マクレガー衝撃【UFC194レビュー】


ローズ・ナマユナス def ペイジ・ヴァンザント

両者にこんなに実力差があるとは思わなかった。最初から最後まで、ナマユナスが圧倒した試合だった。PVZがあまりに頑丈すぎる故に、いたずらにダメージを貯め込んでしまっていた。2回ばかり、PVZがアームバーから脱出したときには、自分で自分のヒジをいったん外して技を解除していたように見えたほどだ。タフにも程がある。あそこまで攻め込まれて、よく心が折れないものだ。

女子ストロー級かわいこちゃん対決は、僕などはどちらが勝ってもUFCとしては万々歳なのではないかと思うのだけれども、ダナ・ホワイトはPVZの敗戦に落胆気味なのであった。PVZが売り出し中なのはわかるが、丸刈りのナマユナスも、エイリアンのリプリーのような殺し屋の雰囲気をまとっていて僕は好ましく、マーケティングマシーンに乗せてあげれば良いのに、と思うのだが。


川尻達也 def ジェイソン・ナイト

立ち上がり、ナイトのジャブがスッと川尻にヒットしていて、川尻が目をしばたかせていたので背筋が冷えたが、それ以降は川尻がナイトを塩漬け地獄の刑に処し、あまりにも固すぎる判定勝ちを拾っていた。若い芽を完全に摘み取り、後にはぺんぺん草も残さない、さすがの鬼畜なベテランぶりである。もちろん川尻には、こんな相手に星を落としたり、ダメージをもらっている暇はない。スリル満点の面白い試合をやって欲しいなら、UFCはもっとちゃんとした相手を用意しろ、というところであろう。

知りもしないであまり戦術的なことを書くと恥をかくが、川尻の試合を見ていると、この人は自分の弱みをよく知っている人なんじゃないかという気がする。ベテラン選手にとって、それってきっとすごく大事なことなんだと思う。作戦というのはそこからしか生まれてこないと思うからだ。将来的にはこういう人が育てた選手を見てみたいと思わせてくれる。それと、このへんのことは、サラリーマンにとっても、ベテランになってくると言えることなんじゃないかと思ったりもする。


ヨエル・ロメロ def ホナウド・ジャカレイ

1Rのロメロは、この人は宇宙人なのではないかと思うほどの、異次元の強さだった。スピード、パワーとも半端なく、ロメロの暴風雨にきりきり舞いのジャカレイは、最初のラウンドをよくも生き残ったものである。しかしロメロの燃料メーターの下がり方も半端なく、試合後半にかけてジャカレイの猛追を許しながら、かろうじて逃げきりで判定勝ちを拾ったという展開だった。

2Rにはロメロが金網をつかんでジャカレイのテイクダウンを防ぎ、レフリーに怒られるというシーンがあった。怒られはしたのだが、減点は行われなかった。ここで減点があれば、微妙にドロー判定になっていたかもしれない。こうした疑惑のロープブレイクがありながら、勝利者インタビュー神様の名前を出す天然さが、「こいつ、いったいどの口で・・・」と軽くイラッとくるのも、また趣がある。


ルーク・ロックホールド def クリス・ワイドマン

ストライクフォース時代は、「折り目正しい没個性なスポーツマン」タイプだったロックホールドは、ここにきてnWo的な与太者のムードをかもし出し始めている。この試合でも、何を考えているのか分からない表情、常にスタミナを温存しているように見える動き、表情だけでレフリーを巻き込んでブレイクをゲットするふてぶてしさなどが顕著だった。こうなると対照的に、ベビーフェイスのワイドマンが、ちょっと裏がなさ過ぎるというのか、ややおバカっぽくも見えてきてしまうのだ。それにしてもストライクフォース勢、AKA勢の躍進が本当にとまらない。

3R終盤のロックホールドのグラウンド&パウンドをハーブ・ディーンが止めなかったシーンは、なんだか「桜庭 vs. ケスタティス・スミルノヴァス」を想起させた。もっとも、ヒーローズのレフリーが桜庭の試合を止めにくいというのは、まだビジネス的に理解できるので、今回のディーン氏の裁きはちょっと理解しがたい気もした。


コナー・マクレガー def ジョセ・アルド

自分で目にした光景が信じられなかった。実際に起きたことを目にしているのに、いやいや、これは八百長が仕組まれているだろうなどと、むしろ事実の方を曲げて解釈するほうが頭の中の座りが良いほどの、衝撃の結末だった。

事後的にはどうとでも言えるのかも知れないけれど、パンチが交錯したシーンの「固いアルド、柔らかいマクレガー」の対比を見ていると、やはりマクレガーが試合前に仕掛けていた口撃や心理戦が、アルドの身体を硬くさせたのではないかという感想を持った。だって、今回の試合でのアルドの表情は、かつてリングサイドでマクレガーに挑発されても笑って受け流していたアルドの表情とはまるで別人だったからだ。

併せてこんなことも思った。つまり、快進撃中のロンダ・ラウジーを見ていても、かつて全盛期の魔裟斗やKIDにも当てはまるのだけれど、スポーツとショービジネスが高い次元で結びつくと、こういうスポーツ的には信じがたいようなシーンがあらわになることというのは、実はわりによくあることのような気がするのだ。いまのマクレガーはそれほどの高見に到達しているということなのだろうし、やはりプロのMMAにはスポーツ的な要素だけに還元しきれないなにかががはっきりと存在するということなのだろうと思う。


追記:「レスリングオブザーバーラジオ」によると、あくまで「噂」であるとの断りつきで、コナー・マクレガーが興行主となり、UFCとのコ・プロモーションで大会を開催するべく交渉を行っているらしいとのことだ。そういえば試合前のマクレガーは、「おれはカンパニーマンじゃない。オレがカンパニーなんだ!」などと語っていた。


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インリンにも政治の匂いはしたが、そういう意匠なのかと思っていたよ。


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リンク先のISISのプロモーションビデオ、11分51秒のあたり、12分25秒のあたりに、ハビブ・ヌルマゴメドフの姿が映し出されている。どういうこと?


●コナー・マクレガーのラスベガスの邸宅




ほかにも気になるトピックは多数あれど、ちょっといまは業務多忙でがんばり時なので、ブログの方はご無沙汰しておりますよ。といいつつも、気が向いたら明日にでも書いたりするかもしれないけれど。



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