UFC Japan 2013レビュー(更新アリ)

UFC Japan 2013大会を会場観戦した。

ハニ・ヤヒーラ def. 廣田瑞人

勝っても負けても何かしら期待を上回るものを見せてくれる廣田選手、今回は1,2R塩漬けにされたあと、3Rに必死で逃げ切ろうとするヤヒーラをあの手この手で追い詰め、ラスト15秒に逆転狙いの飛びひざ蹴りを敢行するなど、最後まで諦めない姿を見せてくれた。同じように1,2Rを取られている展開の試合で、負けている側が3Rの最後まで、結局これといったリスクを取らないという試合は世の中には割に多くて、それって単につじつまが合わない話じゃないのかなと思うのであるが、さすがに廣田ブランドの試合はそんな風に簡単には終わらないのであった。

ただ、前回のストライクフォースでの試合で、泥棒判定だったとは思うけど、記録上は黒星が付いているので、これでズッファ傘下で連敗したことになり、今のご時勢で、次の試合があるかどうかはちょっと心配である。


ディエゴ・サンチェス def 五味隆典

UFCの映像制作は、歓声のボルテージをまるで拾い切れていない、ということは、知識としてはかねて知っていたのだが、今回UFCをはじめて会場で観戦して、五味の入場シーンを見て、それはほんとうに事実だなと強く思った。UFCが制作しFuelが放送している映像を使っているWOWOWの映像を後で見てみたけれど、五味入場シーンの歓声は50分の1くらいしか拾えていない感じだ。これは改善した方がいい。WWEなんて、後で歓声音声を足していたりする。そういうことは大事なのである。

そんなわけで、五味の場合は入場シーンだけでもはや結構、おなかいっぱいで満足してしまったと言うのは実感で、それってまるで小橋建太あたりと同じだなと思ったりした。五味の試合に関するこちらの期待感もだんだん現実的になってきているというか、小橋的になってきているというか、今回も、強豪サンチェスを相手に、とりあえず3Rを、いつぞやのようにガス欠を起こしてフラフラになることもなく、基本的には自分のペースを押しつけて戦い抜いたということだけで、結構満足だったりする。五味の場合は、格上に負けたら、次の試合では格下に勝ち、連勝もしないが連敗もしない感じで、長くUFCにとどまってくれればそれでいいような気もする。ひどいKO負けを喫したりしない限り、ときには一本取られるくらいは愛嬌のうちだろう。本人がどう思っているのかなとは思うけれど、ほかにどうしようもないだろうという気もする。


岡見勇信 def. ヘクター・ロンバード

こちらもテレビからはハッキリとわからなかった部分なのだけれども、岡見の入場曲がなかなか格好良かった。岡見の入場曲など、意識したこともなかったので、前からこれだったのか、今回新調したのか、その辺はわからない。三味線のような音色をつかったロックであって、TAKAみちのくとかTajiriの入場曲と同系列、オリエンタルファイターの定番で、青い目のファンにはわかりやすかろう。リング上で入場を待つブルース・バッファーもノリノリであった。

それにしても、ロンバードに勝ったというのはなかなかにしぶとい話で、普通ならこういう選手はトップコンテンダーの1人に入ってくると思うのだが、岡見の場合はどうだろうか。先だってのフィッチ解雇の背景について、いくつかの米MMAメディアの分析記事を読んだところ、フィッチにはすでにGSPに完敗しているイメージがあり、年齢的なことを考え合わせると、もう一度タイトル戦線に絡んでいくというのは説得力に欠ける、しかしかといって、若手を売り出す踏み台にしようにも、若手相手ではフィッチがまだまだ勝ってしまうのでかえって潰してしまう、その上ファイトマネーは高い、ということで、どうにも使い道がなかったのではないかという解釈が見られた。

これらのことって、残念ながら岡見にも結構当てはまってしまう気はする・・・実力は関係なく、いや、むしろ実力があるからこそ、プロモーターがどう使えばいいのかわからん感じは、ちょっと出てくるのではないかと思う。ビスピン戦をアピっているようだが、うーむ、やってどうなるというか、ぴんとこないような気も・・・それにビスピンは前回黒星だし・・・と、かように勝ったら勝ったで今後の進路が難しくなっていくのである。


マーク・ハント def ステファン・ストルーフ

会場の雰囲気は最初から、まあ、ストルーフが勝つんだろうなと言う共通理解なのである。だからストルーフの世界最大のジャイアント引き込みにハントが吸い込まれると、「あー、これで終わりか・・・」というあきらめにも似た空気が充満する。あきらめながらも、まあ仕方ないな、よくがんばってるよ、と誰もが笑顔なのである。そこをひっくり返すからボルテージの上がり方がすさまじい。見ていてお得感が半端ない。他の多くの選手が、吸い込まれたまま出てこれなかった引き込みを、あのハントが、どうしてひっくり返せるのかはわからない。ハントがそう決めたからだとしか言いようがない。その時点でおとぎ話を見ているような気分になってくる。おとぎ話の結末は、2階めがけて打ち上げるようなハントのK1パンチが、なぜか顔面むき出しのストルーフに次々にヒット、大木が朽ち果てるように倒れ込むストルーフを見て、レフリーではなくハント自身がTKOを決めてその場を立ち去ったのであった。MMAという競技を見ていると言うより、ハントが決めた世界観のなかでみんなが泳がされているような気持ちになってくる。

ハントはいつも相手をノックダウンすると、さっとその場を立ち去ってしまう。MMA選手なら、レフリーが止めない限り、ここぞとばかりに追撃に行くのが本能だと思うので、やはりハントの本能はK-1に残っているんだなと思う。そういえばK1であれよあれよと勝ち進んでいたころのハントも、なぜあのパンチを食らってもハントだけは平気なのか、といった、どこか不思議なところはあった。今のハント、きっとよほど調子がいいんだろう。


ヴァンダレイ・シウバ def ブライアン・スタン

これもWOWOW画面からは50分の1も伝わってこなかったのだが、シウバ入場の盛り上がりもすさまじいものであった。シウバは強いオーラをまとって満面の笑顔で登場、大歓声を一身に浴び、オクタゴンはあっというまにシウバ劇場と化してしまった。あまりのシウバびいきの空気の中、何も悪いことをしていないブライアン・スタンへは、大きなブーイングさえ飛んでいたのだ。

ブライアン・スタンといえば、軍人として功を成したという実績だけでも、アメリカでは広く尊敬を受け、圧倒的なベビーフェイスであるのに加え、まじめでクリーンなイメージ、弁も立つことから、FOX中継ではランディ・クートゥアと一緒に解説席に座っていたりする男である。社会的にも社内的にも認められまくっているエリートである。

おそらくこの異国の地で、桜の花が飛び散るようなシウバの一世一代の入場シーンを見て、先に入場した頭のいいスタンが、生まれて初めてのブーイングをくらいながら、何らかの空気を読んだり、シウバの日本での分厚い歴史を改めて実感したりしたとしても不思議はない。

こういう試合展開なら、今でもちゃんと豪快に勝ってくれるヴァンダレイを見れたことは嬉しい。ローブローを受けても、股間をこすってハルクアップしてくれるからへっちゃらだ。会場で見ていたときには、もうちょっと交通事故的なKOなのかと思っていたけど、あとでテレビで見て、全くもって狙い澄ました一発であったことがわかり、感服しなおしたところである。しかし、なにもこんな、一番危険な試合展開を受け入れる必要もなかったスタンの、どこかJ-MMA的な心意気も嬉しい。ある種、この負けは、空気を押しつけたわれわれのせいだという気がするほどである。この負けはなかったことにしてやってくれという署名をあつめてダナ・ホワイトに提出したいくらいの気分にはなる。

あと、本人は否定しているが、ヴァンダレイは勝ったからこそ、いまこそ引退のいい花道が敷かれている時かもしれないとは思う。


今回の日本大会は前回に比べても、カード発表の段階からローカル色が強く、結果としての味付けも期せずしてローカル風味たっぷりだったように思う。強すぎるローカル風味には批判もあるかもしれないが、僕は単純にとても楽めたし、また見に行きたいと思った。UFC的には2軍のラインアップで、しかし頭を使ったマッチメークで、これだけローカル風味を出せるところに、UFC世界戦略の洗練を見たように思った。わりに低予算で、がっちり大観衆を集めている(アメリカでもさいたま規模の会場はそんなに使っていない)ことから、ビジネス的にもかなり健全であったとしても不思議はないと思われた。

ヴァンダレイ、ポストファイトカンフェランス

なぜかわからないが、日本にいると若返った気がする。



ブライアン・スタンのTweetより

みなさん、優しい言葉をありがとう。しばらくMMAのことは忘れて、あとから今回の意味を考えてみることにするよ。まず家に帰ることにするね。



UFCアジア、マーク・フィッシャー氏、大会後記者会見の最後に。

See you next year!



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レスリング・オブザーバ最新号より

●アドレナリンジャンキーを自認、危険な遊びが大好きで、自ら長生きは出来ないだろうと語っていたドナルド・セラーニが、ロッククライミングの最中に安全器具の誤作動により約12メートル落下するという事故があった。大きな怪我はなく、5月25日のKJヌーン戦は予定通り行われる。これに懲りたセラーニは、これでもう、危ないことをする日々は終わったと語っている。

●チェール・ソネンが自ら経営するピザ屋の共同経営者を訴えた。訴状によると、この共同経営者は店の売り上げ2万ドルを着服した上、ソネンに借りた1万ドルを返さず、さらにソネンから借りている家の家賃12,600ドルを未払いにしているとのことである。オレゴン州ウエストリンにあるソネンのピザ屋の店名「Mean Street Pizza」は、昔のWWFのタッグチーム Mean Street Posseから取られたものだそうだ。ソネンも普段から自らを「オレゴン州ウエストリンのMean Street(貧困地域)」で生まれ育ったとうそぶいている。

●ネバダ州から定期的な血液検査を義務づけられているアリスター・オーフレイムが、アントニオ・シウバ戦の後に行った血液検査の結果によると、テストステロン値がデシリッターあたり179ナノグラムだったのだそうだ。通常テストステロン値の平均は500、300を下回った状態では身体がだるすぎて、試合をするには危険な水準なのだそうだ。



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