UFC150レビュー


岡見勇信 def. バディ・ロバーツ

岡見はすでに、アンデウソン・シウバのタイトルに挑むという、日本人としては前人未踏の高見を経験し、そしてそこで、残念ながらはっきりとした敗退を喫した。岡見の胸のすくような出世物語はいったん終了した。本当にあっぱれだったと思う。で、いまの岡見はいったいどういうモチベーションで戦っているのだろう。もう一度勝ちを重ねなおして、ミドル級でベルトを狙うつもりなのだろうか。あるいはたとえば、階級を変えて再チャレンジするといったつもりはないのだろうか。

勝って当たり前の相手にちゃんと勝つというのは、とてもしんどい仕事なのだろうなとは思うけれど、バディ・ロバーツあたりに勝っただけで、金網によじ登って喜んでみせるというのは、どこか岡見らしくないような気がした。ロバーツ云々と言うより、連敗後の勝利だから、雇用確保の意味でうれしかったのかもしれないが、一応テレビ画面の上では、勝って当然といった涼しい顔でしていてほしかった。だってこれまでは、もっと強い人に勝っても、どこか照れたような、手持ちぶさたのような表情しかしなかったではないか。

前回のティム・ボウシュ戦の時も思ったが、今の岡見、なぜかすごく顔がでかく見える。そこに敵のパンチが吸い込まれるように入っていくように見えてならない。今回もロバーツの打撃はまことに怖かった。

最近感じるのだが、このブログや、そのほかの場所でUFC関連の文章を書かせてもらう中で、いろんな選手のいろんな過去の試合や出来事に触れたりする際に、オカミという単語にすごく頻繁に出くわすようになってきている。主要選手の転機になったような場面に、しばしばオカミの名前が直接間接に出てくるのである。そういうのを見ていると、岡見はすでに、UFCの歴史と文化にしっかりと名前を織り込んでいて、無くてはならない太い人のひとりになっているなあという印象を、敬意とともに感じずにはいられない。


ジェイク・シールズ def エド・ハーマン

WOWOWのアナウンサーの言うとおり、WOWOW視聴者にはTKの解説があるからいいが、それにしてもシールズは、よくもあんな地味な試合を堂々とやるものだ。アメリカで50ドル近くを支払ってみているファンの気持ちとか、一つも気にならないものなのだろうか。でもまあ、ストライクフォース時代に連勝街道ばく進中のシールズの試合はこういうものであった。UFC参戦以来のシールズの試合ぶりはむしろ相当に浮き足立っていたのであって、やっと本領を発揮しはじめたのかもしれない。


ベンソン・ヘンダーソン def フランキー・エドガー

前回も書いたけど、やっぱりこれ、何度見ても歯ごたえが全日本四天王プロレスなのである。試合前インタビューなど、コメントにはこれといったおもしろみもない。試合がすべて、試合を見るしかない。そして試合は凄い。凄いが、長丁場になるに決まっているのでその覚悟でつきあわないといけないし、見終わるとこちらまでヘトヘトになる。

とくにエドガーは、試合のたびに過剰な純度のようなものをドンドン高めている。2010年、11年、12年で、エドガーの対戦相手はBJペン、グレイ・メイナード、ベンソン・ヘンダーソンの3人しかいない(それぞれ2回づつ)。こういうのも、四天王が四天王同士で戦うしかなかった状況と似ている。それでも、本当のライバルは対戦相手ではなく、前回の自分自身だったりする。前回よりちょっとづつ、凄くなっていくのだ。これも三沢や小橋がやっていた狂気の作業と実によく似ている。この辺でちょっと空気を抜く方がいいのかもしれない。たまにはリングアウトや、丸め込みでフィニッシュしてもいいではないか。階級を下げるのも一案だろう。エドガーが階級を下げたところで、見たい試合はどうせジョセ・アルド戦だけなので、それが終わったらまたライト級に戻ってくればいいのではないか。


MMA Fightingのダナ・ホワイトインタビュー。あえて一問一答風にやっている。

Q アリスター・オーフレイムの次戦はジュニオール・ドスサントスですか?

ダナ NOだ。

Q ケイン・ベラスケスの次戦はジュニオール・ドスサントスですか?

ダナ YESだ。

Q その試合は年内に実現しますか。

ダナ YESだ。

Q 「ローリー・マクドナルド vs. BJペン」はFOX大会で実現しますか。

ダナ しらん。

Q その試合は実現はしますか。

ダナ YESだ。

Q その試合がFOX大会で実現するとしたら、その試合がメインイベントになりますか。

ダナ NOだ。

Q 次回のFOX大会のメインイベントは別の予定があると言うことですね。

ダナ YES。

Q アンデウソン・シウバはクリス・ワイドマンより先にGSPと戦いますか。

ダナ しらんなあ。GSPはまずコンジットに勝たないといかん。

Q GSPがコンジットに勝てば、次戦はアンデウソンですか。

ダナ わからん。アンデウソンは来年にならないと試合をしないそうだ。だから後で考えるよ。



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普段会場に行っている人からは、何を今更、といわれてしまうかもしれないが、新日本プロレスにまつわる情報やら兆候やらを(「ワールドプロレスリング」番組の占拠率をとか、ニコ動PPV売れ行きとか、G1決勝の客席の詰まり方とか)断片的につなげていくと、新日本プロレスブームはすでに到来したと認識すべきなのかもしれない。3か月後には、地上波プライムタイムでオカダや棚橋が戦い、半年後には日本版レッスルマニアが行われているのかもしれない!

「Get Sports」でG1決勝戦を観戦してもなお、このブームの背景や理由が僕には依然としてさっぱりわからないのが少し寂しいが、古い文脈では計り知れないことが理由なんだろう。たぶん。

一つ言えるのは、ユークス以降なのか、猪木が株を手放して以降なのか、とにかくここ2、3年の新日本が、ごく普通にちゃんとしたプロレスを良心的に、丁寧に積み上げてきていた、ということが、じわじわ効いてきているのかもしれないと思う。テレ朝の番組もちゃんと作ってあるし、周辺のマーチャンダイジングやDVD雑誌のクロスセリングもきちっとできている。こうしたコツコツした努力でも、時間をかければブームが来るというということが事実なのだとすれば、MMAビジネスも大いに見習うべきことなのかもしれない。

なにせG1決勝の舞台のメインが「オカダ vs アンダーソン」なのである。本来なら両国を満員にできるカードではない。ビジネス的に伸びしろがありすぎである。

もう、いま誰のインタビューを読みたいかと言えば、両国や後楽園で屈託無く大騒ぎしているファンの人のインタビューだ。若い人が書いているのかなと思われるプロレスブログもいくつか見ているが、ブログを書くような人は、われわれ世代の劣化版のようなことしか言わないから、逆におもしろくなかったりする。

桜庭、新日本に参戦!10・8日両国大会出場(スポニチ)
柴田がオカダを蹴殺してくれると旧世代にはまことにわかりやすいのだが(笑)。

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MMAを見慣れた目には、日本がこんなにレスリング王国だったとはとても信じられない事実なのだけれども、ところで、

日曜民俗学。五輪の「メダルかじり」について~悪役レスラーの「ベルトかじり」との関係は?(見えない道場本舗)

これはぼくもずっと疑問に思ってた。というか、メダルを噛むポーズがすでに自己目的化・形骸化し始めているようにすら見えた。メダリストの中には、どうして自分はメダルを噛んでいるのだろうと疑問に思いながらやっている人もいたような気がした。そういうのをみると、こっちだって疑問に思い始める。個人的には、Qちゃんが上品にメダルを噛んだ表情があまりにポップだったので、一気にお約束になってしまったのではないかとの仮説を持っていたが、本当にこればかりは人によるのであって、おまえがやるな、実際に食うな!こわいわ!という人も正直いたりした。

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ジョルジ・サンチアゴがストライクフォースと契約、デビューは9月大会、、ウエルター級で参戦。レナート・ババル・ソブラルはベラトールと契約、2013年1月にスタートするヘビー級トーナメントに参戦予定。




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