UFC181レビュー


アンソニー・ペティス def ギルバート・メレンデス

相手をせわしなく押しつぶそうとし続ける回転地獄車のようなメレンデスを、落ち着き払った剣の達人のようなペティスが冷ややかに眺めていたと思ったら、急に真剣を振り抜き、ごく少ない手数で確実に斬り落としてしまった——そんな図式のメタファが浮かんだ試合だった。メレンデスが足し算の人だとしたら、ペティスは引き算の人のように見えた。UFCって、基本的に足し算の競技だと思っているので、ペティスのような存在はちょっと風変わりでとてもおもしろい。原理的には日本人が参考に出来る戦い方なのではないかという気もしないでもない。


ロビー・ローラー def ジョニー・ヘンドリックス

ローラー、Sam & Dave の「Hold on, I'm Coming」(待ってろよ、いま行くから)で入場。シブすぎ。1Rのローラー、キレッキレで超アグレッシブ、ジョニヘンより身体が大きく見える。でも2R以降、ジョニヘンが試合をいなし始めると、やっぱりジョニヘンが大きく見え始める。ジョニヘンが壁に押しつけている時間が長く、まあ一応やや優勢なのではないかと見える。ダナ・ホワイトは試合後、「相手の足の間に頭を突っ込んで3ラウンドも過ごしたんじゃ、勝てないよな」と語っていたと言うが、身体が離れた時間帯のローラーの手数も妙に少なかったのも事実で、なんでこんなに手数が少ないのかは謎で、どちらかがどこかを痛めたのではないかとも見えたほどである。最終ラウンド、ラスト30秒にローラーが大爆発し、試合終了後にも猛烈なメンチを切り続けたのも、そのココロはわかるようでわからない(姑息に判定を取られたと覚悟してヤケクソになっていたかのようにも見えたが、どうだろう)。恐れながら僕の判定では48-47でジョニヘンだったので、結果にはビックリしたが、心情的はローラー応援団ではあるので、儲けた気分でもある。それにしても、ジョニヘンのあのビックリするほど伸びる左のメガトンパンチが出なくなったのは、やはりローラーが出させていないから?結果論だけど、あの爆弾が不発のジョニヘンって、同じような際どい判定の試合ばかりを繰り返しているので、なにかもう1つ、ブレイクスルーが必要なのではないだろうかと思う。


さて、こうしてUFC久々の正真正銘のビッグマッチを堪能し、最近乱造気味のFight Pass大会などと比べてみれば、やはり「一流選手だけが紡ぎ出すことができる濃密な世界観」のようなものがまぎれもなく存在するものだとつくづく思わされる。そこで繰り広げられている世界は、選手がやっていること考えていること、慎重なのか無謀なのか、作戦通りなのかアドリブなのか、効いているのかいないのか、すべてのことが必ずしも目に見えるとおりだとも限らず、リアルファイトなのに、どこか虚実ない交ぜにも見えてくるから不思議だ。メインイベントの判定結果には驚いたけれども、ではこの試合で起きていたことをちゃんと見通して、優劣を判断することが出来るジャッジなどこの世に存在するのか、この試合のジャッジの正解は何だったのかと問われれば、適当にサイコロを振っても勝ち負けは決まるわけで、もともと判定にもそれと同じくらいの意味しか無いような気さえしてくる。

トッド・ダフィになんだかヘンなカリスマ性がありましたな。僕は結構、今後を期待しましたよ。

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Invicta FC 10では「カラテ・ホッティ」ミシェル・ウォーターソンが、今回がプロモーショナルデビュー戦だったブラジル人のエリカ・ティバーシオに一本負けを喫しベルトを失った。ティバーシオは前回大会で浜崎朱加と対戦予定だったところ、ビザの問題で渡米できず欠場した選手。そんな人がいきなりタイトルショットというのはいかがなものか、それなら浜崎が挑戦してもよかったのではないかとも思われたが、試合運びを見る限り、ティバーシオはなかなかの実力者で、立っても寝てもカラテガールの一枚上をいっていたようには見えた。特にちょっと力負けに見えてしまったので、ウォーターソンが1階級上げてUFC入りという、誰もが思いつくアイデアはかなり遠くなったかも。勝ったティバーシオはリング上でワニのポーズで這い回って見せていたから、きっとジャカレイ一派なのだろう。モダフェリちゃんも頑張って勝ったし、今回はなかなかの好試合が多かったですよ。

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CMパンクはWWEとけっこうウラミツラミの残る別れ方をしたから、突然のUFC入りは、ビンスへの意趣返しのようにも見えなくもないなあ・・・MMAに転向するなら、ベラトールの方が甘やかしてくれて、ポップな感じに仕上げてくれるのではないかなあとも思われるが・・・もっとも本来なら、アメリカ市場進出を狙う新日本が獲得すべきだったような気もするけれど。

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高橋テツヤ

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