レスリング・オブザーバによるG1クライマックスレビュー

レスリング・オブザーバによるG1のレビュー(抄訳)。

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オカダカズチカ(24)が、8月12日両国国技館でカール・アンダーソンを破って、史上最年少のG1覇者となった。これまでの記録は1991年の第1回G1で優勝した蝶野正洋の28歳だった。オカダはこれで、IWGPタイトル獲得と併せて、今年のMVPを獲得する公算も高まった。

今年のG1トーナメントは、参加選手の顔ぶれという面からは非常に深みのあるラインアップだったのだが、残念ながら結果平等なブッキングの行きすぎで、ストーリーを生み出すことはほとんどなかった。

つまるところ、G1は勝率5割の選手によるトーナメント戦だった。参加18選手中12名が4勝4敗に終わった。5勝3敗を越える選手はいなかったし、3勝5敗に満たない選手もいなかった。時間切れ引き分けもなかった。ファイトオブザイヤー級の凄い試合と言えば、2日目にオカダが内藤に負けた試合が唯一だった。かつてはG1期間中に、年間最優秀級の試合をやる選手が多かったものであるが、今年は大会時間を2時間半程度に納めるという考えから、短い試合が多かった。15分を超えた試合はわずかしかない。結果、本当に勢いづいたような選手はいなかった。どん底から勝ち上がってきた選手もいなければ、自分を見失うほどに負けが込む選手も、連勝の波に乗る選手もいなかった。オカダはもともと、トップ2の1人としてプッシュされている選手で、そもそも優勝候補だった。唯一名前を挙げた人がいるとすれば、それはアンダーソンだった。

結果平等なブッキングのおかげで、優勝の行方については、最後までどうなるかわからなかった。多くの選手にチャンスを残したまま最終日に突入するというのはよいのだが、誰のことも傷つけまいとしているのか、最後に用意されたアップセットも、みんなを同じレベルにするために組まれているかのように見えてしまい、結果的にアップセットの効果を上げていなかった。

近年、日本のプロレスのトーナメントは、数人の圧倒的な選手、数人の中間層、数人の全敗選手が競い合うものから、最終戦まで出来るだけ多くの選手に優勝のチャンスが残るように組まれるものへと変わってきた。昔流のトーナメントの組み方の方が、圧倒的な選手同士の対戦が「待望の一戦」を作り出してくれる。昔流のやり方ではたしかに意味のない試合も生み出すが、重要な試合には深い意味を作り出し、ストーリーが生まれやすく、アップセットも効果的になる。G1は近年、後者の方に舵を切ってきたが、今年はそれが過剰だった。誰が誰に勝ってもおかしくない、選手同士の差が無いと言う点で、初日に見られた興奮は日を追う毎に落ちていき、途中からまるでWWEのミッドカードを見ているような気分になった。みんなが順番に勝ち、どの勝ちも記憶に残らない。

もっとも、最終戦は非常に強力な大会だった。メインイベントは期待を上回る好試合で、アンダーソンにとっては出世試合、オカダにとっては金字塔の試合となった。オカダにはエースとして会社をキャリー出来るようなオーラが出てきたとも言われており、「オカダ vs 棚橋」は新日本究極の一戦として、来年の東京ドームに向けてのビルドアップが始まることになりそうだ。


最終戦は11,500人満員と発表された。当日券は売り切れ、会場前には若干ながらダフ屋が現れ、定価の2倍の値段で取引していた。同じ両国で8月9日、10日に行われていたWWEの観客数はそれぞれ5,200名、7,000名だった。WWE公演は新日本には影響を与えなかった。同日興業のNOAHとDDTには多少の影響があったとされている。日本ではWWEファンはおおむね、WWEだけを追いかけていて、日本のプロレスは見ていないとされている。新日本も、あたかも小宇宙のような独自のファン層を獲得しており、あたかも90年代のECWの巨大版といった趣となっている。世間一般的には棚橋弘至はビッグネームとはなっておらず、一世代前のスター選手の知名度の方がうんと高い。

しかし、両国国技館の中では、棚橋へのリアクションは全盛期のハルク・ホーガンを思わせる。女性ファンが差し出したタオルを棚橋が受け取り、汗を拭きて返してやると、女性ファンはまるでロックスターに会ったかのように大声を出して喜んんだりしていた。83年頃のダラスでのケリーフォン・エリックのようである。

棚橋はトーナメントで、アンダーソン、丸藤、鈴木に3敗。9月23日神戸大会では丸藤のIWGP挑戦を受けることになる。ここで、結果平等なブッキングが興を削ぐ。丸藤は確かに棚橋に勝っているが、トーナメントではたかだか4勝4敗であり。最終戦ではミッドカードの喧嘩屋、矢野通に負けているのだ。

(オブザーバによる試合採点)
オカダ def アンダーソン ***1/2
アンダーソン def 棚橋 ***1/4
永田 def 鈴木 ***
矢野 def 丸藤 **1/2
ベンジャミン def 小島 **1/2
オカダ def 真壁 ***1/4
後藤 def 内藤 ***
天山 def 中邑 ***1/4
MVP def アーチャー **1/4

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米ケーブルチャンネル、スパイクTVがK-1と提携したことを発表した。2013年以降、アメリカでK-1大会の生中継を行う。また2012年中は、9/8ロス、10/14東京、12/8アテネ、12/26ニューヨークの各大会について、Spike.comで配信する。

>従来K-1はDREAMや戦極と同様、アメリカではHD-Netというチャンネルで放送されていたが、視聴可能世帯数が少ないのが問題だった。これに対しスパイクはほぼ全世帯で視聴可能であり、しかも昨年までUFCの本拠地チャンネル、来年からはベラトールを放送予定で、TNAプロレスリングも放送しているという、格闘技のイメージが強いチャンネルである。アメリカでのTVディールとしては大成功だと言えるのではないかと思う。われわれにとっては、K-1が本当にこんなにコンスタントに大会を行うことができるのかということと、日本でのTVディールはどうなるのだろうかというところが気になるところだ。

レスリング・オブザーバサイトのアンケート調査より。「スパイクで放送されるK-1は成功するでしょうか」
 ・Yes キックボクシングに欠けているのは露出だけ 10.0%
 ・出場選手の顔ぶれによる 33.4%
 ・NO キックボクシングはアメリカでは根付かない。56.6%

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ジョン・ジョーンズのインタビューがMMA Junkieに。例によって平成のイチロー人間的。

(ライトヘビー級はすでに一掃してしまったのでは?)スタイルが試合を作るんだ。たとえば、フィル・デイビスはラシャド・エバンスに負けた。僕はエバンスに勝った。だからといって、デイビスが僕を苦しめないとは限らない。グスタフソンは身長が高くて腕も長い。僕も身長が高いから、おもしろい試合になるかもしれない。あるいはグローバー・テイシェイラの打撃だって強い。階級を一掃したとは言えないよ。だって一掃していないんだから。

(チェール・ソネンについて)この男はジョークだ。ヤツが何をしようとしているのかはわかっているので、つられることはない。感情はすっかり抜いているからね。

ソネンは、ブラジルの子どもたちは泥で遊んでいる、アメリカの子どもたちはノーマルなおもちゃで遊んでいるなどと言っている。ソネンは、他人の親や家族や妻をいじった。ヤツは真性のいじめっ子だ。ブラジルの件では本当にソネンへのリスペクトを失った。レイシストだとすら思う。失敬すぎて受け入れられない。僕はこの件については断固たるスタンスをとる。一国をあんな風に侮辱してはいけないんだ。ああいうことをされると、アメリカ人としてみっともない。

ソネンは僕と試合をしたがっているが、僕としては、しゃべりだけでタイトル戦を許すつもりはない。チェール・ソネンは口だけではタイトルショットをもらえない。タイトルショットに相応しい人はほかにもいるのだと、ここではっきりと言っておく。ソネンはせいぜい、トップ15の選手だ。フィル・デイビスやラシャド・エバンスといったレスラー、あるいはリョートのようなストライカーとソネンがどう戦うのか、まずはお手並み拝見だ。ライトヘビー級はほかとは違うんだ。口が立つからといってランキング上位に入れるわけもない。



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ロンダ・ラウジーの挑発に冷や水をぶちまけるクリスチャン・サイボーグの「公式」声明。なんだかんだ言っても、米メディアでは来年早々にも「ラウジー vs サイボーグ」が実現するのではないかとの見方が多い。両選手にとっても、これ以外に組むべきカードは見当たらないのが現実だ。

ロンダ・ラウジーについていろいろ聞かれるので、ここでもう一度、最後にはっきりさせておきます。私はロンダのことを個人的も、ましてや選手としても、気に留めていません。

ロンダは自分が王者なのだから私に135パウンドまで下げてこいと言っています。ラウジーは北京五輪では154パウンドで戦いましたし、MMAデビューは145パウンドだったのにです。私は笑ってしまいます。私はこれまで、145より下で戦ったことはありません。そして私は、女子格闘家としてP4Pだと見なされています。ストライクフォースの145パウンドのベルトも失っていません。

私が135まで減量すると、自分の肉体を痛めてしまいます(145パウンドでも体脂肪率は8%しかありません)。コーチも医者も、そこまでの急激な減量は長期的に健康に悪影響があると言っています。私は、あの甘えた小娘を満足させるために、そこまでするつもりはないのです。

ラウジーが女子MMAのチャンピオンだというなら、145パウンドであれば喜んで試練の場を与えてあげます。あなたには2本目のベルトを巻ける可能性もある。チャンピオンだというなら証明すればよろしい。

それがイヤなら、135にとどまって、私より強いと1人で勝手に思い込んでいるがいい。私はあなたにかまっている暇などありません。私はしゃべりはリングの中でする。それまではあなたのために息をするのももったいないですから。



ストライクフォース「ラウジー vs. カフマン」は視聴率1.4%、視聴者数67万6千、昨年「ヘンダーソン vs. ヒョードル」以来の好結果!

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ミゲール・トレス(31)がUFCをリリースされていたことが明らかになった。トレスはすでに、11/2のTitan Fighting Championshipにブッキングされている。トレスは4月に、マイケル・マクドナルドにKO負けしていた。UFC移籍後の戦績は2-2。トレスは昨年12月にツイッター舌禍でいったんリリースされたあと、再雇用されていた。


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高橋テツヤ

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