珍味!マニア心をくすぐったベラトール初のPPV大会


エディ・アルバレス急遽欠場でミソが付いてしまったベラトール初のPPV大会は、終わってみればどこか気持ちがザワザワするような、なにか見てはいけない事件を目撃しているかのような、一歩間違うと不吉なことが起きそうな、奇妙な愉悦のある大会だった。

ティト・オーティス def アレクサンダー・シェメレンコ

いきなりテイクダウンを取ったオーティスが、そのままスルスルと肩固めを決めて、あっという間にシェメレンコを落としてしまった。ライトヘビー級のロートルが、ミドル級の現役チャンピオンをこんなに簡単に潰してしまって、そこにいったいどんな意味があるのかと心配になってしまうが、ティトの墓堀ボーズに会場はひたすらに大爆発するばかりなのであった。ご機嫌のティトは勝利者インタビューではハルク・ホーガンの物まねまで披露。物まねの選択も40歳代以上向けというか、なぜいまホーガン?というか、どうせならTNAのPRをした方がいいのではなどと思うが、画面から伝わってくる多幸感はそんな屁理屈を完全にねじ伏せていた。

体重差はあったにせよ、シェレメンコがまるでアマチュアのように見えてしまったことも気になった。すべての試合を見ているわけではないが、この選手、弱い相手にはめちゃめちゃ強い勝ち方をするが、大物と戦うと借りてきた猫のようになるところがある。いい人過ぎるのかもしれない。


ウィル・ブルックス def マイケル・チャンドラー(ブルックスがライト級暫定王者に)

1R、2Rと、予想通り寝ても立ってもチャンドラーが圧倒しており、完全決着も時間の問題としか思えなかったのだが、3R にブルックスがグラウンド&パウンドの大虐殺でチャンドラーを大きく削り、そのまま優勢を維持して逆転の判定勝ちを収めた。2R終盤にブルックスがSTOのような感じでチャンドラーを押し倒す場面があって、そのときにチャンドラーはマットで頭を打ち、さらに倒れた勢いで少々のバッティングもあったように見え、それ以降チャンドラーの動きがひどく緩慢になってしまったように見えたのだが、戦評を見てもこんなことは誰も指摘していないので、僕の気のせいかもしれない。

なにせ、いつものチャンドラーの鬼のような圧力やスピードが感じられなかったことは事実だ。結果論だが、今日のチャンドラーなら、失神明けのアルバレスでも楽勝できていたかもしれない。3R戦のつもりで練習してきたブルックスが、急に5R戦に抜擢されたにもかかわらず、ガス欠するどころか、最終ラウンドにジャーマンスープレクスを繰り出すなど、素晴らしくカーディオが充実していたことは、明らかに勝因の1つだろう。

このあと、仕切り直しで「アルバレス・チャンドラー3」が行われることになれば、2連敗中のチャンドラーが暫定王者を差し置いてタイトルショットを得るということになり、「トーナメントが基本」を信条とするベラトール的には、誠に都合の良くないことになる。そんなこともあってか、この試合のスコアカード集計には異常に時間がかかっていた。本部席に大人がいっぱい集まって、小さな紙切れを囲んで難しい顔でスコアを再計算をしていると、金網をよじ登ったブルックスが、早うせんかいとばかりに本部席になにやらアピールしている姿も映し出されていた。こういう一つ一つのシーンが危なっかしくて魅力的だ。

この試合では、リングサイドに陣取るチャンドラーのフィアンセや、ブルックスの父親の表情がアップで抜きまくられていた。ウィナーズコールの時のリアクションなど、わざわざスローモーションで流されるのである。HEROSばりのカメラワークが香ばしい。


ランページ・ジャクソン def キング・モー

会場は一応ランページの地元ということで、モーには大きなブーイング、ランページにはヤンヤの喝采が飛ぶ。モーは洋傘をさしたビキニ軍団を引き連れて入場。うーむ、戦極時代と似ているけれど何かが違うようで気持ちが悪い。試合はランページのボクシングと、モーのレスリングの異種格闘技戦のような様相に。試合時間の半分以上は、モーが金網に押しつけるかマットに寝かせるかでランページを塩漬けにしていたものの、文字通り塩漬けにしていただけであった。立ってはランページの打撃が正確で、ムダ打ちが少なく、浮き足立ちがちなモーに比べると、なんだかちょっと格好良く見えた。

試合前から激しい舌戦を展開していた両者だったが、試合は急におとなしくなって「いかに必要最低限の努力で判定勝ちを拾うか」みたいな展開になっていたように見えた。ところが試合が終わると、判定結果が読み上げられる前から、さっそくリマッチに向けた激しい罵りあいが始まっていた。ずばり、おしゃべりの方がよほど元気いっぱいで楽しい。思わずつかみ合いになりそうになる両選手を必死の表情で分ける係員の無能なたたずまいも素晴らしい。乱闘でも起きたらズンドコにとどめを刺すなあと思って見ていたのだが、この2人ではむしろそれはないなという安定感は感じられた。

ランページはライトヘビー級王者のエマニュエル・ニュートン戦に駒を進めるのが本来ではあるが、どうやらチームメイト対決になってしまうらしく、これをどうにか回避したいというのも、勝者なのにモーとのリマッチを望む理由の1つなのであろう。


大会前にエディ・アルバレスはこう語っていた

Q もしウィル・ブルックスがマイケル・チャンドラーに勝った場合、チャンドラーとのラバーマッチの魅力がなくなってしまいませんか?

アルバレス 僕は「スタイルが試合を作る」と思っているから、どんなに強い選手でも上手くいかない日があったりするものだ。僕にもそんな経験はある。もしそんなことになれば魅力はすこし損なわれるとは思うけど、それでも僕らの試合はファンの興味を引くと思うから、ラバーマッチをやらないということはないと思うよ。



大会後、ビヨン・レブニーの記者会見より

実を言うとエドとの契約書には、次の試合はマイケル・チャンドラー戦になると明記してある。だから、エドがチャンドラーと戦うというのなら、こちらとしては契約上、その試合を組むしかない。エドにはその権利がある。これからどうするか、エドとは話し合わないといけない。われわれとしては条件も含みも何もないし、代案を出せる立場でもないんだ。



PPV売上件数の下馬評は、エディ・アルバレスの欠場の悪影響もあって、5万件とも2万5千件ともいわれている(Yahoo! Sportsより)。

ダナ・ホワイト、ベラトールPPVの売上げ予想について

私の散髪をPPV中継する方が、ベラトールよりよほど売れるわ





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高橋テツヤ

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