キンボ死すも底なし沼は残る【エリートXC】

エリートXC/CBS大会「HEAT」をネット映像観戦。好勝負が多く、ラストには衝撃(?)の結末もあり、全体的にとても面白い大会でした。ズンドコを極めたバックステージレポートも味わい深い。

ベンジー・ラダチ def ムリーロ・ニンジャ(2R2分31秒TKO)
テール・オブ・ザ・テープの提供はアフリクション、マットの上にもアフリクションのロゴ。前回大会まではエリートもUFC同様、アフリクションは禁止だったのだが。
ラダチの打撃で序盤からニンジャは揺れていたが、1Rはそれでも、しがみつくようにグラウンドに引き込み、足関などを試みる。2Rに強いパウンドで白目失神。ラダチの打撃の強さが印象的。ていうか、ニンジャ、元気ない?

ジナ・カラーノ def ケリー・コーボルド(3Rユナニマス判定)
高橋洋子を判定で下したというクリス・サイボーグが見守る中、序盤はレスリングで勝るコーボルドがタックルからクリンチで押し込んでグラウンドゲームを狙う。テイクダウンを許さず突き放したカラーノ、距離が出来たときの打撃戦は蛇に睨まれたカエル位の差がある。2R、ムエタイ戦士カラーノの打撃、首相撲からのニーが本当に美しい。コーボルドも流血しながらも決定打を許さず、接近してのグラウンドをしつこく狙う。ラスト15秒でこの日唯一のテイクダウンに成功するも時間不足。ここはカラーノがスタミナを温存しただけか。3Rもコーボルドがカラーノをケージに押し込む展開、コーボルドがカラーノの足甲を踏みつけ、解説の人がこりゃ痛いよと興奮。ラスト15秒はカラーノのハイ、ミドル、ローキックの速射砲がわがままな膝小僧のごとく命中しまくるも、コーボルドの赤鬼の形相で踏ん張る姿はまさに女・越中。よくやった。1R3分では足りない熱戦。試合後はサイボーグと挑発合戦でもやり合うのかと思ったが特にアクションはなし。

アンドレイ・アルロフスキー def ロイ・ネルソン(2R3分14秒TKO)
アンコ型でいかにもUFC受けしそうにもないロイ・ネルソン、そうはいってもIFL王者・柔術茶帯と言うこともあり、1R早々からグラウンドでアルロフスキーをコントロール。動きは軽快でも、あの重さで上に乗られたらどうしようもない感じ。ちょっとはやめのブレイクの後はネルソンが押し込む形で相撲が続きブーイング。1Rラスト1分くらいから、距離を詰めようとするネルソンの動きを見切ったアルロフスキーの打撃がネルソンを捉え始める。2R、アルロフスキーがなんとか打撃戦に持ち込む。ネルソンのカウンターも結構アルロフスキーを揺らしたが、結局最後は大きな右ストレートが炸裂しKO。アルロフスキー強い。

なお1R終了後のインターバルで、客席のティト・オーティスのミニ・インタビュー。エリートのケージに立ちたいと発言、フランク・シャムロック戦を匂わしていました。エリートが存続すると言うことなのでしょうか。

ジェイク・シールズ def ポール・デイリー(2R3分47秒アームバー)
米英ウエルター級王者対決と唄われたこの試合(デイリーはケージ・レージのウエルター級王者)。1R、シールズがタックルからテイクダウン。あっと言う間にパスしてマウント、一旦サイドポジションに回ってまたマウント、一方的なタコ殴り。シールズ強い。ラスト15秒、アームバーに移行しようとするシールズをデイリーがひっくり返してマウント、強いヒジが数発入るが時間切れ。2Rは打撃戦でスタート、デイリーが強い打撃を繰り出すが、シールズは青木真也のように身を落としてかわし、そのままテイクダウンしてしまう。マウント、サイドと体勢を変えながらの嫌がらせの打撃には、参ったよとばかりに苦笑するデイリー。シールズは色々やった挙げ句にあれっという感じでアームバーをのばしてしまった。シールズが2Rまでかかったのは1年半ぶりのことだという。

セス・ペトルーゼリ def キンボ・スライス (1R14秒TKO)
ケンシャムのウォームアップ中の怪我(バッティングによりカット、6針)により、前座試合に登場予定だった無名選手セス・ペトルーゼリが代打で登場、得意は空手。なんと打撃で一気に勝利(14秒)。試合終了後のキンボは前後不覚でレフリーにボディスラムを仕掛けようとしたりしている。目の上が少し切れているが致命的ダメージはなし。決定打はあったのかな、ちょっとストップが早い気もしないでもない。無名の空手家、KYなのか何なのか、よくやるわ。リングサイドにはハルク・ホーガン。ケンシャムの応援に来ていたらしい。


●試合前に負傷を負ったケン・シャムロックとエリートXCは、前日夜から当日にかけて、「これは出られない」「やっぱり出る」と右往左往、合計3回決定が覆るパニック状態。MMA Rated など足の速い主要MMAサイトも日本時間の深夜に更新の嵐。フランク・シャムロックの代打出場も最後の最後まで検討され、放送開始直後のフランクは、放送席でコメントしながら、試合があるかもしれないと備えていなければならなかったそうです。キンボが対戦相手の変更を承諾したのは試合1時間前。キンボ陣営はさんざん渋りましたが(そりゃそうだ)、なんとか出場を決断。背景で金銭のやりとりがあったとも伝えられています。

●ウエルター級二冠王となり敵無しとなったシールズは試合後、ミドル級への転向を示唆、同級王者ロビー・ローラーを狙うと発言。

●クリス・サイボーグと高橋洋子の試合は、残念ながらCBS中継では15秒程度のダイジェストで済まされたそうですが、デイブ・メルツァーはラジオショーで、これがこの日最高の試合だったと賞賛しています。おおむねサイボーグが一方的に打撃で虐殺し続けましたが、高橋が実によく凌ぎ、最終ラウンドに高橋が繰り出した逆襲のスピニング・バックフィストは会場を揺らしたそうです。サイボーグは前回、女バンダレイと言ってもいいようなおっそろしい破壊力を誇示していました。あんな人とよくフルラウンド戦ったものだと思います。


 MMA Planetは「キンボ幻想終焉」等と報じていますし、米MMAサイトもさよならキンボ、さよならエリート、やっと偽物が消え去ったという論調も多いようです。僕個人の感想は、少数意見であることを自覚しつつ、キンボは商品としてはしっかりと生き残ったと思います。今回は特に、突然の対戦相手の変更という大きなエクスキューズも立ちますし、ちょっと早いようにも見えるTKO宣告のおかげで、大の字で白目を剥く失態を演じたわけでもなければ、サップのように泣き顔で逃げ回ったわけでもありません。キンボ自身これまで、秒殺TKO勝ちを重ねてきて、ホントに強いのかどうか分からなかった。それと同じくらい、これではホントに弱いのかどうか分からないとしか言いようがない。中継アナウンサーは第三次世界大戦が起きたのかと思うほどの大絶叫で、これは世紀の大アップセットだと叫んでいました。アップセットかなあ(笑)とは思いますが、凄いものを見た、見てはいけないものを見たというスキャンダラスな興奮がそこにはありました。

すでに米WebsiteではMMAサイトに限らず、キンボ敗北のニュースが満ちあふれています。みんながキンボの話をしています。なら商品としては成功です。

熱心なファンにとっては、選手としてのキンボ幻想なんて、特に前回のジェームス・トンプソン戦ですっかり剥がれ墜ちていますが、それでもげんに今回も、メインイベントはキンボなんです。今回の敗戦でやっとキンボ幻想が剥がれたと気がついた人がホントにいるなら目が節穴。どうかしてる。そんなことはどうでもよくて、カジュアルファンがどう見たか、どう見せるかこそが重要なのであって、とにかく今日はショックを与えたし、これからキンボのリベンジ・ストーリーが開幕すると位置づけて打ち出していけるような、救いのある負け方だったと思います。ここが上手く回らないと、シールズやカラーノの素晴らしい試合だって見れなくなるわけだからね。むしろ心配なのは、キンボ自身のモチベーションですね。

PRIDEだって、高田敗北でプロレス幻想が剥がれたところから始まりました。猪木も時々負けて「猪木神話崩壊」と騒がれましたが、それこそがいろんなストーリーの始まりでした。ペトルーゼリという思わぬニュースター候補も誕生したことだし、シャムロック兄弟もオーティスも出てきたし、これで視聴率が良ければ(良いと思いますが)、エリートの存続についても、建設的な方向に話が進むのではないでしょうか。CBSがこれをどう評価するかというのはちょっと恐いですけどね。わかってんのかな、という。

(主な情報出所)
Shields Armbars Daley; Arlovski Flattens Nelson at ‘Heat’ (Sherdog)
Petruzelli Shocks Slice(Sherdog)
SHAMROCK SCRATCHED, PETRUZELLI WILL FACE KIMBO(MMA Weekly)
More breaking news on tonight's show(Figure4Weekly Online)

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石井プロ格闘家転向!大みそかデビューへ(スポーツ報知)
石井 プロ格闘家転向を否定(スポニチアネックス)

報知の記事が妙に具体的で、信憑性が高いように見えてならない。関係者が一応合意した上での正式決定まで、石井本人は面と向かって聞かれれば否定するに決まってる。

報知の記事より

格闘技関係者によると、今後の両イベントが合併する可能性があるという。今年大みそかは、TBSが「DREAM」の選手が参加する「Dynamite!」を中継予定。1月4日の「戦極」(さいたまスーパーアリーナ)はテレビ東京が放送予定。石井がその目玉になることは確実だが、今後両イベントを合体させ、テレビ局も一本化するプランがあるため、石井の初試合となるリングも流動的とみられる。


合同でやるなら「吉田 vs 秋山」に外部要因の障害はないじゃないか。後は吉田がチキンかどうかだ(笑)。そういえばSRSで藤田戦の可能性を聞かれた吉田は、「こんな黒い人とはやりたくない」と答えていたが、黒い人というのは別の何かを示唆していたのか。なんにせよくれぐれも「オールスター戦」ではなくて、「対抗戦」をお願いしたい。いや、ほんとに。正月のプロレスもそうなんだけど。


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