年の功【ヴェウドゥム戴冠!UFC188】


ファブリシオ・ヴェウドゥム def ケイン・ベラスケス

ヴェウドゥムは試合直前にも、試合中にも、ちょっと弛緩しすぎなのではないかとおもうくらい、いつも緩んだ表情をして、レイドバックな雰囲気を醸しだしている。ベラスケスがメガトンパンチを思いっきり空振りしても、この人はニヤニヤしてフッと下がって避ける程度で、省エネ著しい。ベラスケスが牡牛のようなモー裂なテイクダウンを試みても、倒されたヴェウドゥムはニヤニヤしながらすぐに三角の姿勢に入ろうとするのでベラスケスは攻め込めない。作戦とアドリブの境界線も、効いているのかいないのかの境界線も、疲れているのかいないのかの境界線も、寝技と立ち技の境界線も、すべてがニヤニヤの表情の中にうやむやに溶け込んでいる。強そうには見えないが、飄々としていて、与太っていて、こんな食えないおっさんのことは、ベラスケスのような直線的で石器時代な男の手に負えるとはとても見えない。

ヴェウドゥムは2008年にいったんUFCを解雇された男。昔は寝技をやりたくて仕方なくて、いつもワンパターンに寝そべってはブーイングを食らっている人という印象だった。それにしても、このヴェウドゥムはもちろん、2015年にもなって、RDA、ロビー・ローラーがチャンピオンで、アンドレイ・アルロフスキーやドナルド・セラーニがトップコンテンダーに君臨しているというのは、いったいどういうことだろう。これってつまり、MMAというスポーツは若くてパワフルならそれで勝てるというものではないということを明確に指し示しているのではないか。そこには格闘技経験はもちろんのこと、人生経験とか、失敗体験とか、洞察力とか、そういうものまでもがニヤニヤと、飄々と、蓄積されて作り上げられる強さのようなものがあるように思えてならない。


エディ・アルバレス def ギルバート・メレンデス

5年前にストライクフォース王者メレンデスが、ベラトール王者アルバレスを挑発、対戦機運が高まった過去のある両者の因縁の一戦。当時は、ここに青木・川尻らDREAM勢も参加すれば、ライト級に限って言えば、UFCに対抗できる第2極のグローバル勢力を形成することも可能なのではないかと思われたことが思い出される。

試合の方は残念ながら、事前の期待度が高すぎたこともあるのか、やはり実現が5年遅かったと感じざるを得ない試合だった。目が腫れてふさがってしまったアルバレスが、そこから最後までしがみついたガッツは大変なものだとは思った。それにしても前回のセラーニ戦でも感じたが、アルバレスはこの階級では身体が小さすぎて、攻め込まれるといじめられているように見えてしまうのがよくない。

画面上では眼窩底骨折にも見えたアルバレスだったが、試合後に直行した病院で診察の結果、大きなケガはなかったとのことで、入院もしなかったらしい。もっとも「折れた鼻が移動してきて目をふさいでいた」というから、それは大けがというのではないのかと思うが、よっこらしょと元に戻してもらって帰宅したと言うことなのか。


●「ガットショットを相手につかませておいての延髄切り」まで繰り出していたファンタジスタ、ヤイール・ロドリゲスは見事にファイトオブザナイトボーナス5万ドルを獲得。もっとも試合前のヤイールは極度の金欠で、試合直前の残高は400ドル程度にまで追い詰められていたという。

●ダナ・ホワイト 「ヴェウドゥムはゲームプランがしっかりしていた。メキシコシティよりも標高が高い場所で練習を積んでいたそうだ。メキシコシティはタフな場所だ。試合後には6人の選手が嘔吐していたが、これはUFCレコードだ。ヴェウドゥムはスタミナマシンにスタミナで勝ったわけだ。これでヘビー級がおもしろくなった。いろんな試合を組める」

●ヘンリー・セフードは試合前に食べたタコスにあたってひどい目にあっていたらしい。

●激闘を終えたばかりの息も絶え絶えの選手に、英語とスペイン語の両方で答えさせるジョー・ローガン。選手が疲れすぎて、しゃべりながらゲロ吐いてるじゃないか。負けたケインにまで同じことを2カ国語で話させたりして。通訳もいるのに使わないで。

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レスリングオブザーバー6月15日号が、UFCの数名のビッグネームファイターが、契約満了時にベラトールへの移籍を検討しているらしいとの噂を報じている。フィル・デイビスがベラトールから厚遇で迎えられたこと、ベラトールにはスポンサーの制限がないことなどが要因らしい。契約満了時に他団体に移ろうとする選手は、「他団体からこの条件でオファーが来ているが、UFCとしてはこれ以上の条件で契約更新をするつもりはあるのか」と、まずはUFCに尋ねなければならないことになっている(マッチング条項)。UFCはフィル・デイビスの場合にはマッチングをしなかったが、ギルバート・メレンデスの場合にはマッチングをした。しかし今後は、UFCがマッチングをする意向を示したとしても、人気選手のスポンサー収入については、UFCがベラトール同等の額を保証することは仕組み的に難しいと考えられる。その点を選手が裁判に持ち込んだ場合、どんな判決が下されるのかは未知数である。

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これは書いても殺されませんかね・・・・6月15日のオブザーバーによると、ここに来て自主興行路線に切り替えているGFWジェフ・ジャレットがオブザーバーの取材に答えて、今年の正月の新日本レッスルキングダム9(実況ジム・ロス)の米国でのPPV売上数が15,000件であったことを明かしたとのことだ。ノーテレビの団体がいきなり行うPPVとしてはなかなかの好成績であると思われるが、新日本としてはNew Japan Worldの拡販を優先させたいとして、今後は米国向けPPVは行わない意向だそうだ。ただし米国でのNew Japan Worldの加入者数はいまのところ3,000人に過ぎないという。またNew Japan Worldの中継は日本語版のみとなっている。


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