ステイト・オブ・アジアンMMA

OneFCのCEO、ヴィクター・キュイのインタビュー記事を何本か読んだ。キュイの記事って、原稿チェックが厳しすぎるのか、どれを読んでも、ちょっときれい事にすぎるというか、単なる広報資料のように見えて、もう一つ伝わってくるものがない。まあ、そうはいいつつポイントだけ簡単にを紹介しておこう。一時は日本大会をたまアリで、といった進軍ラッパも聞かれたが、今回目を通した記事の中では、最近はこれだけ日本人ファイターを起用しながら、進出先の話の中では日本のにの字も出てきていない。

・キュイは現在41歳。フィリピン系のカナダ人で、実家はセブ島。テコンドー黒帯。

・以前勤めていたESPN Asiaのスポーツメディア局で、ありとあらゆるスポーツをチェックして、売れそうなスポーツを発掘する仕事を担当。この仕事を通じて担当した「マーシャル・コンバット」と言うイベントをきっかけに、MMAの可能性を確信するようになる。

・OneFCのコンセプトは、「チャンピオン対チャンピオン」を、「ラスベガス感覚」で実現すること。素晴らしい試合に加えて、ショーとしても充実させて、マストシーイベントに作り上げること。

・OneFCは、ESPN Star Sports(現Fox Star Sports)と10年間の放映契約を締結しており、アジア28か国、世界70か国で生中継が放送されている。今回のフィリピン大会から、これまでの土曜日夜ではなく、金曜夜の生中継に移行。「フォーミュラワンも、イングリッシュプレミアリーグもない金曜日は、アジアでのスポーツ中継の空白地帯になっていたから」(キュイ)

・これまでマレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンで8大会を開催し、平均観客動員は9,000名。

・2013年は「西洋最大のUFCと、東洋最大のOneFC」が並び立つ年になったとキュイ。「UFCはアメリカでシェア90%だが、OneFCはアジアでシェア90%だ。UFCでは9割が白人選手だが、OneFCでは9割がアジア人だ。どちらも大会場を満員にし、テレビで6億世帯に向けて放送されており、一流企業のスポンサーが付いている」

・アマチュアMMA部門にも着手。マレーシアで行ったアマチュアトーナメント「マレーシア・インベイジョン」には地元選手500名が参加。このトーナメントの模様もStar Sportsで放映されている。

・キュイによると、アジアでのMMA成功のカギは、(1)ナショナルヒーローを創り出すこと、(2)言葉の壁を越えること、(3)テレビ番組としてすぐれたものを製作すること、(4) 文化的にピンとくるものを創ること。

・今年は6か国で12大会、2014年にはは24大会を開催予定。台北、ソウル、香港にも進出予定。まもなく完成するシンガポール国立競技場(55,000名収容)での開催も目指す。将来的には、中近東、トルコにまで市場を広げたい。

・今年からシンガポール経済開発庁からの投資も受けている。

・キュイの参謀役でもあるシンガポールEvolveMMAのチャトリ・シットヨートン会長も次のように語っている。ちなみにチャトリ会長は元ムエタイファイターにして元ヘッジファンドのマネージャー、出身はハーバードビジネススクールだと言うから、文武両道の滅茶苦茶なエリート!

「アジアはマーシャルアート発祥の地、5000年の歴史がある。ブルール・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リーといった映画スターも生み出した。しかし、リアルライフのヒーローを輩出できていない。これまで誰も、リアルライフのマーシャルアーティストを売り出そうとはしてこなかったんだ。しかし、各国にそれぞれの格闘技があって、それぞれのチャンピオンがいる。日本には空手・柔道・合気道があるし、韓国にはテコンドーが、タイにはムエタイが、マレーシアとインドネシアにはシラットがある。地場の強みがあるんだ」

「今のところ、ムエタイしかやったことのない選手にMMAをやらせることは難しい。しかし、OneFCのメディアプラットフォームはすでにムエタイよりウンと大きくなった。だから選手が、『よし、タイを代表して戦い、ビッグマネーを稼いでやろう』と気がついてくれさえすればそれでいい。すでにほとんどオリンピックのような環境になっているんだよ」

「日本対中国、日本対韓国、インド対パキスタン、マレーシア対シンガポールなど、国同士のライバル関係も活用すればいい。」

・同様にアジア展開をたくらむUFC中国支社のマーク・フィッシャーは、中国主要都市でのUFCの認知度が3年前の25%から現在は60%にまで上昇していること、中国の地方局ネットワークで放送されているUFCのレギュラー番組が毎週2000万人の視聴者を獲得していることを明らかにしている。OneFCに対しては、OneFCが耕し、UFCが刈り取るとでもいわんばかりの上から目線!。

「OneFCはUFCの市場開拓の仕事を補完してくれていると思っている。UFCはMMAのプレミアム・ブランドだ。このポジションは当面脅かされることはない。」

(出所)
Noel Zarate, ONE FC’s CEO Victor Cui: Pure Genius, Pure Filipino, Yahoo! Sports Philippines, May 28, 2013

JamesGoyder, One FC’s Victor Cui Surprised by Quick Growth, but Plans to Expand to 24 Annual Events by 2014, MMA Weekly, May 20, 2013

Christopher Clarey, Promoters Circling One Another as M.M.A. Takes Root in Asia, The New York Times, May 18, 2013

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8月17日の「UFC on FOX Sports 1 #1」大会が、メインカード6試合を3時間番組として、先立つプレリミナリーカード4試合を2時間番組として、いずれもFOX Sports 1で放送されることが明らかになったとMMA Junkieが伝えている。さらにそれに先立つFacebook中継の試合が2試合ほどある。

この大会は日本でもFOX bs238で放送されることが期待されるが、ひょっとしたら10試合、5時間にわたる巨大中継になるかもしれない。あるいは、これまで日本ではプレリムの放送が行われたことがないので、メインカードだけの放送になるのかもしれないが、それにしても拡大版になる。対戦カードはこちらで確認

ちなみに、この大会名表記についてであるが、いまのところUFC公式サイトでは「UFC on FOX Sports 1 #1」と、#マークを付けてナンバリングしているようだ。しかし米MMAニュースサイトでは、「UFC on FOX Sports 1 1」「UFC on Fox Sports 1 (1)」「UFC on Fox Sports 1: Boston」などといった表記も混在していて、定着にはしばらく時間がかかりそうだ。


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