UFC 203レビュー


ミッキー・ゴール def CMパンク

ミッキー・ゴール、チアリーディングのノベルティソング『Micky』(Toni Basil)にのって入場。これはアホらしい。ジョー・ローガンの説明によると、ゴールが希望したこの曲をデイナ・ホワイトがいったん却下、しかしインターネット上で却下撤回運動が起きたためゴーサインが出たのだという。

パンクはプロレス時代からお馴染みの入場曲、『Cult of Personality』(Living Colour)で入場、分かっている人にはたまらないシーンだろう。パンクのWWE離脱はあまり友好的なものではなかったが、Twitterでは、スティーヴ・オースティンが会場に見にきていたと報じられていた。

ふだん、レベルの高いプロ同士の試合を見ているとつい忘れがちになるけれど、他人に身体を押さえつけられて、上から殴られたり締められたりするのが、こんなに我が身に響いて感じられることはあまりない。悔しさも無念さも何だかとても身近で胸が痛い。こうしたことをときどき再認識するのは、けして悪いことではないのかもしれない。

僕は今回のパンクは、金子賢、柴田勝頼に次ぐ、「素人が退路を断ってメジャーMMAでデビューする」ケースだと思って見ていたのだけれど、あっさり言えば金子よりも柴田よりも、うんとひどい完敗だった。ずばり大惨事といってもいい。金子賢を再評価したくなるほどだ。でも、入場までの楽しさは本物だった。オクタゴンに足を踏み入れただけで、誰にでもできるわけではない何かを達成したことは確かだと思うのだ。

CMパンク、オクタゴンでジョー・ローガンのインタビューに答えて

人生は、ビッグになるか、そうでなければ家に帰るしかない。僕はチャレンジをすることが好きだ。確かにすごく高い山だし、今回は上れなかった。でもだからといって、これで諦めるつもりはないし、止めるつもりもない。

僕は必ず戻ってくる。今日は人生で2番目に楽しい時間だった。1番はワイフと結婚したことだ。多くの人が、あいつに出来るわけがないと思っていることは知っている。でも人生は、倒れて立ち上がっての連続なんだ。何回倒れたかは関係ない。立ち上がることが肝心なんだ。子ども達に言いたい。親やコーチや先生や、君たちの背中を押してくれるはずの人から、もう止めろと言われたら、その人の言うことを聞くんじゃない。

自分を信じないさい。思うような結果が出ないこともある。でも本当の失敗とは、挑戦しないことなんだ。いま負けたばかりの男からこんな説教は聞かされるのはおかしな話かもしれないが、僕にとっては今日は素晴らしい時間だった。




ファブリシオ・ヴェウドゥム def トラビス・ブラウン

意地汚いまでにタイトル奪還に燃えるヴェウドゥムが、あのアホらしいアヒル口を完全封印してヒール殺法でブラウンを蹂躙した。

ゴングと同時にブラウンに駆け寄ったヴェウドゥムは、いきなりのライダーキックをブラウンの顔面にヒットさせる。相手が死んでもかまわないといわんばかりのクレイジー過ぎる攻撃だ。距離を取ってジャブを出し合い、試合が落ち着いてきたとおもわれた刹那には、いきなりの猪木流浴びせ蹴り!さらにブラウンが試合を止めてなにやらレフリーにアピールしているときにも、委細構わず横っ面に殴りかかる!

こうした展開をへて、スコアカードで勝っていると確信したのか、最終ラウンドにはイヤらしく流してブラウンに全くチャンスを与えないヴェウドゥム。試合終了後にブラウンのコーチ、エドモンド・タバーディアンから弥次られてカッときたヴェウドゥムは、なんとタバーディアンの胸にジャンピング前蹴り一閃!係員が素早く分けたものの、一瞬両陣営がもみ合う乱闘状態に!

そのくせ勝利者インタビューでは、おもむろに飲酒運転撲滅などを訴えはじめるヴェウドゥム。ベテランのいやらしさ満載のヴェウドゥム劇場をみていると、かつてのあのアヒル口祭りがいかに偽善だったかもいっそう際立ってくる。若手にけして席を譲ろうとしないどころか、老いていっそう欲望丸出しのヴェウドゥム。ついに本性をあらわにしたヴェウドゥムから、ますます目が離せなくなってきた!

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スティペ・ミオシッチ def アリスター・オーフレイム

アリスター、PRIDEのテーマ曲で入場!この曲で入場するなら勝てよ、とは思うけれど。

試合展開は、”慎重で疑り深い”やくみつるのようにヒット・アンド・(ランニング)アウェイな戦いぶりのアリスターを、正義の味方ミオシッチがとうとう捕まえて怒りのパウンド葬。地元チャンピオンのKO劇に会場はヤンヤの大歓声となった。

さて、アリスターがことさらに気の毒だったのは試合のあとである。ジョー・ローガンにマイクを向けられたアリスターは、試合中盤に自らが仕掛けたフロントチョークに「ミオシッチはタップしていた」と驚きの主張。するとローガン、「そうおっしゃるならリプレイを見てみましょう」といって、会場のビッグスクリーンで、シーンのビデオが流される。どう見てもミオシッチは全くタップしていない。「まあ、ミオシッチはタップしていませんが、あなたはそう感じたと言うことだったのでしょう。アリスター・オーフレイムでした!」と送り出されるアリスター。ぺこりとお辞儀をして寂しげに退場するアリスター。たったいまKOされて、頭も回らないであろう選手を、公開処刑することもないだろう。ビデオは後でゆっくり見せてやれや。今日のところはちょっと疑惑が残るくらいで終わっておいてもいいだろうとは思ったのだが、敵地に乗り込むというのはこういうことなのかもしれない。

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一流を目指す人が「人と食事に行かない」ワケ 格闘家・青木真也の「搾取されない生き方」(東洋経済オンライン)



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