UFCの「勝負大会」


フェルティータ兄弟がボブ・メイロウィッツからUFCを買い取って以来、これまでになんどか、歴史の転換点となる大会があった。

最初は2001年9月28日のUFC33で、この大会でUFCがPPVビジネスに復帰を果たした。費用をかけたブランド広告を打ち、メインイベントには「ティト・オーティス vs. ヴィトー・ベウフォート」のライトヘビー級タイトルマッチを用意した。しかし、なにもかもがうまくいかなかった。ベウフォートは負傷欠場することとなり、代役にウラジミール・マチュシェンコが起用された。大会17日前には9.11事件が発生し、金を払って格闘技を見ようというムードにはならなかった。結局、PPV売り上げは大失態というほどでもなかったが、大会内容自体は期待はずれで、大失態そのものだった。なにせ全試合が退屈な判定決着となった。そのせいで進行が放送時間の3時間に収まらず、ほとんどの地域ではメインイベントの4Rの最中に放送が終了、返金要求が殺到した。このあとPPV売り上げは長く低迷することになる。

Fox Sports Net からの強力なプロモーションを得て、UFCではようやく、UFC40で「ケン・シャムロック vs ティト・オーティス」を組む。2002年11月22日に開催されたこの大会は、UFCにとって初めて、PPVで成功したといえる大会だった。内容もよかった。しかし、シャムロックを見たくて購入した新しいファンは、シャムロックの一方的な敗戦を見せられ、ほどなく離れていき、PPV販売数はやがて以前の水準に復してしまった。

そして「TUF」リアリティショーが始まった。この番組が成功しなかったら、UFCはおそらくテレビ契約を失い、結果的には会社を売り払うか畳むかの運命にあったはずである。この番組の成功を、フィナーレ大会での「フォレスト・グリフィン vs. ステファン・ボナー」戦のおかげだと評価する人が多いが、実は決定打だったのはその何週か前のエピソードで、寝ていたクリス・レーベンにジョシュ・コスチェックがホースで水をかけ、おまえがやったのかとダナ・ホワイトに問い詰められても否定し続けたシーンだった。その時点までヒールだったレーベンはここで善玉となり、かわりにヒール・コスチェックが誕生したのだった。それから6年たっても、ファンはこの事件を忘れていない。「コスチェック vs レーベン」因縁の対決は、月曜の夜11時という時間帯に視聴率2%をたたき出した。ただ、試合自体はひどいものだった。コスチェックがレーベンを3R、塩漬けにし続け、判定勝ちを収めたのである。しかしUFCはおおいに話題となり、因縁ドラマはプロレスファンに大いに受けたのだが、ひどい試合内容が盛り上がりを台無しにしてしまい、視聴率もすぐに旧に復してしまった。そんな中で行われた、2005年4月9日のフィナーレ大会だったのである。

「フォレスト・グリフィン vs. ステファン・ボナー」はこの大会のメインイベントではなかった。メインは「ケン・シャムロック vs リッチ・フランクリン」だったのだ。しかしメインイベントはごく短い試合で、大会をもっていったのは、UFC史上最高の試合ともいわれるグリフィン・ボナー戦だった。視聴率もよく、試合内容も最高の、ホームランと言っていい番組になった。そこからの18ヶ月で、UFCのビジネスは急成長を遂げたのだった。

2006年7月8日にもビッグマッチが行われた。2002年の再戦、因縁の「ケン・シャムロック vs ティト・オーティス」だ。高視聴率を納めたTUFのコーチ対決として行われたこの試合は、PPVを77万5千件売り上げ、その時点での最高記録を樹立した。ただ、大会自体はひどい内容だった。メインイベントは1分で止められたが、多くの人がストップは早すぎたと感じた。そして、ヘビー級タイトル戦「ティム・シルビア vs アンドレイ・アルロフスキー」もお粗末な5R判定戦だった。今回お試しでPPVを買ってくれた人は、もう2度と戻ってこないのではないかと思われた。しかし、そんなことにはならなかった。実際、MMAハードコアファンがもう勘弁してくれと悲鳴を上げた「シャムロック vs オーティス」の3度目の対戦はショッキングなほどの高視聴率を挙げた。さらに、オーティスとリデルの試合がPPVを100万件売り上げたころから、UFCは完全に軌道に乗ったのである。

(UFCがFOX放送開始に至るまでの「勝負大会」について、レスリング・オブザーバ先週号より)

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UFC on FOX の鍵は「物語」にあるんだとダナ・ホワイトが持論を展開。MMA Weekly

今日のような(UFC139)PPVなら、どんな人が見ているか、われわれは理解している。PPVを自分で買ってくれるような人は、よくわかった上でみてくれる人たちなんだ。UFCをみるために地元のバーにいく人もそうだ。

FOXでこれからどんどん放送するのは、物語だ。ストーリーを語っていく。選手たちはいったいどういう人間なのか、その人生を深く描き出す。

前回の放送の反響も踏まえると、一緒に見ていた彼女や奥さんが、選手の物語を聞くと、試合を見たくなるということのようなんだ。選手のことを知るようになると、一人の人間として見るようになるんだな。

アニマルやバーバリアンがぞろぞろ出てくると思っているヤツらもいるだろうが、ご存じの通りそれは間違ってる。われわれは選手の本当の物語を知っている。これからはもっと、ストーリーを語っていくよ。



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マウリシオ・ショーグンのコメントをBloody Elbow が拾っている。

あいにくの結果だったけど、仕方ない。プロモーターとファンとを喜ばせたことが肝心だよ。試合中は流血が激しくてめまいがしていたので、自分でどんな試合をしているのか、わからなかった。後で見直して、いい試合だなと思ったよ。ホントにクラクラして星が見えていたんだよ。ダンヘンはほんとにタフガイでリスペクトすべきだ。ヤツは殴られても流血しないのかな、まるでアリゲーターのような皮膚なんじゃないか。結果は残念だったが、ベストは尽くした。

日本大会は無理だよ。ダンヘン戦の2ヶ月前に鎖骨を痛めていたし、今回の試合での疲れもある。2週間はオフをとって、試合のことは何も考えたくないんだ。でもまあ、そんなに簡単に辞退するようなことでもないのかも。ちゃんと考えないといけないかな。



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【ProElite03】ミノワマン、海を越える。グローブと対戦決定 (MMA Planet)

「ミノワマン」という言葉のニュアンスはアメリカでも通じるのかなあ。

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 このブログの特徴は翻訳ものだと思うので、普段はどちらかといえばわざと、UFCを中心とする海外情報を偏って扱っているのだけれども、もちろん日本の格闘技だって見ていないわけではない。ちょっと前にはなるがGRABAKA興行は、バラエティがとても豊かで、意外なほど楽しめる大会だった(なんだかASTRAを思い出した)し、DEEP Cage Impact だって、昼夜合計6時間、ちゃんとサムライでチェックした。KRUSH YouthもShoot the SHOOTO も Shooto the SHOOT も全部見た。もちろん熱戦揃いで、いったん見始めれば、時を忘れて楽しむことができた。

しかし、これらの大会について、なかなかブログに感想を書くことが出来ない。逆に、なぜ書けないのだろうと言うことを自問自答したりしている。ああ、おもしろかった、で終わってしまい、ひたすら消費している感じはあるのだが、観戦後の自分の中に熟成されてくるネタが見いだしにくい。

たとえば DEEP Cage Impactについていえば、DEEP公式ブログをみれば佐伯代表の「大会総括」だって掲載されている。こういうものを読めば、理解が深まる面もあるのだが、実際の読後感としては、なんだかよく知らない会社の人事評価を聞かされているような気がするばかりで、へえ、社内的にはそうなんだ・・・とは思うけれども、どうもますます、自分の楽しみとして引き寄せることが出来なくなるような気もする。ましてや他の興行は、こうしてあとで戯れることができるテキストもない。

もちろんこれは、僕自身の情報との関わり方の問題なのだろうとは思う。でもごく一部、やっぱり物語が響いてこないからだと思えてならない面もある。ダナ・ホワイトのいうような、世間一般にまで届く物語という話ではない。ごく一例を挙げると、DEEPで勝った白井の次戦は奥野になったが、この対戦がグラッチマッチである理由について、奥野登場と同時にピンと来る人はどれくらいいるだろうか。そこがピンとこないと、DEEPを満喫する資格はないといわんばかりの演出では、これはいささか不親切だと思うのだ。これは程度問題なので、いや、そうは思わないという人もおられるとは思うが、少なくとも会場はさほど沸いていなかった。たとえば、白井はもうちょっと怒ってる風に、奥野とステアダウンするわけにはいかなかったか。その程度の、ちょっとしたプレゼンのことなんだと思うのだが・・・なんでもかんでもプロレス風にしてほしいというわけでも、けしてないのだけれども・・・


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MMAは「言論の自由か」・・・のまとめ記事がなかなか書けません・・・

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