UFC147レビュー / 日沖アトランティックシティの非情

リッチ・フランクリン vs. ヴァンダレイ・シウバ(6月23日UFC 147: Silva vs. Franklin II )

いまどきヴァンダレイ・シウバと言われても、もはやさほど期待もしていなかったのだけれど、いざ入場テーマ曲が鳴り響くと、やっぱりわくわくしてしまう。思えばヴァンダレイもPRIDE時代から遠くまで来たものだが、いまだにUFCナンバーシリーズのメインイベントを飾っているのは本当にたいしたものだと思う。

そして試合の方も、はっきり言えばあっという間にやられてしまう心の準備もしていたのではあるが、それはとんでもないアンダーエスティメイトで、2RにはあわやTKO勝利という場面も作りつつ、5Rをフルに、メインイベンターにふさわしい戦いぶりで戦い抜いてくれた。最後はもう、ガソリンも空っぽでオイルも乾ききっているのに、ラジエータから湯気を出しながら爆発寸前になって猛攻を見せてくれた。リスペクトしかない。

アグレッシブ一辺倒でワンディメンショナルで脆いというイメージはなくなり、持ち前の暴力に多彩な打撃と堅いディフェンスが混ざり合って、ニュースタイル・ヴァンダレイを感じさせてくれたのではないかと思う。カン・リーには勝ち、フランクリンには負けるという位置取りの範囲であれば、まだまだ熱い試合を届けてくれるのではないかと期待が持てた。

アメリカ版のTUFに比べると未熟さが目立ったTUFブラジルの決勝戦の後だからこそなおさら、フランクリンの余裕のある物腰、頭の良さそうな試合運びも、安心してみていられた。

それにしてもこの大会、当初予定からカードが大きく劣化し、アメリカのMMAメディアでは、これは60ドル出してまで見るほどのものではないだろうとのコメントがたくさん見られたが、会場のほうはよくもまあ、もり上がっていたものだ。

こちらはヴァンダレイの試合前のコメント。MMA Weekly

どの試合もプレッシャーが強い。まだ戦えると言うことを証明しないといけないからね。まだまだいいファイターで、いいショーをお見せできることを証明してやるぞ。35歳だ、37歳だとなってくると、そういう疑問を持たれるからね。ジョン・ジョーンズだってこの年になれば、おまえさんはまだ出来るのかいって聞かれることになるんだよ。体調はいいし、戦うのも好きだ。ケージに入って2万人からの声援を浴びてみればいい。とんでもないセンセーションを感じるよ。こんなにユニークでハッピーな経験をしてしまったら、引退後には何をしたらいいのかわからないよ!



UFC147のPPV第1試合、「ユーリ・アルカンタラ vs. ハクラン・ディアズ」の1戦は、UFC史上、2000試合目にあたったのだそうだ。UFC史上の第1試合は1993年11月12日の「ジェラルド・ゴルドー vs. ティラ・トゥリ」だった。UFC19年の歴史のうち、最初の15年の試合数と、最近4年の試合数がほぼ同じなのだそうだ。

*****

リカルド・ラマス def 日沖発(6月22日 UFC on FX: Maynard vs. Guida)

1Rから、日沖スタイルの、かちっとクリンチしてかちっとテイクダウンする動きはきっちりと炸裂していた。ああ、これは大丈夫だろう、日沖が一枚上だわと最初は思えた。オモプラッタをそのまま持ち上げて北斗ボムで落とすというラマスの馬鹿力にはひやっとしたが、それも別に日沖には効いたわけではないようだった。
しかし2Rから、日沖が上を取りはするのだけれど、ラマスが下からギロチンを繰り返し試みるようになる。ギロチンは結局外れるのだけれど、その間日沖ははずす努力以外のことが出来ないまま、時間ばかりが過ぎていく。3Rも結局、ラマスのギロチン地獄から脱出する日沖という相変わらずの光景が最後まで続いてしまった。あれだけ渾身のギロチンを長時間出し続けてもガス欠しないラマスのスタミナの勝利と言えるかもしれない(むしろ最後の方は日沖がガス欠気味に見えた)。日沖ほどの選手が、なぜ同じことを繰り返してしまうのかはに不思議だった。

タイトルマッチを断ってまで、わざわざ前座試合を一つはさんで万全を期そうとした日沖だったが、なんだかちょっと、つまらない敗戦を喫してしまい、一歩後退する結果となってしまった。こういう相手に負けたあと、また出直さないといけないというのは、結構気が遠くなる。結果論で言うわけではないが、UFCでオファーされた王座挑戦を断るというのは、やはり得策ではないと思う。たしかに全部勝てれば美しいのだが、負けることを考えれば、ラマスに負けるくらいなら、アルドに負けた方がうんとマシだからだ。

@danawhite

Hioki = unchokable



グレイ・メイナード def クレイ・グイダ(6月22日 UFC on FX: Maynard vs. Guida)

長髪を挑発されたグイダ、髪を束ねているだけでなく、かなりの分量を散髪してしまったように見える。これはがっかりだ。グイダらしくない。

グイダは、 五味戦でみせたあの動き、五味が「なんだこいつ」という感じで二度見を繰り返していた奇妙なダンスのような動き(自称ファンキーチキン)をさらにグレードアップして、追いかけてくるメイナードを5Rにわたって踊るようにかわし続け、カウンターを狙い続けていた。ハイライトは4Rの終盤、逃げ回るグイダにイライラが頂点に達したメイナードが、ガードを下げて顔を突き出し、中指を突き立てながら何やらグイダにトラッシュトークを投げつけるというニック・ディアズ殺法を繰り出したときで、これにはさすがにカッときたグイダが突っ込んでいくと、メイナードがギロチンに捕まえて見せたが、グイダもこれをはずして上をとりかえすという展開が見られた。慎重な展開が一瞬やぶれ、その裂け目からもつれあいの大喧嘩が溢れ出したのであった。グイダの試合に期待するのはこれだろう。

判定はメイナードで納得だ。全般を通して、グイダのディフェンスは完璧で、メイナードに隙がなかったので、結果的にグイダの効果的なカウンター攻撃はほとんど見られなかったからである。

@danawhite

メイナードの楽勝。そんな接戦じゃないよ。ひどい試合だったな。



散髪するグイダの様子があった。こちら

*****

エミリャーエンコ・ヒョードル def ペドロ・ヒーゾ (6月21日M-1 Global)

時が来ました。この競技を離れます。サンボの世界選手権はまだ持っています。家族と過ごしたい。娘は私のしらないうちに育ってしまった。そろそろ現役を離れるときでしょう。(MMA Fighting)


サントペテルスブルグ、アイスアリーナ満員札止めの大観衆は、ヒョードルの入場とコール、そしてKO勝ちにに巨大な歓声を送った。ある報告によれば、これがラストマッチになることを察知したファンは、「行かないで!」コールを繰り返していたという。(MMA Fighting)


レスリング・オブザーバの報道

ヒョードルは、引退が神の意志だとしているが、完全に扉を閉ざすこともない、なぜなら未来がどうなるのかはわからないからだ、と語っていたという。



プーチン大統領の試合後挨拶 (Fighters Only)

MMAファンを代表して、ヒョードルには、おめでとう、そしてありがとうと申し上げたい。このスポーツがわが国でここまで人気が出たのは彼のおかげだ。



ヒョードル名勝負集10選。10選でおなじみのCage Potatoより。

>この引退宣言、UFCからのラブコールを待つための方策だったらいいのになあと思う。引退するというなら、将来にわたってコ・プロモーションもしなくていいだろうし。

*****

今回は(それなりに)熱戦!死闘!!「最後の勝利者」ボブ・サップが意地を見せた!!(見えない道場本舗)

いやあ、サップの折れないハートに感動させてもらえるとは、夢にも思わなかった。普段はエア関節技に口頭で参ったする男が、今回は最後までタップすらしていない!

サップはグラウンドではずっと目をギュッとつぶっていて、あれでよく防御できるなと思うし、終始本当に本当につらそうな表情をしていて、格闘技が嫌いなんだろうなあとつくづく思った。

サップのことだから、どうせ来週あたりにも、東ヨーロッパかインドの寒村で試合があるんじゃないのか。こんな試合をやっていたら、10年持つ身体が3年でつぶれてしまう。熱戦だったけれども、不思議なことに、こんなサップは見たくない、とまで思ってしまった。いつものぐうたらサップが懐かしい。

*****

秋山成勲「独島はみんなの物」(中央日報日本語版)
ここはあの、パーキーに勝った40歳のコリアンキラーに登場してもらい、青木のいうように、領土問題まで解決してもらおうではないですか!

違法ダウンロード刑事罰化・著作権法改正案が可決・成立 10月1日施行へ(ITmedia ニュース)
このニュースって、MMAプロモーションのPPG売上の押し上げ要因にはならんかな・・・と思うと同時に、アメリカではこれが決まりそうになったとき、推進側だったズッファのウェブサイトがハックされたりする騒ぎがあったが、なにか愉快な嫌がらせでも起きてくれないかなと思ったりもする。

井岡、日本初4階級制覇だ!来年にも興毅とSフライ級で激突へ(スポーツ報知)
井岡VS八重樫の王座統一戦は22・3%(デイリースポーツ)
中継では辰吉が気になってたまらなかった。まあ、辰吉は引退した解説者ではなくて、まだ現役なんだから、しゃべるのは仕事ではないよな。

番外編 谷川貞治さん 1/4(メディアプルポ)

*****

Mayweather Tops List Of The World's 100 Highest-Paid Athletes (Forbes)

米Forbes誌の高給取りアスリート世界100傑リストで、フロイド・メイウエザーとマニー・パッキャオがワンツーフィニッシュした。メイウエザー年収は8500万ドル(約68億円)、パッキャオは6200万ドル(49億円)。2001年から連続して1位だったタイガーウッズは5940万ドルで3位に後退。ちなみに僕が確認したところ、100位以内にMMAの選手の名前は見つかられなかった。なおイチロースズキが39位(2400万ドル)にいた。

*****

おくればせながらの話題だが、6月18日は三沢光晴の誕生日で、生きていれば今年で50歳だった。三沢は生前のインタビューで、50で引退するぞと語っていたと思うので、これでホントにやっと、ノンビリできるのかもしれない。同じく6月18日はブルーザー・ブロディの誕生日でもあり、生きていれば今年でなんと66歳になるのだそうだ。ブロディが66ですよ、みなさん。たまには自分の老け顔も鏡でしっかり確認しないとね。66歳のブロディって、ちょっとかっこよさそうですね。

スポンサーサイト

トラックバック

まとめtyaiました【UFC147レビュー / 日沖アトランティックシティの非情】

リッチ・フランクリン vs. ヴァンダレイ・シウバ(6月23日UFC 147: Silva vs. Franklin II )いまどきヴァンダレイ・シウバと言われても、もはやさほど期待もしていなかっ

毎週更新!

Ad

Ad

MMA Update