ストライクフォース最終戦レビュー


ストライクフォース:マーコート vs. サフィジーヌ(2013.1.12)

いつもながらの派手なKOや一本勝ちが出やすいような、実力差のあるマッチメークが、今回はこれまたいかにも露骨なことかなと思いながら眺めていたストライクフォース最終大会は、メインイベントでアップセットが見られた。「ストライクフォース・チャレンジャーズシリーズ」常連のタレック・サフィジーヌが、元UFCのベテラン、ネイト・マーコートを下して、ストライクフォース最後のウエルター級チャンピオンとなったのである。

サフィジーヌが5Rに渡って執拗に放ち続けたローキックは徐々にマーコートの身体を揺らし、動きを止め、最終的にはマーコートの太ももをどす黒く腫らした。

だれもがもはやこの先UFCに移ってからのことしか考えていなくて、多くの選手がこの大会でリスクを取ることを回避するように欠場を決め、まるで誰もがなりたがらない学級委員選挙の噛ませ犬として押し出されたかのようにメインイベントに登場したサフィジーヌ、ほとんど誰も注目していなかったこの選手が、虎視眈々と腕を伏してマーコート対策を練り、コツコツとそれを実行し、死にゆくストライクフォースブランドの最後の最後に未来を垣間見せたのは、どこか痛快なことであった。試合前には、UFCから何も言われていないと語っていたサフィジーヌ、チャンピオンになった以上、UFC入りを実力で勝ち取ったも同然だろう。

スコット・コーカーは大会の間中、Tweetを放ち続け、いろんな選手に感謝を捧げていた。そしてメイン終了後にはリング上でインタビューに応じ、そろそろ潮時だねと軽やかに語った。DREAMファイターのジャカレイとムサシも強い勝ち方を見せた。ストライクフォース大会は、UFCの「ラスベガスのボクシング」的な雰囲気とは違い、どこかK-1的な軽薄な派手さと、西海岸らしい楽天的で明るくて緩い雰囲気が、それはそれで味があって楽しかった。ビールでも飲みながらノンビリ楽しみたいような大会だった。そしてヒョードルや青木や川尻に本場の厳しさをみせつけ、カラーノやラウジーと言った米女子格のおいしい部分を紹介してくれたのもストライクフォースだった。

個人的に記憶に残るストライクフォースのベストファイトは「フランク・シャムロック vs カン・リー」である。両選手とも、目の前の相手と戦いながら、観客を手のひらにのせる努力を絶え間なく払っていることがをよく見てとれる、座長としてサービスの行き届いた試合だった。カンの強烈なミドルキックでガードした腕を骨折したシャムロックが、片腕のまま悲壮に闘魂を爆発させるようすは、まるでギミックのようでいて、リアルなのだから手に汗握ってしまう。そんななかでも、高まる歓声に思わず顔を見合わせて表情を緩めてしまう両選手の仕事っぷりが嬉しい。コーカーも、会場の盛り上がりはこの試合が最高だったと言っている。これはこれで、プロとして競技とエンターテインメントのバランスの1つの理想型を示したといえるような試合だったと思う。未見の方には各自調査で一見をお薦めしておきたい。

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今年からK1を中継することになっていたはずの米ケーブルチャンネル、スパイクTVが、K1中継を取りやめたことを明らかにした。スパイクでは現在、Gloryのキックボクシング中継を行う方向で交渉中だという。

スパイクTVはベラトールの親会社であり、今年からベラトール中継を開始するが、単なる大会の中継だけではなく、リアリティショーを制作したり、キング・モーをTNAプロレスにも出演させてクロスプロモーションを行うなど、新たな展開を図ろうとしている。MMA Fightingによると、ベラトールMMAとキックボクシングの選手交流などのクロスプロモーションも視野に入っているのだという。

大晦日にはさいたまスーパーアリーナで観戦していたというスパイクTV社長のKevin Kayは、「素晴らしい大会だった。Gloryとは交渉をしている。とはいえ、いまはわれわれはベラトール一色だから、Gloryとのビジネスはあるとしてもちょっと先のことになる」と語っている。

ベラトールCEOのビヨン・レブニーは、「ベラトールのビジネスの考え方はUFCとは違う。いい選手がいれば、MMAの選手をキックボクシングにも出場させたいし、その逆もやりたい。誰でも競技をまたげるとは思わないが、能力がある選手は両方で活用していきたい」と語っている。

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2012 by the Numbers (UFC.com)
2012年、UFCにまつわるいろいろな統計。2012年に一番たくさんの打撃を放った選手は福田力の477発だったのだそうだ。そんなに手数がモーレツという印象でもないので、意外ではあるが、それだけアグレッシブに頑張っているんだなあと。

THE TOP 140 UFC TRASH-TALK MOMENTS EVER (Fighters Only)


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高橋テツヤ

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