【書評】永島オヤジの まぁだま~って読んでみてよ



プロレス界最強仕掛人 永島オヤジの  まぁだま~って読んでみてよプロレス界最強仕掛人 永島オヤジの まぁだま~って読んでみてよ
(2012/06/08)
永島 勝司

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まえがきによると、何でも永島氏は昨年、心筋梗塞に倒れ死線をさまよい、4日後に意識を取り戻していの一番に思ったことが、「いまのプロレスって、なんでダメなんだろうな」だったのだという。怒気、殺気が足りない。そういう問題意識に駆り立てられて書き上げたのがこの本だと言うことだ。帯には「言わなきゃ死ねない、プロレス・仕掛けの裏の裏」などと書いてあるが、暴露本の色合いはないし、説教くささも強くなく、永島氏が駆け抜けてきた古き良き時代のいろいろな話を、グラスを傾けながらしてくれている風情だ。幻に終わった「長州 vs ヒクソン」交渉過程など、詳しく書いてあって僕には興味深かった。

僕は年代的に言っても、「今のプロレスには戦いがない」といったたぐいの言説にもっとも近い感覚を持っている。そのような物言いに、たくさんのナンセンスが含まれていることは自覚しているし、若い人にとってみれば、いい加減にしてくれと思うのだろうなとは想像がつく。

それでもあえて誤解を恐れず言えば、「戦いもどき」であるという最低限のアリバイへのこだわりを捨て去って開き直ってしまっては、ではいったいプロレスというのは何の出し物かのかということが、僕にはうまく理解できないのである。どこかに存在するリアルファイトというコンセプトを横目に、それに似せよう、それを越えようとする努力そのものがプロレスなのではないかと思うのだ。リアルファイトというのは、文字通り格闘技と言うことでもあるし、もっと一般化して人生経験と考えてもかまわない。読み手によっては、ただの小さなエピソード集にしか見えないかもしれないけれど、この本にも、そんなプロレスへの努力の切れ端の物語が、たくさん入っている。


僕などは学生時代、必死で見ていた金曜8時のワールドプロレスリングに何を見いだそうとしていたかといえば、プロレスの枠がちょっと破れたかのように見え、そこからリアルファイトの世界がちらっと見えた気がする、その瞬間をけっして見逃すまいと、息を潜めてじっと観察していただけのような気さえする。


いや、いまのプロレスはそういうことじゃないんだ、プロレスはもう変わったんだ、というのなら、それでもかまわない。なにせこのごろの新日本は元気がいいようだし、ホントに喜ばしいことだと思う。それなら、この本は歴史書として楽しめばいいことだろう。ただいまは、それならオカダカズチカの魅力はいったい何なのか、言葉豊かに説明してくれる人が出てこないかなと思って期待しているところだ。

そうはいいつつ、実を言えば今年の「ベストオブザスーパージュニア」は、僕もなーんか久しぶりにプロレスをすごく楽めた。回りくどくなく、理屈でもなく、直接的に楽しかった。決勝戦の「田口 vs ロー・キー」なんてちょっとすごかった。本物の戦いに見えたし、痛みすら共有できた。やることなすこと、ビリーバブルでメイクセンスだった。ロー・キーはヴァンダレイ・シウバだし、田口は高田延彦だった。こんな試合を見ていると、プロレスがぴんと来ないのは、僕が年だからでもなく、時代が変わったからでもなく、なんのことはない、単に役者の技量の問題だったのではないかと思えてくる。

そういえば永島氏もあとがきで、今のプロレス界には要するに、プロフェッショナルがいないのではないかと問題提起をしていたものだ。そして永島氏も、オカダや内藤の名をあげて、未来への期待もちゃんと記しているのだ。こういう本が出たことに対する、若い世代からのアンサーソングも是非聴いてみたいものだ。

*****

元ECW、WWEのポール・ヘイマンがツイッターで、プロレスビジネスを志す若者へのキャリアアドバイスを連投した。レスリング・オブザーバがこれをまとめている。

♪♪
思い返せば自分は恵まれていた。こんな幸運、人によっては一生待っていても訪れないだろう。自分は21歳で、オースチン・アイドルとトミー・リッチのマネージャをしていた。ESPNではオリジナル・ミッドナイトエキスプレスの面倒も見てた。

22歳でシカゴのブッキングをやった。エディ・ギルバートのアシスタントブッカーをやったんだ。

WCWでTBS(米ケーブルチャンネル)の画面にのったのが23歳の時。

23歳でJRみたいにコメンテーターをやってたんだ。今となっては絶対に無理。

でもまあ、どんな控えめに言っても、自分で自分のケツを蹴りまくってハッスルしてたし、上昇欲も政治力も、押しの強さもどんどん学んでいった。

不遇の時もあったが、そんなときでさえ、ミーン・マークといった人と仕事が出来た。キミがアンダーテイカーとして知っている男だ。

26歳でスティーブ・オースティン、リック・ルード、アーン、イートン、ズビスコのデンジャラス・アライアンスをマネジメントしてた。メデューサのこともわすれちゃいけないね。

20歳代でこんなレジェンドたち、業界の巨人たち、トップ選手と仕事をしていたんだ。

今の業界の仕組みでは、すごい才能のある人でも、20歳代はほとんど、表舞台に上がるためにもがいているばかりだと思う。

そんな状況は、かえていかなきゃいけないね。

ECWのクリエイティブを引き継いだのは、28歳になった誕生日の翌週だった。

WWE Rawのコメンテーターになったのは35歳の時。まだキッドといっていい年齢だけど、その時点ですでにキャリアが何十年もあるベテランだった。レッスルマニア17のロック対ストーンコールドの解説もしたんだよな。

ブロックと仕事をするようになって、業界一のマネージャになったのが36の時だ。

自分はホントについてたと思う。でも、ハードに働いて、チャンスをものにする術は知っていたと思う。

次の世代の人は、ステップアップしようと言うだけでは足りない。立ち上がって、みんなの目を集めないといけない。

CMパンクやダニエル・ブライアンになるのは簡単だと思うかい?彼らは毎試合すこしづつ、古い世代から領地を奪い取り、今の地位を勝ち取ったんだよ!

裏切りじゃない。ごますりでもない。馬鹿をやって一時的な注目を集めるのでもない。自分でチャンスをつかみ、ブレイクしたくて仕方がないほかのみんなよりも一生懸命働くことなんだ。

これは「自分にもチャンスは来るのかな」「自分もブレイクするかな」とイライラしている若い人へのメッセージなんだ。チャンスはやってこない。自分でつかむんだ。

ストーンコールドが誰かに頼ったと思うかい?HHHはどうだ?ロックは?

恥ずかしながら、俺自身はどうだったか。答えはNOだ。チャンスがなければ、自分で作って、自分でプッシュしてきた。

この手にマイクを持ち、メッセージをしゃべる時間枠さえあれば、それでポイントが稼げることはわかっていた。このビジネスはずっとそういうことなんだ。

ショーン・マイケルズは苦労もせずにタッグ屋から、世界最高のインリング・パフォーマーに成長したと思うかい?

ショーンとマーティは追放されて、アラバマくんだりでしか仕事が出来なかった。でもショーンはめげずに、まずはロッカーズで小ブレイクし、そのあとHBKとして大ブレイクしたんだ。

大志、押しの強さ、そして言ったことを実行する能力が、次の世代のメインイベンターを作る。才能ある者はいる。チャンスはかつてないほど広がっている。新しいメインイベンターが明らかに求められている。

従順、自己満足、失敗を恐れることからは、何も始まらない。一抹の謙虚さはあっていいが、「メインイベンターの自信」も同じくらいに重要なんだよ。


*****

Atlantic誌掲載のアブドーラ・ザ・ブッチャーのインタビュー記事より一部を紹介。

♪♪
ブッチャーはどこか楽しそうに、いろんな極端な噂は実は本当だったんだと語り始めた。ここだけの話だけど、といった感じで、「自分は、舞台上で人を刺し、蛇や鶏を食い散らかしていたんだ」と言い、部屋の向こう側に置いてあるブリーフケースを指さし、あそこに入っているフォークを一本持ってきなさいと言った。フォークの柄は清潔とは言えないテーピングで巻かれていた。私はそれをブッチャーに手渡しながら、早くも手渡したことを後悔し始めていた。

「もっとこっちに来なさい」とブッチャーは言った。私はブッチャーの椅子に一歩身を寄せた。脇の下のやけど跡が少し匂った。「これをおまえさんの頭に刺したら、どうなると思うね」。ブッチャーはそう言いながら、フォークを自分の眉毛に突き立てた。

「あ、頭に小さな穴が4つ開きます」私は不安げに答えてみた。

「4つの深い穴だよ!」ブッチャーは私の言葉を訂正した。「来なさい、こわがらんでいい」。まるで睡眠術に落ちたように、わたしはブッチャーに従った。ブッチャーは私の首をつかみ、フォークを私の額に強く当てた。私の皮膚はくぼんだ。ブッチャーは私に、顔をしかめなさいと言った。私は、まるでまもなくひどい目に遭うことになるブッチャーの対戦相手のように、顔を作った。するとブッチャーはフォークを私の頭に、ヘアラインに沿って掻き上げていった。軽い痛みはあったが、皮膚は破れなかった。

「な」とブッチャーは言った。フォークで刺されるというのは幻想なのだといいたいのだろう。おびえきった男の額にフォークが突き立てられているとき、観客はフォークが実際に皮膚を破って体内に沈み込んでいると信じているが、それは髪の中に姿を消しているだけなのだ。ブッチャーは、これまでに本当に相手を切ったのは3度だけだと語った。それも、自分で自分を切る方法を知らない若いレスラーに頼まれてやったことであった。「出来ないんでお願いします、といわれない限り、自分は他人を切ったりせんのだよ」。そう言ったブッチャーは、そのフォークを10ドルで私に売りつけたのだった。




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