UWFは連合赤軍か、アンチプロレスか

DREAM.2、田村 vs 船木戦の煽り映像は印象的なものでした。カクトウログさんがその全文を書き起こしておられます。

UWF田村×船木 煽りV全文~前田が登場【週刊 前田日明】

これ、実は僕も、手元で8割方書き起こしていた(笑)。なんだか、写経したい気分になるんですよね。
で、この煽りV、TBSの地上波でも、ナレーターこそ違えど、PPVで流れたものがほぼそのままの形で流されていました。狂う、といった単語の乱発、練習生が亡くなるエピソードなど、ブレーキがかかる要素も多々見受けられたかと感じましたが、そのまま放映されていました。TBSの過多な編集・介入ぶりが問題視される中、意外なことでした。

ただし地上波では一部の文言が差し替えられていました。その部分だけをここでは書き起こしておきましょう。カクトウログさんの書き起こしはPPVで見られたオリジナル版、立木版です。すみません、コピペさせてもらいました。


U.W.F、
(写真「1988.8.13有明コロシアム満員」)
若者たちが抱えた青きエピソード。→ 格闘王 前田日明が立ち上げた、革新的なプロレス団体。
(写真「前田日明vsジェラルド・ゴルドー」前田コール音声がかぶっていく)
ファン映像「他のプロレスを今まで観てたのがバカバカしくて…」
(写真「1989.5.4大阪球場2万3000人超満員」)
その刺激的な空間に、人々は酔いしれた。→ KO、一本勝ちが乱れ飛ぶ刺激的な空間。
(写真「藤原喜明vs船木優治」)
女性ファン映像「徹夜して買ったのに、1万円の券、買おうと思ったのに、5,000円なんだもーん。私の前なんだもーん」
(写真「1989.8.13横浜アリーナ1万7000人超満員」)
そこに、格闘技の桃源郷をみた。→ UWF以外は全部嘘だ。信者たちは熱狂した
(写真「前田日明vs藤原喜明」「高田延彦vs船木優治」)
ファン「今まで格闘技戦で人が死んだことはないですけれど、今日そうなっちゃうかもしれない」
(写真「1989.11.29東京ドーム6万人超満員」)




男の格闘技人生は、Uから始まった。
(道場のリングサイドで前田(当時30歳)が視線を投げかける)
青春の全てをUに捧げ、Uしか語らず、Uしか信じない。
誰が呼んだか、孤高の天才。

→ 前田日明の理念、高田延彦の情熱。田村はUWFに心酔し、青春の全てを捧げた

(高田(当時27歳)がアームロックを仕掛ける)
田村「えー、スクワット2000回くらいやったんですけど、冗談で『あと1000回くらいできるんじゃない?』って・・・



新日本プロレスから引き抜かれたスター候補。

だが、強さへのあくなき欲求はとどまるところを知らなかった。→ だが、真剣勝負に飢えていた男には、このリングさえ、狭すぎた。

(鈴木みのると並んで挨拶写真)
(船木反則負け 1989.5.21vsB・バックランド戦写真)


(ヒクソン・グレイシー、映像)
(ヒクソンのチョークに船木が落ちるシーン)

だからこそ、あの日。→ だからこそ、最強に挑んだあの日

(ヒクソンのチョークに船木が落ちるシーン、スローでリプレイ)

リングに別れを告げた。→ 壮絶に散ったサムライは、リングに別れを告げた。



この書き起こしをしてみようと思ったきっかけは、TBSが何を検閲し、何を削り、何を足したかを見ることで、TBS流・HERO'S流の編集について考えることはできないか、と思ったのです。で、分量的に言うと、案に反して、TBSが手を加えたものは、実に控えめでありました。前田や高田の名前をはっきりと出すように変更しているんですが、これはむしろ、画面に二人の姿が出る以上、一言触れておく方が一般視聴者には分かり易いという配慮だと思います。PPVのオリジナル版では、立木さんの声で「前田」の名前は読まれていないんですね。それと、Uについてのやや説明的な文言も追加されていますが、それもやむを得ないか。

それでもやはり、致命的だよなあと思うのは、「青き」「桃源郷」「Uしか語らない、Uしか信じない」とか、そういう強めのイメージ喚起力を持つボキャブラリーの連打を落としたことにより、Uの理想主義・原理主義的な印象が薄められてしまったこと。そして、Uを説明的に言おうとするあげく、プロレスのアンチテーゼ的な定義づけを持ち出してしまっているところなんですね。うがった意見かもしれないけど、プロレスを落としているように聞こえてしまうキライはある。そういう意図があるとは思わないけれど、結果的にそういう余計な無粋につながっている。

それは、どうしても「説明しよう」としすぎてしまう、地上波メディアの悲しき限界なのかもしれません。

ただ、このVTRで、プロレスを持ち出してしまうというのは、やっぱり安直だし、浅いと思う。プロレスのことはファンにずばっと一回だけ、語らせているオリジナル版とは、やはり手法的に雲泥の差が有ると言わざるを得ない。だって、このVTRのよさに、プロレスは本質的に関係ない。なんだか、連合赤軍とスーパーマンとをごっちゃにしてしまうような乱暴さが有る。バラエティ番組的なわかりやすすぎる安易な接ぎ木は、イメージを拡散させるだけで、「プロパガンダ」としては機能しないと思う。もっといえば、Uはプロレスのアンチテーゼなんですか?

別に格闘技やプロレスのマニアにならなくてもいい。好きですらなくても良い。ただ、与えられた主題に編集者が誠実に取り組めば、こういう無粋な結果にはならないはずだと、僕は思いますね。

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