UFC156レビュー

UFC156をWOWOWで観戦した。

ジョセフ・ベナビデス def イアン・マッコール

これまでこのブログでもいまいち紹介しきれていないのだが、イアン・マッコールのコメントには、どこかオールドスクールなプロレスラー的な風味がぷんぷんしていて香ばしく、エリートアスリートのような人ばかりのフライ級の中では異色の存在、個人的にはホッと一息付ける選手だったりする。しかし、インディ団体では独自の酔いどれ殺法で屍を築きあげてきたのだろうこの男も、さすがにUFCでは戦い方自体もちょっとオールドスクールに見えてしまい、なかなか白星にたどりつかないのは厳しいところだ。これでUFC戦績が2敗1分けとなってしまった。フライ級は選手層が薄いため、一息つける勝てそうな相手というのがいないのも苦しいところだ。


ダミアン・マイア def ジョン・フィッチ

UFC登場当初、ミドル級で秒殺一本勝ち5連勝で登場し脚光を浴びたマイア、その後黒星がつき始めると、しばらくの間、まるでストライカーのような試合を積み重ねるなど試行錯誤し、勝ったり負けたりしながら戦闘能力を磨き直すと、今回ウエルターに落として、ふたたび寝技王の本領を発揮して見せた。あたかも壮大な自己再生物語を見せつけられたようだ。米メディアは、マイアがフィッチを「アウトフィッチ」した(フィッチをしのぐフィッチぶり)という表現で報じている。


ビッグフット・シウバ def アリスター・オーフレイム

実はウルトラマン並みのスタミナしかないという、これまでは露呈することがあまりなかったアリスターの弱点が、一気にさらけ出されてしまったような試合だった。ビッグフットの会心のKO勝ちと言うしかない。アリスター快勝、ベラスケスとの大一番へ、という既定路線はこれで絶たれてしまったことになる。UFCにとっては札束がごっそり消えてしまったように見えたことだろう。

ポストファイトコンフェランスでビッグフットは、アリスターの息づかいから、激しくガス欠していることは手に取るようにわかったとコメントしていた。またダナ・ホワイトは、「ベラスケス vs ビッグフット」のリマッチの可能性も否定しないとコメントしていた。うーむ、その試合は結構ハッキリした結論が出ていたように思うが・・・

ところで、ビッグフットがしきりに訴えていた「Show me respect」という言葉は、どうも上手い日本語訳がないなあと思っていた言葉の1つである。日本語文脈での「リスペクト」には、なにか神聖不可侵的な大げささがあって、ガイジンが日常的に口にするリスペクトとは質が違うように思っていたのである。そもそもビッグフットはしょっちゅう俺様をリスペクトしろなどと訴えている人で、以前もジョシュ・バーネットに対して、挨拶もろくにできない、選手同士でのリスペクトがたりないなどと、口うるさく非難ばかりする面倒な男なのであるが、そんな涙目のビッグフットを今回見ていて、一番ぴったりする「Show me respect」の和訳は、おそらく「バカにするな!」なんだなと、ひとり腑に落ちたのであった。


アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ def ラシャド・エバンス

この試合もまさに、「ラシャド vs アンデウソン」というマネーファイトが吹っ飛んだというだけの、これといった収穫のない試合だった。それにしてもアンデウソンへの挑戦者が次々につまずいている。ダナ・ホワイトも「これでワイドマンしかいなくなったな・・・」とコメントしていた。


ジョセ・アルド def フランキー・エドガー

アルドのすごさを引き出したのもエドガー、それを正面から受け止め、倍の力で押し返すのもエドガー、プロレス流にいえば、まさにエドガーが作った試合であった。エドガーの試合はいつも、エドガーが色合いを決めている。信頼のエドガーブランド、仕事が出来る人だというしかない。もはや勝ち負けはどちらでもいいと感じさせる領域に達している。感服だ。

ポストファイト会見でエドガーは、「ライトもフェザーも違いはそんなに感じなかった。今後どちらの階級でやっていくかはまだわからない」とコメントしていた。

アルドの次の挑戦者についてダナ・ホワイトは、ライト級タイトル挑戦がほぼ確定しているアンソニー・ペティスが名乗り出てきていることを明らかにした。

裁くは悪徳レフリーのスティーブ・マザガッティだったが、おかしなことも別段起きなかった(この人は止めるのが早いので、えー!エドガーはこれからなのに!となる可能性はあった)。

WOWOW中継では高柳氏の「アルドにも必ず弱点はアルド」が炸裂していた。

ちなみにWOWOW中継にリクエストしたいのだけれど、ラウンドの合間のトーク、イナガキ氏のセコンド盗み聞きミニ情報ばかりでは限界があると思う。ズバリ言って、これまでそんなに興味深い情報が盗み聞きされたことは一度もない。そんなことより、TK採点のスコアでも発表してくれないだろうかと思う。

今大会は負傷欠場もなく、楽しみなカードがそのまま実現したことは喜ばしかった。UFCではなにか欠場対策でも講じたのだろうか。

なおKevin Iole記者のツイートによると、今話題のリック・フレアがマンダレイベイにリムジンで乗り付け、この大会を観戦していたのだというからご機嫌だ

*****

本格派・月額840円の有料オンラインメディア「かみぷろ」(ihayato.書店 – 読むべき本を毎日紹介)

ネット版ローリー・マクドナルドとも言われる、青二才系ヒールブロガーのイケダハヤト氏が、なぜかWeb版「かみぷろ」を持ち上げている。

系統としてはcakesに近いサイトですが、月額840円というのは、週150円(=月600円)のcakesと比較しても高め。なかなかチャレンジングな取り組みだと思います。

ちなみに、FAQを見るとクラウドファンディングという文字が踊っています。「Mission Box」のような、オンラインメディアとクラウドファンディングの融合サイトとなるのかもしれません。



むむ、ほめているのか、けなしているのか・・・?

*****

Kaminoge Vol 14感想に絡めて。僕は幼稚園の頃からプロレスごっこをやって先生に怒られていた口、幼心にBI砲をかすかに記憶している口である。プロレスへの興味が下がったときにも、長年つきあってきたプロレスなんだからということで、つまらないと文句を垂れながらでも、基本的にはつかず離れずでウォッチし続けてきていた。でも今年の新日本のドーム大会では、なんだか結構なとどめを刺されたような気がする。

Kaminoge はこれを「ユニクロプロレス」と称していた。なるほどなと思う。僕なら「コンプライアンスプロレス」とでも呼びたい。とにかく異質とか悪性とか裏とか、そういう要素を排除してかかる平板でナイーブな世界観、そしてその世界観に固執する自警団のようなファン気質。これらは僕にはまるで必要がないどころか、むしろ自分の周囲から排除したいと思っているような要素ばかりだったりする。そういうことがイヤだからこそ、プロレスに惹かれていたのである。

あっさり簡単に言ってしまえば、時代が変わったということなのだろう。このような平板な性質のものが、ある種、商業的に大きくなることがあるということは理解できなくもない。だから、子どもの邪魔をするのはやめて、大人は別の楽しみを探そう、今回は、そんなふうにごくあっさりと、なんの悔いもなく、諦めをつけることができたように思う。

僕に向かって、新日本は昔から何も変わっていないのだと教えてくれた人もいたが、不思議な見方もあるものだ。何を見ていたらそう思えるのだろう。

そんなことより、今号Kaminogeを読み終わって一番感じたことは、アナログレコード聞きたいなあ、であった。僕も大学時代には、オヤユビピアノ(大阪のレンタルレコード屋)で借りてきたLPレコードを、重たいアンプと重たいスピーカーを鳴らしていたものだ。歳をとったらもっともっとでかいアンプとスピーカーを買って、オーディオ親父、ジャズジジイになるんだろうなあと思っていたのだが、情けないことにいまでは iMacにつないだ小さなBoseがすべてになってしまった。こんな機器で聞いているから、たまに音楽までもがオカダカズチカみたいに聞こえてしまうのかもしれない。



スポンサーサイト

毎週更新!

Ad

Ad

MMA Update