あるべきレフリングとは主観的?客観的?

Five Ounces of Pain: McCarthy talks officiating faux pas (CBS Sportsline)

元UFCレフリーのビッグ・ジョン・マッカーシーが、最近のMMA大会で見られた「疑惑の判定」についてコメントしています。なんだか、「ルールの番人」みたいで貫禄があります。ルール解釈について興味深いインタビューでしたので、長文でしたががんばってご紹介してみましょう。かなり端折ってますが。

Quote;
Q:来月の Association of Boxing Commission に、グラウンド状態での頭部へのヒザ攻撃を許可すべく提案をするそうですね。

A どんなスポーツでも、ルールを毎年見直しています。グラウンドでのヒザはMMAの意義深い技術要素の1つです。しばしば選手は、頭部へのヒザがないものと思って、頭をがら空きにしていることがあります。今の選手は、ヒザがあるならあるで、既に十分対応できるほど賢くなっていると思います。

封印された経緯は、2000年のニュージャージー州の試合で、300パウンドの大男ガン・マッギーがグラウンド状態で、230パウンドの対戦相手の頭部にヒザを入れていたものを、ニュージャージ州アスレティック・コミッションが見ていて、これはひどいと言うことで禁止にしたのです。

それ以降長い年月がたち、このスポーツも進化してきました。この点についてはそろそろ見直しても良いのではないでしょうか。これによって、試合に展開が生まれる可能性があります。かりに、あなたがサイドポジションを取っていて、私が下にいるとします。私には出来る反撃の手段はほとんどありません。ヒザが打てれば、脱出できることもあるでしょう。

Q EliteXC でのロビー・ローラー vs スコット・スミスについて。ロビーの指がスコットの目に入り、試合はノーコンテストとなりましたが、スコットは5分間の休憩を与えられませんでした。

A スコットが「目が見えない」といったから試合は止められたのです。選手がそういっているのに、試合続行の指示をするドクターはいないでしょう。

誤解されている点は、統一ルールにおいて、反則や休憩時間については、誰にでも分かるようには書いてあるわけではありません。反則から回復するために最大5分間が与えられるとあるだけです。実際には、それで全ての反則をカバーできるわけではありません。休憩時間は様々な要素を勘案して決定されます。例えばローブローを受けた選手にたいし、ドクターが「1分間の休憩で再開可能」という判断を下すこともあります。これに対し選手は「もっと時間を欲しい」ということが出来ます。5分までならレフリーは許可せざるを得ません。選手が時間をコントロールできる唯一のケースです。

スミスの場合、ドクターが5分間休ませてみようと言うことも出来ました。もしスミスが、「目が見えない」と言わなかったら、そうしたものと思います。

Q 同じ大会で、キンボ・スライスは20発もの打撃を受け続け、反応がありませんでした。止めるべきではなかったでしょうか。

A いいえ、すべては主観なのです。あのトンプソンの打撃は、本当に強いものでしたか?両選手ともスタミナ切れしているように見えませんでしたか?

キンボがサイドポジションを取られていたのにはいくつかの理由があるでしょう。ガス欠していたと言うこともあります。あいている方の手で、大丈夫だというサインを送っている様子が見えました。レフリーのダン・マイラゴリッタが「力が入っていないな、ダメージがあるというより、疲れているんだな」と思ったのもうなずけます。すべてはダメージの度合いによるのです。

Q では3RのキンボのTKO勝ち宣告については?

A 自分ならどうしたか、といわれれば、違う判断をしたと思います。トンプソンはおおむね試合をコントロールしており、勝利に向かっていました。キンボの打撃が強烈で、トンプソンがぐらついたのも明らかでした。ただ彼は、1Rでも2Rでも、ぐらついては生き残ったのです。自分なら、勝利に近い選手からあの時点で試合を取り上げることはしません。トンプソンはあそこから反撃したり、防御する能力のある選手でした。

ただ、試合を裁くのはダンの仕事で、彼が間違ったとは思いません。彼は、トンプソンのダメージが大きく、試合を続けさせられないと考えたのでしょう。

Q UFC85でダン・マイラゴリッタは、ヴェウドゥムとベラの試合をこんどは早く止めすぎたと言われています。

A それも1つの意見でしょう?ダンが言うには、ブランドンは悪いポジションにあって、打撃を受けていて、反応が出来ていなかったということです。若手選手とベテラン選手とで、止めるタイミングが違う、ということはありえます。自分もブランドンはうまいやり方で防御できていたとは見ませんが、打撃は当たっていたかなとの疑問はあります。

Q UFC85でネーサン・マーコートはターレス・レイチの後頭部にエルボーをあてて減点されました。解説のジョー・ローガンは、ヘッドフォンをしたときにそれより後ろに有る部分が後頭部だと言っていました。

A ローガンの説明は正確ではないですが、それは彼のせいではありません。彼はそんな風に聞いたのでしょう。ルールには、「後頭部を直撃してはならない」と書いてあるだけなんです。レフリーがそれぞれの意見を持つ余地のある、曖昧な書き方です。

私はルール策定の場にいたのでわかるのですが、後頭部とは、頭頂部から後ろに向かってまっすぐにおろした線の両側1インチ程度を言うのです。モヒカン頭を想像するといいでしょう。マーコートのエルボーは耳の後ろでした。ルールの本来の意図から言えば、あれは反則ではありません。

Q マーコートはパイルドライバーでレイチの頭を突き刺しました。これは反則ですか?

A そうです。ルール策定時に想定していた投げ技の反則は、まさにパイルドライバーでした。

End of quote;

「レフリングは主観なんだ」と言い切っているところが気持ちいいですね。戦いの中で起こるよろづの現象を、短くて多義性のない文章であらかじめルールにまとめておくことなど、できるはずもありません。その場その場の「主観」ということで正解なのだろうと思います。尋ねられたときに、その主観をちゃんと語ってくれればOKです。およそ評価というのはそういうことだろうと思います。会社の人事評価なんかでも同じことですね。

日本で疑惑のレフリングやジャッジングがあったときに、「オレは主観でこう考えたんだ」とやってしまったら、より一層火に油を注ぐ結果になってしまいそうですが、それは主観が悪いのではなく、説明がわるいんでしょう。説明の仕方として、ジョン・マッカーシーのものの言い方は参考になると思います。原文ではもっと丁寧に、かみ砕いて説明しています。

ところで、このインタビューでも話題になっている、UFC85のターレス・レイチ vs ネーサン・マーコートを見直してみましたが、非常にコントラバーシャルなシーンのオンパレードだったんですね。全部やったのはマーコートの方なんですが、まずレイチが片膝状態にも見えるときに顔面にヒザを入れました(減点1)。さらにレイチの後頭部にヒジを入れました(これも減点1)。試合終了間際には、パイルドライバーを炸裂させています(減点無し)。

しかしヒザは立ち上がり際で、三崎の秋山殺しではないですが、「流れ」で見れば微妙でした。後頭部と判断されたヒジも、側頭部に当たっているようにも見えました。レフリーのハーブ・ディーンは、おまえ、さっきも注意しただろ、といいながら減点していましたが、放送席はレフリーのミスだと明言していました。パイルドライバーは終了直前で、レフリーが介入する時間がありませんでした(これは終わったあとでも減点すべきだったと思う。それにしても、パイルドライバーを見て直ちに、「サップvs ノゲイラ戦以来の大技だ!」と叫べるジョー・ローガンって、一体・・・)。いずれも、マーコートにルールの認識不足があって、ついやってしまったというのでもなく、悪意・故意で反則を犯したわけでもなく、あえてルールの際をねらって攻撃しているようにも見えました。試合じたいはマーコートが押せ押せでしたが、2名のジャッジが28対29でレイチを取るなど、結果は減点がモロに響いており、ネットの評判は、マーコートの負けはないだろというものでした。

ところで、レイチのトレーナーは、マーコートがパンクラス時代にヒカルド・アルメイダにチョークで敗れた際、レフリーのストップのあとに、負けたのにアルメイダに殴りかかったことあると指摘、マーコートのような人間は反則失格にすべきだと息巻いています。アルメイダのセコンドのホイス・グレイシーが血相を変えて飛び込むシーンがこれです。こういうのを見ると、マーコートもワルの要素はあるなあ(笑)。


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Guy Mezger clarifies previous statement (MMA You)

先日報じたガイ・メッツァーの「PRIDE作り試合発言」で本人がフォローをしています。

自分の試合にフィクスト・ファイトやワークト・マッチがあったと言っているのではない。ただ一度だけ、佐竹戦について相談を受けたことがあった。

いつもPRIDEの会場にいる二人の日本人がやってきて、次の佐竹戦について話し合いたいと言う。ファンが喜ぶように、スタンドで試合をすべきだと言い張るんだ。おそらく佐竹がグラウンドを出来ないからなんだろう。僕は答えた。いつものようにベストを尽くして、良い試合をしようと思うが、何も約束は出来ないってね。そしたら彼らが戻ってきて、報酬をはずむと言ってきた。僕は断った。そしたら今度は、日本のプロレスに話をつないで、もっと稼がせてやると言ってきた。そして、佐竹にとってこの試合で勝つことがどんなに重要なことなのかの説明を始めた。で、僕は、みなまで言うなと会話を終わらせたんだ。

・・・あの試合での佐竹はずるいことばかりして、ひどいものだった。佐竹がロープをつかんだり、ロープに足をかけたりするのを大声で指摘すると、レフリーまでもがイエローカードを出すぞと注意してきた。

自分はPRIDEに好かれていたとは言えない。僕がPRIDEに出られた理由は二つ、一つは自分がキング・オブ・パンクラシストであったこと、もう一つは自分の代理人がPRIDEのアメリカ進出に関して重要な役割を果たしていたからだ。


言えば言うほどドツボだと思いますけどねえ・・・記録を見ると佐竹戦は2000年5月1日の Pride GP 2000 決勝で行われ、メッツァーが判定勝ちしています。なんだ、負けてないじゃんか。メッツァーはいまは HDNet Fight でタレント・リレーションを担当しているはずなので、よくその立場でこんな事を言いますねえ。

圧力を掛けるのは今風ではないかもしれないけど、プロモーターとかエージェントって、ポッと来日するような外国人選手には、大会や試合の背景やコンテキストを説明したりするんでしょうかね。プロとして仕事をする以上、そういうのって必要な情報だと思うけど。で、そんな話を受けて、圧力と感じるのか、チャンスと感じるのかは、選手の意識のありようではないのかなあ。

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