「マチダ vs. ムサシ」レビュー


リョート・マチダ def ゲガール・ムサシ

これから自分の試合があるというのに、いつも目の前のことに一切興味が無いといった表情のあのゲガール・ムサシが、入場花道を歩きながらニヤリと笑った。メインイベント開始時刻は現地時間で朝の4時、日本なら主催者が謝罪に追い込まれそうな時間帯だが、観客のボルテージは全く下がらず、ムサシはそのアウェイな観客から強烈なブーイングをもらって、朝の4時にほくそえんでいたのである。いったちどんなハートの持ち主なのだろう。いつもながら、ぞっとする。真の悪党だ。

試合はまるで居合抜きのように、寄っては斬り合いまた離れるといった展開。終わってみれば5R通じてリョートの完勝に見えたものの、試合の最中には「次の一瞬に試合が終わるのではないか」という緊張感がずっと持続していてスリリングだった。ムサシは逆にプレッシャーをかけるのをやめてみてはどうか・・・などと、わかりもしないのに、ついついお茶の間戦術家になって楽しんだ。ミドル級のリョート、うまく生まれ変わっている。

今大会は全部で10試合が判定決着(UFC最多判定決着大会、タイ記録)、試合総時間173分32秒はUFC史上最長だったのだそうだ。1つ短い試合はあったが、それでもこんな記録樹立である。プレリムに凡戦が多すぎるとか、選手の質に問題があるのではなどと複数の米MMA記者が報じていた。

それにしても、ブラジルってアメリカの真南にあるイメージで、時差なんてほとんどないのだろうと勝手に想像していたけど、意外に時差があるんだなあと言うことを今回は学習した。それと、細かいことなんだけど、オクタゴン上にずっと、1匹の小さな虫がひらひらと飛んでいたのが気になった。それを目で追っているうちに、昔の広島市民球場を思い出したりもした。大量の夜の虫が、プレイ中の選手にも飛びかかっていたものだ。個人的には、その虫は名前も書きたくないほど嫌いで、小型一匹が室内にいるだけで完全に戦意喪失負けを喫してしまうので、あんなものが飛んでいるときに、よく戦ったり野球をしたりできるものだと、長すぎる試合を長めながら、そんなことに思いをはせていた。

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ダニエル・コーミエ戦に急遽パトリック・カミンズを採用したUFCに対してベン・アスクレンがひとくさり

ということは、俺ですらこれまでこれといった相手と戦って来ていないと言われたのに、戦績わずか4勝0敗で、対戦相手の合計戦績は合計9勝19敗だったというこの男がいきなりセミファイナルに出れるわけだ。本当の理由を聞いてみたいものだねえ。元ベラトールが世界一になったらそんなにまずいのかねえ。



アスクレンはこのツイートに#fatbaldmansegoistoobig(エゴが肥大したデブはげ男)というハッシュタグをつけているから芸がきめ細かい。でもほんと、なんでこの選手なんですかね。コーミエの友達っぽいけど。ちなみにこのカミンズ、意外にしゃべりはいけてるようなので、機会があれば紹介したい。

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2月4日にワシントンDCの連邦議会で、米国の大手医療機関クリーブランド・クリニックが2011年から継続して行っている「プロフェッショナルファイターズ・ブレインヘルス」研究に関する記者会見が行われた

会見にはUFCのロレンゾ・フェルティータのほか、スパイクTVのケビン・ケイ、ボクシングプロモーション大手のTop Rankのトッド・デボフ、Golden Boy Promotionのリチャード・シェイファー、ジョン・ジョーンズ、グローバー・テイシェイラ、マイケル・チャンドラー、バーナード・ホプキンスといった面々が呉越同舟で勢揃いし、この研究に対するサポートをあらためて表明し、共同で研究資金60万ドルを寄付した。

会見にはまた、上院議員のハリー・リードとジョン・マケインまで参加。90年代にはMMAの天敵であったマケインは、記者から「あなたはむかし、海軍でボクシングをなさっていましたが、当時もしMMAが存在していたら、やってみていたと思いますか」と聞かれて「まちがいなくやっているよ」と上機嫌で答えたと言うから時代は変わるものである。

この研究にはすでに400人の選手が参加しており、頭部へのダメージと脳機能についての詳しい分析が行われている。

このプロジェクトを主管するクリーブランド・クリニックのJeffrey Cummings医師は、次のように語っている

「頭をケガしたからと言って、必ずしも脳のケガにつながるわけではありません。しかし、中には脳の損傷につながり、最終的にアルツハイマーのような症状を引き起こす負傷もある。われわれは最新技術を活用して、どういうプロセスで脳の損傷が発生するのかを突き止めたい。

2つのことを突き止めないといけません。最初の兆候はなんなのか、それをどのようにして検知できるのかということがひとつ。もうひとつは、なにがリスク要因であるのか、どんな事態が最初の兆候を引き起こすのか。これがわかれば、脳損傷の未然防止や、選手のモニタリングに役立つのです。」

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高橋テツヤ

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