サッカーママ、ウルフチケット・・・【ニック・ディアズのめくるめく世界】

やっと書けた!2度の記者会見でのニック・ディアズ発言を抄訳。

ニック節を味わうには、もうちょっととめどない感じ、チンピラ風に与太った感じ、無意味な感じに訳すべきなんだけど、抄訳してしまうと、どうも意味がわかりすぎて良くない。記者も、同席している選手も、ダナも、基本的には笑いをこらえながら、ニックの演説を聴いている感じなので、この記事はそんなつもりで読んでみて下さい。

荒れ狂うニックではあるが、その怒りの根源は、UFC143「ニック・ディアズ vs カロルス・コンジット」の事前煽り番組でのGSPの次のような発言にあることに注意。

UFC 143 Primetime Diaz vs Condit Episode 2

ディアズはクレイジーなんじゃない。あれはフェイク・クレイジーなんだ。あんなものは怖くない。ヤツは本当の俺を知らない。俺はおそらく、ヤツよりもたくさんのストリートファイトをやってきた。俺の中には悪魔も住んでいる。ときには限りなくダークになれる。ニック・ディアズは制裁してやらないといけない。



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UFC 158 conference call audio(3月7日)


俺は賞ももらっていないし雑誌にも載ってない。俺のことなんか誰も知らない。いや、あんたらは知っているんだろうが、メインストリームメディアとか、ナイキとかアディダスとか、そういうやつからは俺は取り残されている。本当はもっともてはやされてもいいはずだ。GSPにはもっと派手な挑戦者がふさわしい。ファンの目からは俺はその派手な挑戦者とはほど遠い。だから怒っているんだ。俺が制裁されるべき失礼な男だとする煽りビデオにも怒っている。

(GSPのダークな面について)俺はそんなことはどうでもいい。ビデオでどんな風に描くのか、事前に聞いていないし、何のアイデアも教えてもらっていない。どう振る舞えばいいのかもわからない。何とか切り抜けるしかない。みんなをエキサイトさせるようなでっち上げをするわけにも行かない。メディアで何が起きているのか、さっぱりわからない。なのにビデオはある種の描き方で、すでに世界に出回ってしまっている。もう後戻りは出来ない。

(メディアに追いかけられることについて)べつにかまわないんだ。ただ、何をするつもりなのかを知っておきたいんだ。昨日はたまたま夜遅くにメッセージをチェックしたから、この電話会見のことがわかった。ちょっと夜更かししていたから運が良かったよ。カメラクルーに追い回されても構わない。ただ、どういう予定なのかを教えておいてほしいということなんだ。ジョルジュは人を雇って、記者会見に送り出してもらったり、代わりにツイッターをしてもらっているんだろうが、俺はそういうのもどうすればいいのかわからない。周りにどう思われているのかも、もはやわからない。街の人はみんな俺のことを見ていて指を指す。俺の毎日はもう混乱しきっているんだ。それにもかかわらず、俺はハードワークを続けている。ペットボトルを手渡してくれる人もいない。毎日自分のことは自分でしないといけないが、それがドンドン難しくなっていく。金の管理をしてくれる人もいない。そういうことも大事だよと人は言うけれど、俺は試合で忙しいんだ。

いまはみんながGSPのように体調が良くて動きの速いアスリートになろうとしている。そんなものはマーシャルアーツではないんだ。俺はこれまでたくさん黒星を重ねてきたが、それでもまだ生きている。それは、みんなが本物のボクシングや、本物の柔術を見たいからだ。5分間の塩漬けを見たいわけじゃないんだ。俺を倒すなら殴り倒して見ろ。

俺だってカネさえあればGSPのように甘やかされたいさ!人がしょっちゅうやってきて甘やかしてくれるんだ。あほか、自分のことくらい自分でやるわ!

(GSP: いいか、この無教育な愚か者よ、よく聞いておけ。僕だって昔からこんな風だったわけじゃない。元々金持ちなわけでもない。底辺からはじめて、ハードに働いて今に至っているんだ。それが理解できないのは、君がまだ成功していないからで、そんなことも理解できないのなら、おそらく君が成功することもないんだろうと思う。)

ああ、結構なことだな、ジョルジュ!俺もそんなタイトなショーツをはいて、結構な散髪をして、周りに全部やってもらいたいよ。俺がどんな場所の出身か、しっているのか。誰も気に留めようともしないクソのような場所なんだぞ。

(GSP: 君が君であり、僕が僕であることは、僕のせいじゃないからね)

あんたが悪いとは言ってない。ただ、あんたは包装紙で包まれた甘えん坊かどうかということだよ。わかっているのかね

(GSP: 君が言っていることは半分もわからない。僕の英語の方がウンとマシだ)

あんたは俺が制裁されるべきだと言っただろ!こっちはあんたのことをそんな風に思っていないんだぞ!誰かが制裁されるべきだなんて思ったこともない。あんたがカメラを通して世界にそう言ったんだ。ダナを通じて、世界一失礼な男は俺だとも言わせた。このあいだ、信号待ちをしていたら、サッカーママみたいな40歳くらいの女性が車の窓から、「あんたなんかGSPにやられてしまえばいいのに!」って叫んできたんだぞ。俺はあんたのおかげで、この小さな街でみんなから嫌われているんだ。俺はただ、頑張って試合のチャンスをもらっているだけなのに、いまや俺が一番失礼な男で、制裁されるべきだというのか?あんたが何か言うと、みんなが信じるんだ!

(訳注)
サッカーママ 中流階級の教育ママのこと。子どものサッカーの送り迎えをすることでお馴染み。



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UFC 158 press conference video(3月14日)


俺が悪者で、ジョルジュがグッドガイであるかのような言い方は気に入らない。このポスターを見てくれよ。これ、何年前の写真なんだよ。いまはフォトショップとかできれいにしたり出来るんだろ。それをあんな汚い写真を使いやがって、そういうことが全然行き届いていないんだよ。俺がこんな風に(オープンワークアウト欠席などを)やっているのも、全部が俺のせいとはいえないんじゃないか。俺だってマネーのためだけに戦っているんじゃない。自分の威厳もかけているんだよ。



(GSPにむかって)おまえさんはこれまで何度、銃を突きつけられたことがある?何人の友達が45口径で撃たれた?踏みつけられて昏睡状態に陥った親友が何人いるんだ?俺はそんな場所を生きてきたんだ。なのにごろつき扱いされたのではたまったもんじゃない。ジョルジュが希望を失ったことなどないだろう。

俺は子どもの頃の自分をいじめたヤツらを指さして、ごろつき扱いをしたりはしない。優れた格闘家になりたくて頑張っている人にむかって、制裁してやると言ったことを言ったりはしない。俺は暴力的な人間ではない。マーシャルアーティストなんだ。レベルの高いアーティストとして尊敬されないと困るんだ。

(GSP: 僕らが今、戦おうとしているのは、君がベストなマーシャルアーティストだからだろう。)

でもあんたはファンに、俺が制裁されるべきだと言ったじゃないか。

(GSP:僕がいいたかったのは、君のことなんか怖くないということなんだよ。)

いいか、ジョルジュが売っているのはウルフチケットなんだ。ダナやUFCが売っているのはウルフチケットだ。君らは一杯食わされているんだよ。



ファンからは、おまえなんかが挑戦する資格はない、トップファイターじゃないと言われた。でもブラザー、ひとつ言っておいてやろう。俺はずっと、打撃の強い選手と戦ってきた。あんたは打撃の強い選手と戦ったことはない。毎回脳を揺らしてダメージを受けているのはこっちなんだ。あんたは打撃が始まるとすぐにテイクダウンして塩漬けにする。俺に言わせりゃ、ジェイク・シールズもカルロス・コンジットもあんたに勝っていた。いまのMMAのスコアリングやら何やらがレスリングびいきすぎる。そのせいでアクションが封じられている。じっとしがみついているだけの選手からは減点すべきだ。レフリーはもっとアクションを促さないといけない。これがマーシャルアーティストとしての俺の意見だ。ステロイドを飲んで、戦いを避けて、じっとしがみついてラウンドを取りに行くというのが現実だ。俺は1ラウンド10分が好きなんだ。10分間戦い続けられるヤツがいるか?

(ニック、あなたは2011年にホテル内でGSPを襲おうとしたと報じられています)
俺の止まっていたホテルにヤツは用事がなかったはずだ。用事があってエレベータを降りようとしたら、ヤツが通り過ぎていくんだ。俺が怖い顔で歩み寄っていったら、ヤツは壁の方によけて道を空けたんだ。それだけだよ、そうだろ、おまえ。

(GSP:君のことを怖がっているとでもおもうのか?頭がおかしいんじゃないのか。土曜日にしっかり教えてやるよ。)

ほーら、脅された。さすが、世界チャンピオンは何も怖がらないんだな。たいしたもんだ。怖いもんなしだ。

(GSP:それと、僕はステロイドは使っていないからな(マイクを投げつけるように置く)。

薬物検査はあるんだろ?あんたは何を怒っているんだい?クソみたいなウルフチケットばかり売り歩きやがって。(肩をふるわせて笑うカルロス・コンジット)

(GSP:3年も前のインタビューの言葉尻をとらえて、いつまで文句を言い続けるんだ。自分にもダークな面はあると言うことを言っただけじゃないか。プロモーション番組なんだ。ろくに覚えてすらいないよ。何も君の人生が悲惨なことになればいいと言っているんじゃないんだ。僕は今減量中で、ほかのみんなもそうだと思うけど、疲れているし、同じ質問を何度も聞かれて少しいらついている。ここでニックと顔を合わせていることは、練習の障害になるよ。)

(ニック、今回はマリファナは大丈夫かと聞かれて)前回は少量のマリファナの代謝産物が検出されてしまった。今回は大丈夫なはずだ。でももし失格してしまったらごめんなさい。これまで何度も合格してきているんだけど。

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(訳注)ウルフチケット:米MMA記者のツイッターでも「ウルフチケットとは何のことだ?」と話題沸騰、ニック独特の用語かとも思われたが、後にちゃんと意味のある語彙であることが確認された。

ウルフチケット
- 本当にやる気はないのに攻撃的にしゃべること
- 起こりえないような嘘の話をすること

UFC 158: The History of GSP and Diaz


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シーザー・グレイシーが、「ディアズが本当に言いたかったこと」を解説!

ニックは、自分がミックストマーシャルアーティストとして、この試合にふさわしい男だと言いたかったんだ。ニックの表現方法は独特だから、慣れていない人にはわかりにくかったと思うが、要するに自分はもっとマーシャルアーティストとしてリスペクトされるべきだと言っているんだ。

あおり番組でバッドガイとして描かれていることに怒っているのではない。GSPを下に見ているわけでもない。自分が何者であるかを表現していただけなんだが、GSPも英語が上手くないので、だんだんおかしな方向に悪循環が広がって、最後には両者とも少し怒っていたようだ。

ニックは別にGSPを嫌いなわけでもない。個人的に嫌うほどの知り合いでもない。ただ、ある種のイメージにあまり感心していないと言うことはあるだろう。ニックのメンタリティは、たとえばBJペンに近くて、マーシャルアーツかくあるべしという考えがある。GSPとは哲学面で大きな違いがあるんだ。



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ニックと一緒に練習をしているロンダ・ラウジーのニック評

ニックはとても優しい人。そして本当に本当にシャイな人。パンクでもないし、切れているわけでもない。ただ、インタビューは苦手で、神経質になるみたいで、神経質になるからこそ避けようとしていて、だからニックはメディアを避けているんだと思う。そのせいで時には誤解も受けるけれども、誤解を受けると彼はますます神経質になる。

そんな悪のサイクルにはまってしまっているけれど、それはけしてニックの本心でもなければ、正体でもなく、ニックは本当に優しい人で、格闘技にすごく打ち込んでいる。ただインタビューだけは苦手で、そのせいで時には抑制を失う。



こちらはロンダのGSP評

どんな試合になるかはわからない・・・そこがこの試合のおもしろいところ。GSPはいつもよりイライラしているようなので、むかしマット・セラに負けていた頃の本物の「ラッシュ」サンピエールに戻ってくれるといいなと思う。私も昔はGSPの大ファンだったけど、彼の戦い方はだんだん変わってきている。それに、女子格闘技のこともあまり好きではないみたいだし。その上ニックも昔からずっと好きな選手だったんで、ニックが勝てればいいなとは思う。



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グレッグ・ジャクソンは、あれくらいではGSPを怒らせることは出来ないと分析

ジョルジュはとても頭がいい。このゲームを完全に理解している。怒っていても、コントロールを失うことなく、ビジネスを遂行できる。桁外れに頭のいい男なんだ。ニックの挑発に応じてしまうような選手ではない。

ファイター・ニックのことは私も大好きだ。ニックはつねに、相手を自分のゲームに巻き込む。相手を金網に押し込んで打ち合いをすれば、彼はまずうち勝つ。テイクダウンしたって、ニックのグラウンドスキルはすばらしい。ニックの手にのるまいと距離を置いていると、ニックは両手を広げて「口撃」してくる。人間性を口撃して怒らせようとしてくる。怒らせてしまえば自分のゲームになるんだ。頭がいい。ただ、そういうことから離れて、自分をコントロールしながら戦えば、ニックに勝つことが出来る。ニックのスマートなプレッシャーをどう対処するかという問題なんだ。


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高橋テツヤ

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