米サウスダコタ州で桜庭の耳がそげたことが問題に?!


米サウスダコタ州で今年、ボクシング・レスリング・MMAを所轄するコミッション組織を立ち上げる法案が州議会に提出された。これに猛然と反対したのが共和党州議員のSteve Hickey氏である。氏はは自らのブログの中で、「MMAケージファイティングはスポーツ界のチャイルドポルノだ」と記し、MMAへの敵意をあからさまにし、コミッション立ち上げ法案からMMAを除外すべく、運動を行った。

Hickey議員のブログより

児童ポルノがアダルトエンターテインメントに引くべき一線であるのと同様、暴力的なエンターテインメントにおいての許容線はMMAだということには、みなさんが賛成して下さることと思う。MMAケージファイティングは、スポーツ界の児童ポルノだ。

心理学の研究によれば、暴力に対する脱感作は、ポルノに対する脱感作と同様である。ポルノの脱感作はご存じだろう。巨乳女性をチラ見するくらいではだんだん満足できなくなり、やがて写真をだけでは満足できなくなり、ビデオにいき、バーチャルに進み、女性に対するいたずら、売春、性犯罪へと進行していく。暴力も同じだ。ボクシングで満足できなくなると、キックやひざ蹴りを見たくなる。そこから、顔面へのヒジ打ちにエスカレートし、金網まで持ち込む。相手が失神するまで殴り合い、それを大勢がペイパービューで楽しむ。ヌンチャクが登場するのも時間の問題だろう。ローマのコロッセオでは、犯罪人を死ぬまで戦わせるというエンターテインメントがあった。それでも物足りず、嫌われ者を連れてきてライオンの檻に放り込んだこともあるそうだ。



Fightlandが同議員にインタビューしている。

(MMAが児童ポルノと同じというのは、いったいどういう意味ですか)

単純なアナロジーだ。ポイントは、さまざまな事柄において、われわれは一線を引かねばならないということだ。たとえば子育てについて、われわれはどの程度、子どもをしつけるべきなのか、一線を引く。顔を殴ったり、道具を使って叩いたりしてはいけないのだ。社会にも引くべき線はある。スピード制限は守らなければならない。大人のエンターテインメントについても同じだ。ことにMMAのような暴力的なエンターテインメントについては、どこに線を引くのが妥当だろうか。私は、線などないと思っている。他人の腕や足を折ってはいけないんだ。そんなことが合法的に行われ、ファンの喝采を浴びる、巨大産業になっている。この州もカネのことしか考えていない。私は、サウスダコタからMMAを閉め出すべきだと考えている。



結局この議員の猛烈な反対にもかかわらず、サウスダコタ州ではコミッション立ち上げ法案が50対20の賛成多数で可決されたのであった。一件落着である。

さて、ここで個人的に問題にしたいのは、この議員のブログの該当ページを見ると、ケージファイトがいかに許しがたい暴力であるかの例として、耳が取れた状態の桜庭和志の顔写真が掲載されているのである。その隣には、2人の選手が戦っていて、その傍らに肉片のようなものが床に落ちている写真が並べられている。そしてこういう説明文が添えられている。「この写真のようなものを観客は見に来ている。ヒジ打ちがケージファイターの耳を削いだ。左側の写真では、削いだ耳が床に落ちている」。

桜庭の耳は2010年大晦日のマリウス・ザロムスキー戦で落ちたものである。議員が使っている写真で戦っている2人の選手が本当に桜庭とザロムスキーであるのかは、一見したところ確認できないが、ザロムスキーも桜庭も、写真の男のようにスキンヘッドではないし、DREAMのリングマットは黒色でもないことから、ここでは無関係の2枚の写真が意図的に並べてられているもの疑いが強い。さらに細かいことを言えば、桜庭の耳はザロムスキーのヒジ打ちで意図的にそぎ落とされたわけではないし、べつにDREAMがサウスダコダでロビー活動をしているわけでもない。

サウスダコタくんだりの議員が、桜庭をたまたま襲った不幸なアクシデントを、MMA全体の暴力の代表例のように扱い、禁止法案の策定材料に使っているというのは、サウスダコダのMMAファイターやMMAファンのみならず、日本のファンにとってもなかなかに違和感のある展開ではないかと思う。耳が取れた状態の桜庭の様子は、本人も周囲も、テレビや写真にあまり写らないように配慮していたように見えたし、ここまで生々しい写真は日本でもあまり出回ってはいなかったと思う。こういう写真を探してきてわざわざ出す行為自体のほうがよほど下品で暴力的だと思うし、桜庭本人の意志にも反しているのではないのかなと想像する。

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CageFighterが、「敗戦選手用、解雇されるかどうかの確認フローチャート」を発表していた。かなり見えにくいが、ざっと和訳を付けてみた。クリックで大きく表示されると思う。

WillYouBeFired_UFC_final2J.jpeg

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イリノイ大学のKraus教授と、カリフォルニア大学のChen教授が、「A Winning Smile」という論文を発表した。この中で両教授は、UFCの前日計量後にステアダウンする2人の選手の表情を比較し、笑顔を浮かべている選手のほうが、翌日の試合で負けることが多いという事実を紹介している。他方で、無表情だったほうの選手が、試合では相手を上回るパフォーマンスを示すことが多かったという。ちなみに、小柄な選手の方が笑顔を浮かべることが多かったのだそうだ。笑顔の心理的な意味合いの研究の一環だそうである。

ちなみに、スポーツ心理学関係のコラムをDropkickチャンネルさんに書きました。無料公開されていますのでどうぞ。

【全文無料公開】MMAスポーツ心理学の最新動向■OMASUKI FIGHT

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●UFC日本大会後の薬物検査で福田力が興奮剤で、アレックス・カセレスがマリファナで陽性に。カセレスは勝ちがノーコンテストに変更された。ESPN

●WSOF2大会に出場予定のパウロ・フィリヨがまたしてもパニック障害を起こし飛行機に乗り遅れたとのこと。それでも一応アメリカに向かったとのことで、デビッド・ブランチ戦は今のところ予定通り行われることになっている。MMA Fighting

●「ダナ・ホワイト vs ビンス・マクマホン」のニュース(?)をノリノリで伝えるUFC Tonightのチェール・ソネン。YouTube

tale of the tape

●UFCデビュー間近のゲガール・ムサシ、留守宅に泥棒が入る!PS3、Dr. Dreのヘッドフォン、ノートパソコンが盗まれたという。Fighters Only

●ベラトールが公式サイト上で、これから毎年ニューヨークで4大会を開催すると発表!え?ニューヨークではまだMMAは禁止されているのに、こんなことをヌケヌケと発表していいの?実は最近、法の抜け穴があることが明らかになったのであった。そのあたりの顛末はMMA Unleashed にまとめたので、有料でスミマセンがご参照下さい。


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