ソーシャルメディアはファイターを殺す?


チェール・ソネンの挑発を一蹴してみせたり、次のコンテンダーにマイケル・ビスピンの名前を挙げるなど、ソネンとの再戦気運に冷や水をかけ続けるアンデウソン・シウバのマネージャ、エド・ソアレスが、すこーしづつ本音を見せ始めている。この人はいろんなことを言うが、ずばり言って、アンデウソンにとって意味のある試合はもはや、ソネンとGSP以外にはないだろう。ただ今回は、あまりにもソネンがペースを握っているように見えるのを嫌っているのは確かだろう。

アンデウソンは、ソネンはまだそこまでの価値がないと感じている。ソネン戦には多くの人が関心を寄せている。ビッグファイトだ。アンデウソンはソネンを避けているのではない。いまはまず肩を治すことに集中している。

実際にはほとんどの場合、われわれはダナが用意した相手をのんできた。決めるのはわれわれだけでもない。誰と戦いたいとか、誰とは戦いたくないと言うことを言っているのでもない。ただ意見を聞かれたから、アンデウソンの考えをお伝えしているだけなんだ。アンデウソンはソネンとすでに一度戦った。ソネンはすでにチャンスをもらったんだ。でも、もしダナがまた戦えというのであれば、そのときが来ればわれわれは橋を渡る。

・・・チェールとの試合はビッグヒットになる可能性がある。PPVがよく売れるんじゃないかとは思う。ただ私は、アンデウソンが言っていたことをお伝えしているだけだ。

・・・他にも選手はいるじゃないか。いろんな選手の名前が上がってくるが、まだベルトに挑戦したことがない選手を試してみてはどうかと思う。なぜ同じ選手とばかり、戦わないといけないのか。リッチ・フランクリンとはすでに2度戦った。チェールともたぶん2度戦うことになるのだろうし、ダン・ヘンダーソンとも2度目があるかもしれない。新顔を見てみたいとも思っている。

・・・アンデウソンはこのあと、一試合一試合、戦っていく。あとどれくらい戦うのかは、簡単には決められない。契約上は4試合残っていて、いまのところ、アンデウソンに更新する気はない。ひとつづつ、こなしていくだけなんだが、結局あと4試合で終わるとしても驚かない。


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UFCやWWEにとって、ソーシャル・メディアの活用は逆効果なのではないかという論考が「カスタマーマネジメントIQ」という経営サイトにあった。抄訳で。


・・・業界アナリストのデイブ・メルツァーは次のように書いている。「UFC、WWE、TNAはそれぞれ、ツイッターやフェイスブックを盛んに使うようにしているが、各社の主要な経営指標は低下する一方である。理由はおそらく、スター選手がスターのオーラを殺してしまっているからである。ソーシャル・メディアによって、ファンはスター選手について語り合う。その結果、スター選手がスターに見えなくなってきてしまい、お金を払わなくなっていくのだ」。

・・・プロレスラーにとって、ファンとの交流は難しい問題をはらむ。というのも、パフォーマーはテレビでは、誇張されたキャラクターになりきって、自らを演じている。対照的な例をあげると、たとえばキーファー・サザーランドは、役名ジャック・バウアーとは別人であるので、サザーランドが猫を愛でたり、ワインの試飲会に行ったりしても、「24」の魅力が損なわれることはない。しかしプロレスラーは、テレビ画面上でのキャラクターでのみ知られているので、普通の人のようなツイートがイメージ破壊に繋がってしまうのだ。

ツイッターを誰が読んでいるのか、と言うことも、問題である。プロレスラーや業界関係者の間では、インターネットは、訳知り顔で冷笑的なファンがいる場所として認識されている。そこではプロレスのストーリーラインといったファンタジーな部分は無視され、なにもかも「インサイド」で「リアル」なものにされてしまう。パフォーマーたちは、ツイッターやフェイスブックについても、それと同じような人たちを相手にするしかないと見なしている。つまり、自分のことを本当に英雄視している人たちではなく、ストーリーラインを真に受けないような人たちを相手にしなければならないのだ。

こういう人たちとは必ずしも、交流するべきではないのかもしれない。こういうスマートなオーディエンスは、すでにプロレスについて強い意見を持っていて、おそらくはすでにテレビを見ていたり、PPVを買っていたり、ネットで違法のPPVストリームを見ていたりするのだ。テイラー・スイフトのフォロワーだって、彼女の曲を違法にダウンロードすることはあるかもしれないが、少なくとも彼女は、彼女の実力を疑うアンチではなく、本物のファンと交流しているので、ネット上でのファンとの交流はあきらかに売り上げアップにつながっているだろう。

UFCの場合は脚本があるわけではないのだが、それでもキャラが無意味だなんて言う人はかなりみっともない。ただのアスレティックなぶつかり合いを超えて、本当らしいライバル関係が現れていたり、説得力のある等身大以上のパーソナリティがぶつかり合うときに、試合の魅力がもっとも高まるという点で、プロレスと何もかわらない。この図式が機能するためには、UFCファイターはファンとは距離を置いた方が良いのかもしれない。MMAはすでに、最高の選手が必ずしもヘラクレスのような体つきではないことを明らかにしてしまった。ファイターの存在感が特別なものでなければ、魅力はますますそがれていく。

インターネット上のファンは、プロレスほどパラノイドではないかもしれないが、それでもやはり、ファン層の開拓という意味では問題点を抱える。熱心なファンを、必ずカネを落とすファンに転換させる余地があまりないのだ。UFCのソーシャルメディアを消費しているようなハードコアなファンは、次回大会のPPVを買うかどうかについては、すでに強い考えを持っているものである。ラシャド・エバンスが実は面白い男だという情報は、フォロワーは増やすかもしれないが、ハードコアファンのPPV購入意向を転換させることはない・・・

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米レスリング・オブザーバ誌では、独自の「プロレス・ホール・オブ・フェイム」を制定しており、毎年、識者投票などで新たな殿堂入り選手が選出されることになっているが、今年は「殺人医師スティーブ・ウィリアムス」「キング・カーチス・イアウケア」「ケント・ウォルトン(イギリスのベテランアナウンサー)」が選出された。オブザーバのラジオショーでは、この3名のキャリアを振り返ると同時に、今度の殿堂入りが期待される選手についても触れていた。デイブ・メルツァーが殿堂入りの資格ありと評価している日本人選手は次の2人だった。 (実は、木村政彦の名前も挙がっていたが、さすがに現役が短すぎて候補にしにくいとのことだった。プロレス界でもちゃんと評価されてる!)

棚橋弘至

棚橋はホール・オブ・フェイム入りの資格はあると思う。インリング・パフォーマンスは十分合格レベルだし、動員力も抜群とは言えないが悪くない。ただしいまは、WWEにもTNAにも所属せず、テリトリーのトップを張るスター選手にとって、国際的なスターになるのが難しい時代だ。他にもたとえば、オーストラリアのトップ選手ドミニク・ムーチも、アメリカではまるで知名度がない。棚橋が50年前にいたなら、このレベルの選手はとっくに殿堂入りしていただろう。棚橋が40歳代になれば、アメリカでの評価も定まってくるのではないか。


田村潔司

ビジネスの文化を変えた男である。インリング・パフォーマンスが素晴らしい。観客動員力はホール・オブ・フェイマー級とは言えないが、プロモーターから十分にプッシュされたともいえないので仕方ない。ただワーカーとしては、私がこれまで見たプロレスラーのなかで、こんなに試合をリアルに見せ、かつ、4つ星クラスの試合に仕立て続けた選手はいない。ヴォルク・ハンとの試合は驚くべきで、無名の新人プロレスラーが、コンバットサンボの化け物に見えたものだ。田村のワークの能力はクリス・ベノワに勝るとも劣らない。

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シンガポールのOne FCが、来週以降、大きな発表を連打していくからお楽しみにとツイッターで予告している

アジア諸国のMMAプロモーションはここに来てさらに動きを活性化している。Daniel Herbertson 氏のツイッターからまとめる。

●タイのプロモーション DARE は、8階級で16選手参加のグランプリをスタートさせる。優勝者賞金は12万5千ドル、賞金総額100万ドル。新興団体としては破格の規模。

●フィリピンのURCCも、ビッグニュースの発表を準備中だという。

●香港の Legend FC は、これまでに最大規模の興行を10月30日に開催。「Adrian Pang vs. Jadamba」は必見だそうだ。

●韓国のRoad FC は、One FCとの提携を発表した。12月3日のRoad FC 5大会から、選手の交流がスタートするという。

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仲いいなあ~♪

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京太郎、グーカン・サキはボクシングへ。アリスター・オーフレイム、タイロン・スポーンはMMAへ。ヘビー級戦士のキックからの流出が相次いでいる。アリスターは別格としても、キックの選手なら、K1がなくなったのなら、It's Showtime を仕事場にすれば良いんじゃないかと単純に思うのだが、そうしないのはなぜだろうな。

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