UFC173レビュー

 今大会UFC173と次回のUFC174は俗に「谷間大会」と称され、多くの人の期待は夏のビッグショーUFC175に向き始めていたところ、あたかも目を覚まして下さいと、期待度の低いファンの横っ面を張りたおさんばかりの、すさまじく充実した内容だった。

今大会で印象に残ったことは、ラスト3試合すべてで、判定にもつれ込んでも間違いなく勝てたはず側が、最終ラウンドにきっちりフィニッシュした、ということである。全員、最後は流しても不思議のない状況でも、手を緩めることなく、すさまじいフィニッシュシーンを見せてくれたのだ。

そういえばかつて、流すことこそMMAだなどと語り物議を醸したJ-MMAファイターもいたように思うが、今大会などをみていると、実は屁理屈上でも、実際には流すことにさしたる合理性はないのではないかという気すらしてくる。

水垣偉弥 def. フランシスコ・リベラ

このブログで書けるようなフックがなかなか見つけにくいくらい、水垣選手の強さや戦いぶりは、場にはまっているというのか、馴染んでいるというのか、ごく普通に強いというところが頼もしい。ちなみに、これで堂々のトップコンテンダーに名乗り出たのだから、ジョー・ローガンにはちゃんと勝利者インタビューをしてほしかった。ここでスポットライトを当てないでどうするのだ。


ロビー・ローラー def. ジェイク・エレンバーガー

相変わらずオールドスクールなケンカ殺法がうれしいローラーだが、ストライクフォース時代のややもすれば枯れたような老練な魅力はどこへやら、いまやすっかり若返り、動きも動物的でファンキーで、まさに「乗っている」感が半端ない。どこかの記事で読んだが、これまではプロモーターからいわれた仕事を淡々とこなすばかりで欲のなかったローラーも、最近では貪欲に自分から対戦相手のリクエストを出すようになっているのだという。この調子ならもうしばらく、リバイバルヒットを楽しませてくれることだろう。


ダニエル・コーミエ def ダン・ヘンダーソン

こういうのを文字通りの「蹂躙」というのだろう。ダンヘンはもうずっと、濁流に押し流されそうになるところを、何かに必死につかまり続けていただけに見えた。絵的には試合はもはや「コーミエだらけ」だった。コーミエの強さは異常で、ダンヘンはつくづく辛そうだった。僕など、なにかとツキのない、まるで冴えない人生を歩んではいるが、コーミエに乗られていないだけまだマシだと思ったほどだ。


TJディラショー def ヘナン・バラオン

ひょっとしたらUFC史上最大のアップセットだったかもしれない。個人的には不覚にも、ディラショーがここまでどんな戦いぶりで、どんな戦績を挙げてきた選手なのかも、おもむろには思い出せない。この試合もどうせ、バラオンの後ろに積み重なる地味な屍の列が1人増えるだけだろうと、高をくくっていたのは確かである。試合前にはダナ・ホワイトも、バラオン長期政権を予期してか、バラオンがいかにすごいファイターであるのかを、珍しく統計を駆使して懸命に説明していた。その様子はまことにダナ・ホワイトらしくなく、統計でも使わないと、他に説明のしようが無いのかもしれないと思われた。

だから1Rにディラショーがダウンを奪ったシーンでは、恥ずかしながら部屋で一人、驚きの大声を実際にあげてしまうほど、かなりの勢いでびびってたじろいだ。右へ左へ、柔らかく多彩に的を絞らせないディラショーの動きは、どこか欠場中のドミニク・クルーズを思わせた。クルーズ長期欠場、バラオンの連続完封勝ちのせいで、無風状態が続いていたバンタム級だが、これで急に沸き立つように風通しが良くなった。ディラショーの強さが、チーム一丸でバラオンを徹底分析したことによるピンポイントの強さなのか、それともいつなんどき、誰も寄せ付けないような圧倒的なものなのか、というところが気になる。それにしても、これでブラジル人チャンプはとうとうアルドだけになってしまった・・・

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あのソクジュがベラトールと契約した模様。プロモーショナルデビューは6月6日のベラトール121の予定。レスリングオブザーバー。

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OneFCでのプロモーショナルデビューが5月30日に迫ったベン・アスクレンは、1週間の弾丸プロモーションツアーでマニラ、クアラルンプール、ジャカルタ、プノンペンを歴訪したようだ。行く先々で取材攻勢を受けてビックリしたと本人がブログ形式でMMA Weeklyに寄稿している。このあとはシンガポールのEvolve MMAをベースに、試合まで調整を行うとのことだ。

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リッチ・フランクリンがあのTEDでスピーチをしている。題目は「じょうずにルーザーになるには」。OneFC経営陣入りの話はどうなったのだろう?

How to Be a Loser: Rich Franklin at TEDxUChicago 2014

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高橋テツヤ

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