【フィッチ元鞘】プロレス風経営に契約書は似合わない

Settlement in UFC/Fitch talks (Figure4Weekly)

ジョン・フィッチは今日、ロレンゾ・ファティータと直接話し、マーチャンダイジング契約の締結で同意した。フィッチはUFCに戻り、予定通り、1月31日に郷野と戦う。クリスチャン・ウエリッシュもUFCに戻った。彼はもともと、マーチャンダイジング契約に合意していたが、ダナ・ホワイトとZinkin Entertainment 社との紛争に巻き込まれる形で解雇されていた。Zinkin が代理している他の選手もマーチャンダイジング契約に合意したので、ケイン・ベラスケスやジョシュ・コスチェックの解雇もなくなった。


>フィッチ解雇問題は結局元鞘に戻る形で解決しました。米MMAサイトは瞬間最大風速的な量のニュースであふれ、その後静まりかえっています。この24時間足らずの騒動、一体何が見えてきたでしょうか。昨日、今日の両当事者のコメントを重ねます。

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UFC cuts AKA: 'Shell-shocked' Fitch; White blames agents (Strikes and Submissions, USA Today)
Jon Fitch claims Dana White is not telling the whole story about Mike Swick; accuses the UFC of strong-arm tactics during negotiations
Feud for a day: UFC's Fertitta brings back Fitch (Strikes and Submissions, USA Today)

ジョン・フィッチのコメント

●ビデオゲームについては契約しても収入はない。でもそこがポイントじゃないんだ。そんなことは簡単に解決できたはずだ。問題は、UFCが契約を迫ってくるやり方なんだ。まるでイジメだ。でもこれって、原則の問題だろ。こんな事はいつまで続くのか、。ビデオゲームのひどい契約の次は何なのか?次には何をさせられるのか。

●たぶんこれが前例として使われるんだろう。彼らはわれわれのジム、われわれのマネージャの所に最初に来た。われわれのマネジメントは強いんだ。いつも良い条件の取引をするし、騙されることもない。だから目を付けられて、弾かれてしまったのかもしれない。

●ダナ自身の口でこういったそうだ。OK、なら君たちは解雇だ。アフリクションで楽しめ。おまえ等、どこに行くつもりなんだ?行く所なんてないだろう!こういう脅しをかけられたっていうんだ。

●(法的対抗措置の可能性について)わからない。弁護士じゃないんで。そもそも全貌がよく分からない。UFC相手に裁判に勝つなんて不可能だと聞いたこともある。そもそ裁判なんてしたくない。ボクは戦いたいんだ。3対1で戦って、負けたらクビ、と言う方がまだマシさ。

●ダナはこの件をマネジメントのせいにしようとしているけれど、ボクのマネジメントはビデオゲーム契約にサインをしろって言ったんだ。でも自分の原理原則を大切にして、サインしなかった。この決断はボクがしたのであって、マネジメントとは関係がない

●ひとりの教養ある大人として扱って欲しいんだ。時々ダナは、そんな風に扱ってくれない。ロレンゾとはほんの少ししか話したことがないけど、かれはいつでも、うんと上手く物事を説明してくれる。ずっと冷静なんだ。

ダナ・ホワイトのコメント

●ジョン・フィッチを責めているのではない。特定の選手の問題ではない。AKAという一味と仕事をしないことに決めただけだ。

●ビデオゲームのことで揉めてると言う噂がある。実際には他にも色んなことがあるんだ。特定の選手とか、特定の問題のせいではない。それにAKAだけの問題でもない。厄介な集団は他にもいる。

●自分はフィッチと直接話をしていない。AKAで自分に直接電話を寄越したのはマイク・スイックだけだ。彼は、「何がどうなっているのか分からないけど、自分は気にしない。ボクはUFCでビジネスを続けたい。僕らはパートナーだ」と言ってきた。だから、「ありがとう、マイク。われわれもキミのことを同じように思っている」と返事をした。もしフィッチが電話をくれて、同じように言ってくれれば、その瞬間にフィッチを連れ戻す。

●マーチャンダイジングの契約は独占契約ではない。他にやりたいことがあれば、誰とでも何でもやればいい。ビデオゲームについては確かに独占契約を求めた。チャック・リデルをはじめ、ゲームに使いたいような選手は皆、問題なく終了している。


>結局のところ、UFCと代理人との対立に、選手が巻き込まれたということだったようです。選手にとっては、テレビゲーム肖像権をUFCに生涯独占的に囲い込まれるというのは、もちろん気持ちの良い契約ではありませんが、だからといってフィッチのような選手が試合を出来なくなるということだと、コストとベネフィットを比べると、長いものに巻かれてしまうのが普通の考え方だと思います。ことフィッチについては代理人も、当初報道とは違い、その位のことで済むなら長いものに巻かれなさいとアドバイスしていたのですが、フィッチ個人の意見でそれは筋違いだと反論したとのことでした。それでもフィッチ自身も、そのことでまさかいきなり解雇されるとは思わなかったのでしょう。さすがに直ちに両者が冷静に話し合い、ロレンゾのソフトな語り口のおかげもあって、テレビゲームの権利で妥協して解決したようです。確か大学中退のぶっちゃけ人間ダナと院卒の熟慮派のフィッチ、個人的にも相性が良さそうには見えませんしね。ま、これは余計なことだけど。

ダナ・ホワイトのコメントを見ると、これは以前からのことだけど、とにかく代理人やマネージャのことを忌み嫌っており、選手個人と取引をしたいという意向がありありと見て取れます。かねて当ブログでは、「プロレスモデル」「ボクシングモデル」というビジネスの形を論じています。UFCはプロレスモデルを取っていますが、そのUFCで、いろんなことをマネージャやエージェントがいちいち合法的かつ合理的にさばいていくというのは、基本的には不適合を起こす仕事の進め方なのかもしれません。たとえばプロレス団体で、ローソンとタイアップ弁当を作ると言うときに、ある選手だけが弁護士を連れてきて契約期間がおかしいと文句を言い出したのでは、おいおい、おまえはどういうつもりなんだ、仲間じゃないのか、禊ぎに出せとなるでしょう。ダナのコメントはまさにそんな風に聞こえます。

ダンスが面白くて英会話を頑張ったからと言って、郷野にそっとボーナスを送ってくる、なんていうのは、アメリカ流契約社会とはとても思えないやり口ですよね。むしろ馬場っぽいというか。

今回のダナ・ホワイトのぶち切れは、正直、見苦しさとプロフェッショナリズムの欠如と法的なヤバさを感じましたが、選手の側にも清濁併せのむ度量がないと、意志が通じ合わないのかもしれないですね。

でもUFCは、時には冷酷な外資系企業的な、ボクシングモデル的な顔も見せるので、そこはあんまり都合良く使い分けるべきじゃないんじゃないかなとは思いますけどね。

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何というタイミングのニュースかとは思いますが、レスリング・オブザーバー11月24日号によると、マット・リンドランドが新作ドキュメンタリー映画「Fighting Politics」を公開するそうです。まるで「レスリング・ウイズ・シャドウズ」のMMA版のような映画で、アマレス時代に五輪に出場するための駆け引きや、MMAでの政治的な動きについて描いているそうです。宣伝文句には、「UFC社長、ダナ・ホワイトの携帯から39通にも及ぶ失敬かつ脅迫的なメールを受け取りつつも、Fighting Politicsは一選手マット・リンドランドのリアルストーリーをお届けします」とあります。

こちらも、プロレス団体風のUFCだからこそ、おもしろい暴露があるのかもしれません。

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同じくオブザーバー誌より。UFCのゲームを製作しているTHQ社は、直近の四半期に1億1500万ドルの赤字を計上、16のうち5つの開発スタジオの閉鎖と社員250人の解雇に追い込まれました。1月28ドルだった株価はこのニュースを受けて4ドル80にまで急落しています。フィッチ騒動の背景には、THQもイライラしているという現状があったんですね。ユークスにまで変な影響が及ばなければいいのですが。

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