まずは家に帰ってちょっと泣かせてくれ【ラシャド・エバンス】


ジョーンズの技をみていると、プロレスがその歴史全体を通して開発できなかったムーブを、その場のアドリブで軽々と超えてしまうような創造性があるように思う。台頭してきた頃のジョーンズには、「Youtubeでプロレスを見て格闘技を研究した」というエピソードを裏打ちするように、「そんなことがリアルファイトで出来るのか!」という動きを繰り出していたが(リープフロッグまでやっていたのだ!)、いまとなっては「何故この技はこれまでプロレスで見られなかったのだろう」と思うほどになっている(手四つからのエルボーなんて、なんで三沢は思いつかなかったのか不思議なくらいだ)。

これまでジョーンズに仕留められてきたショーグン、ランページ、リョートなどの無残な姿と比べると、フィニッシュされなかったというだけで、エバンスがものすごく強く見える。

ジョーンズやマクドナルドの試合を見ていて思うのだが、本人がどれくらいの悪意をもって戦っているかどうかと関係なく、スピーディで正確な攻撃というのは、とても残酷に見えるものだ。

ジョーンズはこれで、激戦区ライトヘビーの猛者を一掃し、向かうところ敵なしになったように思う。ただ正直、これまでのジョーンズの伸び率を考えると、心のどこかで、もっともっと衝撃的な試合を期待している部分があって、この試合でもなお、やや物足りなさを感じてしまったというのは贅沢すぎる感想かもしれない。


今大会はボクシング興業的というか、ホントにメインイベント一本推しの大会で、それ以外のカードには特に期待していなかったのだが、終わってみればジョーンズ24歳、ローリー・マクドナルド22歳、マイケル・マクドナルド21歳という、恐るべき子供たちが浮かび上がってくるマッチメイクだったんだなあと思う。どうしてチェ・ミルズがセミファイナルに抜擢されたんだろうと不思議に思っていたのだが、終わってみれば、ローリーをオーバーさせたかったんだなとの意図が伺えた。UFCはこれまで、こういうプロレスのスター売り出しマッチメークのようなことは、あまりしていなかった。次回大会のヘビー級祭りといい、これまでの「全試合トーナメントかよ!」と突っ込みたくなるマッチメーク方針が、すこしづつカラフルになってきているような印象もある。それがいいことなのかどうかは非常に難しい問題だと思うけれど。(たぶん、短期的にはいいが、長期的にはよくないんだと思う)。

あと、ミゲール・トレスの倒れ方は寂しかったなあ・・・前田との殴り合いはつい最近の事じゃないか・・・


ジョーンズ試合直後インタビュー

これまでのキャリアでもっとも満足のいく勝利だよ。
今日は考えていなかったことをたくさんやった。打撃が初心者っぽかったかもしれない。ミスを犯したくなかったからね。
練習と試合とではやはり全然違う。今日はエルボーをたくさん出した。そんなことはトレーニングパートナーにはしない。
試合をフィニッシュできなかったことにはちょっと驚いてる。フィニッシュするつもりだったが出来なかった。ラシャドのゲームもすごくよくなっていた。いい試合だった。



エバンス試合直後インタビュー

ジョーンズはかなり創造的でトリッキーだった。タイミングがとれなかった。練習ではやらない打撃を出してきた。練習の時よりへたくそになっていることもあったけどね。
僕はまだ32歳だ。先は長いと思ってる。練習して強くなって、またトップを目指すだけだよ。




ジョーンズ ポストファイト・カンフェランス

ラシャドと戦うのは少し不安だった。むかし一緒に練習していた頃に、なんどか先輩面をされてね。そのことが脳裏をかすめるんだ。そうすると、なんだか躊躇してしまった。

この試合のおかげで、ワンランク、レベルが上がったと思う。途中、自分の能力やスピードに自信が持てない場面があって、その結果、思ったようなクリーンな試合にはならなかったけれど。

この試合の成果として、ラシャドとはなんらかのコミュニケーションを復活させられたらと思っている。まずはプライベートな時間で、将来的には一緒に仕事も出来るといい。ラシャドのことは尊敬しているし、ラシャドも僕のことをある程度リスペクトしてくれたのではないかと思う。




エバンス ポストファイト・カンフェランス

最初、しばらくは平板な感じだった。時々そうなる。何か仕掛けられるようには思うのだが、いざとなると引き金が引けない感じだ。

僕は自分のチームを全面的に信頼している。そのような考えを守るために戦っていたような気もする。

(ジョーンズからの仲直り提案を受けて)まずは家に帰ってちょっと泣かせてくれ。昔みたいに、将来一緒にクールな事を経験できるかもしれない。でも、また戦うことがあるかもしれないから、心置きなくしばきあえるように、「やあ、元気かい」といいあうくらいのレベルにとどめておく方がいいんじゃないか。

ジョンは間違いなく進化している。現時点では、この階級を一掃したとはいえないのかもしれないが、いずれジョンは、未だに並び立つ選手がいないアンデウソンのようなレベルに達するんじゃないかと思う。

自分は205パウンドでやってきた。負けたのはたった2回で、いずれも強い相手だ。とはいえ、もし185パウンドでチャンスがあるなら、やってみたいと思っている。205も好きな階級だから、その後でまた戻ってきて、タイトルを狙いたいけれどね。




ダナ・ホワイト ポストファイト・カンフェランス

(エバンスのミドル級転向について)考えたこともなかった。ちょっと考えてみよう。

ダン・ヘンダーソンに、今日の試合の勝者と戦うことになると告げてある。

(BJペンの引退宣言について)そんな発言があったと言うことは聞いているが、やつは最近の電話で、いやいや、まだ戦うよと言ってたぞ。

(アリスター・オーフレイムの欠場を発表したことについて)もうPPVの締め切りがとっくに過ぎてるんだよ。早く決めてくれと販売部門から脅されてね。それに、アリスターの火曜日の公聴会の行方も、楽観視できると思っていないんだ。(ネバダ州以外でオーフレイムを使うことについて)うちではそれはやらないんだ。ネバダであれ、ニュージャージーであれ、コミッションがライセンス支給を拒否するなら、それに従うまでだ。オーフレイムの件ではいまでも怒っている。アリスターは面と向かってこう言ったんだ。いつ何時でも検査すればいい、僕ほどしょっちゅう検査されているアスリートはいないんだ、ってね。

(ブラジル大会について)ああ、いろんな事が起きてるから、いま調整しているところだ。もともとはリオの方から招聘されたんだけどな・・・とにかくこれだけは言っておくぞ。これはUFC最大のビッグマッチであるばかりではない。今年最大のスポーツイベントになる。試合は必ず行われる。ただ、中途半端にその辺のアリーナでやるわけにはいかない。これはビッグファイトなんだ。ブラジルで実現できないとなると、ブラジルのファンは怒るだろうな。わかるよ。われわれも怒ってるんだ。でも、そうなりそうな雲行きだな。こっちのせいじゃないんだよ。

エディ・アルバレスはいい選手だと思っている。UFCは常にいい選手を探してるし、彼はその1人だ。ヘクター・ロンバートもいいね。どうなるか見ていてくれ。



(出所)
JON JONES KEEPS LIGHT HEAVYWEIGHT CROWN, SCORES UNANIMOUS DECISION AT UFC 145 (Sherdog)

Following UFC 145, Dan Henderson up next for champ Jon Jones (MMA Junkie)

UFC 145: Jones shuts down Evans (USA Today)

Jones settles feud, defends title over Evans (ESPN)

Dana White Says BJ Penn Will Fight Again (MMA Fighting)

Rashad Evans is latest victim in Jon Jones' historic run through light heavyweight division (Yahoo Sports)


Rashad Evans Won't Rule Out Move to Middleweight, But Likely to Stay at 205 (MMA Fighting)

UFC boss still angry with Alistair Overeem, promises to 'come down' on PED users (MMA Junkie)

Silva vs. Sonnen II details still in limbo, UFC boss promises answers to come Tuesday (MMA Junkie)

Dana White expresses interest in Bellator's Eddie Alvarez and Hector Lombard (MMA Junkie)


*****

マイケル・マクドナルド、試合前インタビューより。21歳にしてこの老成ぶり。

心が静かな時に、選手は最高の状態になると思う。たとえばジムには、世界の誰よりも強いのではないかと思う人がいるが、実際にケージに上がると、てんぱって出来なくなってしまう。

感情が判断を曇らせると思うんだ。なんといっても、格闘技は身体のチェスゲームだからね。どんな風に動くか、どんな風に攻めるかという判断を、感情が曇らせるんだよ。僕は考える人だから、冷静でいるのが好きなんだ。

多くのMMA選手の目標は、チャンピオンになることだと思うんだ。ちょっと心理学の範囲に立ち入ると、そういうことを言っていると、本人の気分がよくなるんだよ。特別な人間であるかのように思うんだね。誰しも生きる目的は必要だし、自分のことを、ただ格闘技をやっていると言うだけでなく、根っからのファイターだと思えるしね。でも僕は違うんだ。僕は自分をファイターだと思っていない。格闘技は、いま楽しんでやっていることにすぎないし、僕の目標は単にチャンピオンになることではない。僕の目標は、将来の家族と自分に、十分な生活を提供することなんだよ。

格闘技の経験を他の分野にも持ち込んでみたい。永遠に戦えるわけではないからね。格闘技は、後の人生のプラスになるといいなと思っている。「タイトルに挑戦させろ!」と焦るのではなくて、僕はUFCに長くとどまって、金を稼いで、将来の基盤を作りたいと思っているんだ。



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青木真也のムエタイはどこへ?現代MMAの射程距離(オウシュウ・ベイコク・ベース2012)
エディのボディストレートとか、青木のヒジとか、僕も確かに気になったんだが、僕は技術をこんなに言葉豊かには書けないわ。

4.20ベラトール、アルバレスvs青木は悲劇か、それとも歓喜か/飲みオジ・橋本宗洋の『格闘技酔拳批評』 (人間風車)

UFC JAPAN 完全版 5/13(日)午前7:30 (WOWOW公式)

STJよりプレスリリース 20120423





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ジョーンズの技をみていると、プロレスがその歴史全体を通して開発できなかったムーブを、その場のアドリブで軽々と超えてしまうような創造性があるように思う。台頭してき

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