにはケージのなかであえてスマートな動きを封印した。

この試合の前にもライトルは、グラウンドでもハーディより上だと豪語していたが、試合中にライトルがグラウンドに持ち込もうとすることはなかった。ライトルは殴り合いを望んだのであって、勝利を望んだのではない。このようなアプローチがメインストリームのスポーツで許容されるとは限らない。



***

ダン・ハーディはこれでUFC4連敗となったが、ロレンゾ・フェルティータが試合後直ちに「こんな戦争をしてくれる選手は好きなんだ。ハーディはカットしない」とツイッターで明言している

ハーディの試合後コメント

ボスから信頼されてる感じがするのはうれしいことだよ。でも、多くの選手が3敗もすればリリースされている。そして自分は4連敗した。解雇されないことには感謝する。ただ、もう一試合チャンスをくれるというのなら、ちょっと時間を取って、生まれ変わって戻ってきたいと思う。今回も髪の色を変えたりしたんだけど、それだけでは十分じゃなかった。

クリスのことはいつも仰ぎ見ていた。すごい試合になると思っていた。クリスに負けたのは恥じることではない。

UFCで僕ほど急上昇して急下降した選手はいないと思う。4連勝して4連敗だ。改善しないといけないことはわかっている。普通の試合間隔では、じっくりと新しいことを学ぶ時間がない。学ぶことは出来ると分かってる。

MMAを始めた頃、できるだけ高いところまでいってみたいと思っていた。ベルトに挑戦できたことは誇りに思っている。思ったより早く挑戦できたんだけど、その後は、どうなんだろう、正直、心ここにあらずの面はあったかもしれない。

試合から距離を置いて、ジムで楽しく過ごしながら、行く末が見定まっていくのを待ちたい。生まれ変わってタイトルを狙うのか、別の道を行くのかを含めてね。



(出所)
Dan Hardy in no hurry to return to UFC, will consider all options in and out of cage (MMA Junkie)
Though UFC Job Is Safe, Dan Hardy Says He Needs Time Off to Reinvent Himself (MMA Fighting)

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ダン・ハーディのインタビューが MMA Nation に。こちらはライトル戦直前のインタビューである。意外な一面が。

Q あなたは3連敗中、ライトルも前回は負けています。なぜあなたの試合がメインイベントになったのだと思いますか?

A それは正直分からない。クリスと僕とはエキサイティングな試合をするから、チケットがよく売れると思われたんじゃないか。でも他の試合にもメインイベントにふさわしい試合があったから、驚いたよ。とくに「ジム・ミラー vs ベン・ヘンダーソン」というのはいい試合だよね。なかなか難しいところだけど、クリスと僕なら好試合必至というUFCの判断なんだろう。二人ともリスクをいとわず殴り合う。ファンはそれを見に来るんだからね。

Q 大会を盛り上げないといけないと同時に、4連敗はなんとしても避けたい、というのは,強いプレッシャーではありませんか。

A 僕はそんな風には考えないんだ。僕らの戦い方は、UFCが期待しているのと同じくらい、自分たちでも期待しているからだよ。ファンもそれを望んでいるわけだから、こういう試合は逆にやりやすいよ。

Q あなたはイギリスで人気者だから、解雇されにくいのではないか、という人もいます。

A それはどうなんだろう。そんなことより、UFCのイギリスでの問題は、ブラジルやカナダに比べて、人気選手が少ないことだね。僕とマイケル・ビスピンくらいしかいない。もっともビスピンは、アメリカでの方が人気があるような気もするけど。他の選手はあんまりアピールしないし、したとしても訛りが強すぎて何を言っているのか分からなかったりする。これは大問題なんだよ。僕はちょっと得しているとは思ってる。でも僕はイギリス人だからとか、おかしな髪型だからという理由ではUFCにいたくない。値打ちのある選手だからUFCにいたいし、そのことを試合で証明する。そうじゃないと、こんないい扱いも永遠に続くわけでもないしね。

Q UFCからカットされたらどうしますか。

A この先の人生でやりたいことはたくさんあるよ。でもいまのところは、週末の試合を世界の終わりだと思っている。それ以外のことはどうでもいい。UFCで長く戦いたいんだ。

Q もしあなたが格闘家でなかったとしたら、何をしていると思いますか

A 僕はよく文章を書いているんだ。いまも何冊か,本を書いてる。教えるのも好きだし、大学に戻って勉強するのも良いかなと思ってる。旅行もしたい。やりたいことは山ほどあるよ。

Q どんな文章を書いているのですか

A ちょっと説明するのは難しいな。僕はハンター・S・トンプソンの大ファンなんだ。「ラスベガス71」を書いた人だね。ジョニー・デップ主演で映画にもなった。彼は「Gonzo」というジャーナリズムのスタイルを発明したんだ。ものすごく興味深い。僕もいま、ノン・フィクションに挑戦しているんだよ。

Q どこかで出版されているんですか?

A いくつかはね。ほとんどは無名の雑誌に載ってる。いくつかのサイトにブログを寄稿もしてる。でもパーソナルな書き物の多くは、いまのところは保管してあるよ。




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ライトル引退劇に注目が集まったUFC on Versus 5大会ではあったが、ハーディ自身も指摘するように、セミファイナルの「ベン・ヘンダーソン vs ジム・ミラー」は、両選手とも白星街道中、ライト級トップコンテンダーの争いという意味では重要な試合だったし、これが実際、手に汗握る名勝負となった。ノンストップでいろんなサブミッションを繰り出し続けるジム・ミラーのフィニッシュを狙う姿勢も見事だったし、それを全部潰して強烈なパウンドやヒジを打ち込むベン・ヘンダーソンには、元来の器用さだけでなくて力強さも感じさせた。仕留めきれなかったミラーが、終盤さすがにガス欠気味となったことから、3Rがはっきりとベンヘンのラウンドになって白黒ついたかのように見えた。ベンヘンの強さは驚きだったが、地味強のミラーにとっても、もっとも派手で印象的な試合となった。この試合がファイトオブザナイトでなかったのは実に気の毒だと思う。未見の方には検索などしてチェックすることをお勧めしたい。また、ドナルド・セラーニも新星チャールズ・オリベイラに完勝、WEC勢強しを印象付けた。


7連勝中だったジム・ミラーは、勝てばライト級ベルトに挑戦が濃厚だったが、ベンヘンのアップセット勝利で一歩後退。ライト級はもともと人が多い上に、エドガー vs メイナードが片づかないので上も詰まっているため、ミラーだけでなく、これまでにソティロポロス、エバン・ダナム、アンソニー・ペティスといった選手が、後一歩でトップコンテンダーになり損ねて転落していくという、もったいない状況が続いている。いまのところ、ベンヘン、クレイ・グイダ、メルビン・ギラードといった選手が、あと1~2勝でトップコンテンダーの座を獲得できそうな位置にいる。




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クリス・ホロデッキ、サム・スタウト、マーク・ホミニック、ヴィトー・ベウフォートなどを指導した。エクストリーム・クートゥア時代にはランディ・クートゥアのセコンドにもついていた。




小川直也1年3カ月ぶりGENOME出場(日刊スポーツ)

中邑真輔のG1優勝は良いとしても、あの髪型で優勝しに出て来るというのは不思議だよなあ・・・





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