【UFC on FOX 15: Machida vs. Rockhold】レビュー


UFC on FOX 15をWOWOWなどで鑑賞。アルジャメイン・スターリングといい、ベニール・ダリウッシュといい、ペイジ・ヴァンザントといい、マックス・ホロウェイといい、新鋭が揃って、圧倒的に強い勝ち方を誇示するような結果となった。これほどはっきりした結末が次から次へと見られる大会だとは思いもしなかったし、こんなに新陳代謝が早くては、敗者の余韻を味わう暇もない。

ジャカレイとロックホールドはともにビックリするほど強い勝ち方で、トップコンテンダーの資格を主張しあった。ジャカレイの圧勝はまだしも、ロックホールドがマチダをあんなに圧倒するとは夢にも思わなかった。ついでにいうと、ロックホールドの佇まいから、アスリートっぽい素人臭さが抜けて、「与太れ」感が出てきているのは、プロっぽくて悪役ぽくって好ましいことである。

負傷がちのワイドマンの試合間隔が長くなっていることもあって、ミドル級の上位には文字通り殺し屋が列をなしてタイトルショットを待っている状態だ。大会後記者会見でダナ・ホワイトは、次のコンテンダーがジャカレイとロックホールドのどちらになるかはこれから考えると語り、現段階での明言を避けている。試合後リング上で「俺は自分の仕事をやった。ワイドマンもまず仕事をちゃんとしろ(ベウフォート戦で防衛)。そしてMSGで決着しよう。歴史を作ろうじゃないか」と語ったロックホールドは、バックステージでは「UFC187のセミファイナル(ワイドマン vs ベウフォート戦)が流れる場合に備えて、準備をしておこうぜ」とジャカレイに対して呼びかけている。

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ベラトールによる出場差し止め請求が認められ、4月25日のUFC PPV大会での試合がキャンセルされたクイントン・ランページ・ジャクソン。これによりUFCとしては、ベラトールがランページに対して起こした契約違反の本訴が決着するまで、ランページをブッキングすることは法的に出来なくなった。このあとのランページの選択肢は、ベラトールと何らかの形で和解をするか、裁判を最後までやり通すか、引退するかということになろう。ベラトールの差し止め請求が認められたからといって、本訴でもベラトールが勝つとは限らないのだそうだが、差し止め請求が認められた以上、裁判官がベラトールの言い分に一定の理があると見なしたことには間違いがない。

ランページが勝訴し、晴れてUFCに登場するにしても、裁判には数年かかるだろう。敗訴した場合、ランページはベラトールマットに復帰し、残り3試合の契約試合を消化することになるのだろうが、その後UFCに復帰できるかどうかは、ベラトールに「マッチング条項」がある以上、保証の限りではない。ランページは現在36歳、当然もはやベラトールマットに戻りたいとは考えていないはずで、場合によってはこのまま、事実上の引退に追い込まれる可能性も出てきた(レスリングオブザーバー4月13日号)。

この件については、どこかランページを突き放したようなUFCの声明も印象的だった。

ジャクソン氏はこれまで複数回にわたり、自由にUFCと契約交渉をおこなうことができる身分である旨を自称していたため、UFCでは今回の裁判所決定について驚きを禁じ得ない・・・UFCでは今後、本件について自社の権利を守り、損害を最小にするためのアクションを取ることになる・・・



ベラトールがUFCを訴えるのではなく、ランページ個人を訴えたことも興味深いと指摘する向きもある。どうも今回は、ランページが策に溺れて、ハシゴを外されたようにもみえる・・・

一方、アンデウソン・シウバは「2016年リオ五輪にテコンドーで出場したい!」とか、「ブラジルでニック・ディアズと対戦したい!」などといった願望を次々に口にしている。しかしアンデウソンは、もともと3月に予定されていたネバダ州コミッションからの出廷要請を2度にわたり延期しており、薬物検査要請に対する正式な処分すら、いまだに決定していない状況だ。事実上、試合に出場できない状態であるにもかかわらず、クレイジーな願望ばかりを垂れ流す様は、なんだか見るに堪えない切ない状況だ・・・

ヴァンダレイ・シウバも先週、MMA Fightingにクレイジーなインタビューが掲載され、「薬物検査は試合当日にのみ行われるべきで、競技期間外の抜き打ち薬物検査は憲法違反だ!」などと珍説を披露している。ヴァンダレイはご存じの通り、ネバダ州による抜き打ち検査から走って逃げ出し、結果的に「選手ライセンス終身剥奪」処分を受けているため、UFCとしてはもはやヴァンダレイをブッキングすることができない。UFCはなぜか、そんなヴァンダレイをリリースせず、放置プレー状態にしている。

これらのケースに共通することは、場合によってはもはや周囲から「先生」呼ばわりされていても不思議のない大ベテランたちの、ある種の避けがたい、哀しみの老害症状なのかもしれない・・・他山の石とせねば。

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CagePotatoが「The End of Dana White」という記事の中で、最近ダナ・ホワイトの存在感が薄くなって来ているように感じられると指摘している。これは、米MMAメディアに毎日のように触れている僕にとっても、至極同感である。ホントにモノを言わなくなった。ホワイトの中小企業のクソ社長的なところは、MMAファンとしてはとてもおもしろがれた部分だったし、むしろ信用が出来るところだったのだけれど、もう中小企業でもないもんね。仕方ないのかも。

ホワイトのビデオブログはかつてはUFC簿プロモーションの中心的存在だった。ファイトウィークの舞台裏を見せてくれるビデオブログでは、ダナ・ホワイトが金をばらまくようなシーンも多々含まれていたものだ。しかしUFCでは、ダナ・ホワイトのビデオブログをUFC177以降、リリースしていない。

その代わりにUFCが作り始めたのが、「Embedded」シリーズである。ファイトウィークのホワイトの動向を追うのではなく、Embeddedはミニ・ドキュメンタリーに近い形を取っている。ナレーションは入っておらず、ホワイトもほとんど登場せず、フォーカスは試合に出場する選手にあてられている。とても楽しくて、興味深い作品に仕上がってはいる。

ホワイトはまた、試合後記者会見にも必ず出てくるとは限らなくなってきた。トム・ライトやデイブ・ショーラー、マーシャル・ゼラズニックといった担当者が記者会見を仕切るようになってきている。彼らが仕切る記者会見のトーンは、これまでのホワイト仕切りの会見とは違っている。ホワイトは怒りをあらわにするなど、感情を前面に押し出していたが、彼らが仕切る記者会見はもっとプロフェッショナルで、怒鳴ったり脅したりするようなことはなくなった。

これがいまのUFCの方向性なのだろう。ズッファはUFCを利益の出る事業に育て上げ、メインストリームに押し上げた。そしてMMA業界そのものも掌握した。次にやるべきことは、NFLやNBAのように、まっとうなスポーツリーグに成長していくことなのだ・・・



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今年のレッスルマニアでも活躍したザ・ロックやロンダ・ラウジー出演の映画「Furious 7」(ワイルド・スピードSKY MISSION)は、封切りから17日間で世界興行収入10億ドルを突破した。ユニバーサルスタジオの103年の歴史上で初の10億ドル作品なのだそうだ。桁違いの大ヒットである。

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BEGIN Japanology Professional Wrestling In Japan プロレス 720p HD

これはNHKの海外向けの番組なのかな?ピーター・バラカンが、日本のプロレスを結構ていねいに紹介している(英語動画です)。


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高橋テツヤ

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