柴田勝頼を愛でる

多忙につき遅筆となっているが、地上波ワールドプロレスリングで観戦した柴田勝頼の試合の感想を書き留めておく。

まずは9.23神戸大会での「柴田、桜庭 def 井上、高橋」

地上波を見ていて、まずゾワゾワして落ち着かなかったのが、実質23分くらいの番組中の7分くらいを使ったあおり映像である。PRIDEとHERO’Sを微妙に混ぜたようなテイスト。味わい深いのか薄っぺらいのか判断しかねる内容。格闘技ファンにおもねっているのか、馬鹿にしているのかが判然としない製作意図。本気ともパロディとも取れる編集様式。どういうつもりで試合を見ればいいのか、僕にとってはかえって身構えてしまうばかりの不思議な導入だった。

試合結果はプロレスとしてはごく当然のものであった。こういう試合をスクワッシュマッチと言うんですよ。スクワッシュマッチからスタートしたと言うことの意味は、この2人の参戦は、長期にわたりますよと言うことだ。それ以外にはまだ何も語られていない。

それでも柴田の試合ぶりには酔えた。まず身体が大きくなっていた。格闘技ではウエルター級(74キロ)の選手であるが、すでにヘビー級プロレスラー高橋を見下していた(ヘビー級だよね?)。そしてあの表情である。オカダのようなストーンフェイスでもなく、棚橋のようなブリッコでもなく、中邑のようにファッションモンスターでもなく、ごく自然に、相手を倒すのだという強い意志が伝わってくる。そして、ひとつひとつの技の説得力も高く、甘えたナンセンスはひとつもない。強い技とリアルな表情が、ビリーバビリティを生み出す。やることなすことすべてが腑に落ちる試合なのであった。

「柴田、桜庭 vs. 真壁、井上」10.8新日本・両国大会

この試合の柴田は一転して、ほとんど何もしていなかった。後付けで考えれば、全く同じ再戦を組んでくるという新日本の塩梅に対して、様子見を決め込んだかのようにも思える。あるいは、前回抑え気味だった桜庭を、今回は前面に押し立てるために、自分は引いていたかにも見える。それでも、地上波でちらっと流れた試合後インタビューの様子からみると、柴田は自分の立ち位置を前回より明確にヒールに見定めたかのように感じられる。それなら、同じヒールの真壁とあんまり熱く盛り上がってしまうのは、たしかにややこしい話だと言うことになる。新日本の主力どころは雁首そろえてベビーフェイスばかりだから、ヒールを買って出るのは大変望ましい。

初登場のスクワッシュ・マッチの意味合いが、深められることはなく、早くもプログラムがやや迷走気味に見えるのは残念だ。これから気持ちよく裏切ってくれるといいのだが。

ちなみに、今回は井上という選手の抽象性が気になった。かねてからこの人は、見る度に久しぶりすぎて驚くというタイプの選手だった。印象というものを残さず去って行くのだ。試合中も、この人の周囲の空間だけは、なぜか無味無臭で、ひどく無意味化されている。キャリア何年の選手なのか知らないが、世間を知らない新人のようにも見える。桜庭のリアリティありすぎの関節技すら、井上に対して繰り出されると無意味化されている。井上がいる限り、あらゆることはペンディングだ。

「棚橋 vs. 鈴木」10.8新日本・両国大会

評価が高いようであるが、残念ながら僕の目には、いつもの棚橋の試合と何が違うのか、さっぱりわからなかった。「鈴木の試合だった」という評価もあるようだが、それもピンとこない。

僕の目には、棚橋の試合は煮ても焼いてもこういう風にしかならない(=見なくてもだいたいわかる)と映るが、それを「安定感」だと評価する人がいるのだろうなと言うことは理解できなくもない。安定感を求めるなら、別にプロレスでなくてもいいのではないかと思うけれども。

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ストライクフォースの惨状を嘆くフランク・シャムロック。BloodyElbow

ストライクフォースは自分の子どものような存在だ。スコット(コーカー)とコーヒーショップにいたときに、スコットが「MMAをやりたいなあ」と言った。文字通りそれが始まりだったんだ。「本気か?どんなに大変か知ってるのか?カネもかかるしリスクもあるぞ」と答えたんだが、結局最後には握手をしながら「よし、やろう!全部つぎ込んで会社を作ろう」ということになったんだ。それ以来、僕の人生はストライクフォース一色だった。本物のマーシャルアーツを、人々に提供するチャンスだった。スコットもマーシャルアーツのことは理解していた。スコットは自由にやらせてくれたよ。僕はエンターテナーだし、リスクテイカーなんだ。だから会社が売り払われたときには、すべてが終わってしまったような気がしたよ。本当にきつかった。

ストライクフォースは終わろうとしている。大きな会社に使い捨てられてしまった。UFCブランドに、ストライクフォースブランドは含まれていないようだ。でも、歴史は繰り返すことになるだろう。ストライクフォースがなくなれば、また新しい大会、新しいチャンス、新しいプラットフォームが生まれてくるんだ。

(ズッファからストライクフォースを)買い戻す金なんて持ってないよ。でも、僕はリスクテイカーなんだ。いまは救い出す方法もキャッシュもないと言うだけのことでね。



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引退を表明したマット・ヒューズ、昔の選手は怪我なんかしなかったと説教

俺らの頃に比べて、いまはどうしてこんなに怪我が増えているのかがさっぱりわからん。8年ほど前には、俺も毎日ハードに練習していたが、怪我なんかしなかった。ミレティッチのところには、ジェレミー・ホーン、ジェンス・パルバー、ロビー・ローラーといった猛者がいて、毎日角を突き合わせていたが、そんなに怪我なんかしなかった。気持ちの問題なのかもしれないな。俺なんて、体調100%で試合に出たことなんかなかったぞ。試合後の傷やコブは実は練習中につくったものだったりした。練習さえしていれば、試合はそんなにきつくなかったからな。ジムの仲間の方が、対戦相手よりウンと強かったからだ。きっと今の選手はヤワになっていて、体調万全じゃなければ欠場してしまうのだろう。



こちらの記事によると、引退後のヒューズは、「MMAジャッジ学校」のようなものを作って、MMAジャッジの育成に力を注ぎたいと語っている。

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撮影が終了し、あとはフィナーレ大会を待つばかりのTUFコーチ、ロイ・ネルソンのインタビュー。MMA Fighting

(ダナ・ホワイトとの確執?について)フィナーレ大会では僕とダナが戦うような気がするよ。実際にそんなオファーまでもらってたような気がする。
どうも僕は、ダナにとってのおいしいところを盗んでしまったようだ。ダナは前面に出るのが好きだけど、そこの役割が僕と入れ替わってきているみたいなんだ。ダナは僕のことを好きだと言ったり嫌いだと言ったりしてる。僕は混乱している。なんだか落ち込んでいるので、いまはただ、食べたいだけだよ。

(シェーン・カーウィン戦の見通しについて)TUFの番組と同じようなことになるんじゃないか。俺はコーチもしっかりやったが、ヤツはたいしてやっていない。僕の相手はチーム・カーウィンだと思っていたが、実際にはトレバー・ウィットマンがほとんど全部をやっていた。だから試合もトレバーと戦うのがいいんじゃないかと思ってる。



12月15日TUF16フィナーレの直接対決を前に、ネルソンとカーウィンは、VADAやWADAの行う厳しい薬物検査を受けるとか受けないとかで揉めていたが、結局ネバダ州コミッションが両者にランダムテストを実施した模様である。その結果は来週発表になる見込みだ。

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OneFCが次回12月クアラルンプール大会を中止すると発表した。理由として、適切な会場がないことをあげており、財政的な理由ではないとしている。次回大会は2月となるそうだ。

J.Z.カルバン、S-cupに参戦=シュートボクシング(スポーツナビ)

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高橋テツヤ

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