UFC189レビュー【史上ベスト大会!】


ユニフォームだけではなく、新しくなった中継画面のグラフィクス、オクタゴン上に展開されるプロジェクション・マッピング、メインイベントの生歌入場と、UFC189は隅から隅まで、あれやこれやの「おもてなし」とメジャー感満載の、新鮮で楽しい大会だった。そしてメインカード5試合の内容も、史上ベスト大会だったのではないかと思うくらい、そろいもそろってすごい試合だった。話題のコナー・マクレガーにつられて、この大会で初めてUFCを見た人がいたとのだとしたら、こんな凄惨で血だるまのスポーツは二度と見ないと決心したか、あるいは「これはすごい・・・」と心を一生分わしづかみにされてしまったかの、どちらかしかありえないような、濃厚な濃厚な大会だった。


コナー・マクレガー def チャド・メンデス

ロンダ・ラウジーのUFCデビュー戦のときに勝るとも劣らないほど、試合前のメディア対応に奔走しまくっていたコナー・マクレガー(大会後記者会見では、ロンダがあれだけやったのにインスパイヤーされて自分もやったんだと語っていた)、忙しすぎたことがこちらにも伝わっているせいか、試合前のステアダウンではこころなしか、年老いて疲れているようにも見えた。試合が始まってもしばらくの間、どことなく動きが緩慢で浮き足立っていて雑なようにも見えた。集中力は保っているのだろうか、体調は万全なのだろうか。ショートノーティスの代役とは言え、メンデスは洒落にならない「地味強」で、これまでマッチメーカーがマクレガーから慎重に遠ざけてきたような対戦相手だ。とはいえマクレガーにとっては、ここまでイベントを盛り上げておいて、スターとしてここはどうしても負けることができない舞台であることも確かだった。またファイターとしても、メンデスのような相手にも勝てるということを証明しておく必要があった。だからこそ、KOした後には、巨大なプレッシャーから解き放たれたかのように、さしもの傲慢男も号泣していた。ああ、本当に本当に、ホッとしたのだろうなあと、こちらまで胸が詰まった。

試合後記者会見でメンデスは、こんな大きな機会を与えてもらって満足しているといった発言をしていた。実を言えば試合の印象も、そんな感じはした。ここまでお膳立ての整った大舞台に出てくるべき選手は、本来は自分ではない、出場できただけでありがたい・・・という人の良さが表情や動きに反映されてはいなかったか。ここで勝って主役の座をさらってやろうという厚かましさがメンデスに本当にあっただろうか。そこが、どうぞKOして下さい、という風にすら見えてしまったあのフィニッシュシーンにつながっていたような気がしてならない。


ロビー・ローラー def ローリー・マクドナルド

関西地方のクリシェの1つに、「脳みそかち割って中身をチューチューすうたろか」というのがあるが、この試合で両者で夢中で取り組んでいた作業は、文字通り、そんなふうに見えた。ローラーは見たこともないくらいに口が裂け、このままでは顔の皮がずるりとはがれ落ちてしまうのではないかと思われた。マクドナルドのアゴ先からは、駐車場にいる年老いたネコが垂らす唾液のように、試合中たえず、血と白い粘液が混じり合ったようなものが流れ落ち続けていた。試合後記者会見でダナ・ホワイトは、マクドナルドの鼻は1Rにすでに折れていて、それが目をふさいでいたと明かした。ローラーはマクドナルドの折れた鼻を、まるで顔の内部でかき混ぜるように、何度も何度も殴りつけた。両者は試合が進むにつれて、アドレナリンで酔っ払うように痛みを越えて殴り続け、外見も存在も、ゾンビのように異形のものになっていった。フィニッシュシーンは、KOとかギブアップというより、マクドナルドが先にフッと正気に返ってしまったかのように見えた。自分はいったい何をやっているんだろう、何のためにこんなことを・・・と気がついたとたんに、あまりの痛さにも気がついてしまい、その場にへたり込んだかのように見えた。試合後のマクドナルドは、いまが西暦何年なのかを答えられなかったそうだ。最後まで正気を取り戻さなかったローラーのキチガイ勝ちだったといえるのかもしれない。あるいは、キチガイ対決に相手を連れ込むという、ローラーの作戦勝ちだったのかもしれない。


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