K-1崩壊!【Dynamite2008 レビュー】


あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

Dynamite! はTBS地上波でテレビ観戦。こつんと残った印象は、「K-1崩壊」。K-1ルールでK-1選手がMMA選手に続々と無惨に大虐殺される結果となってしまった。ことに、今やある種の高みを達成しつつあると思われたバダ・ハリや、知名度抜群の武蔵の敗退は象徴的で、K-1ファンのみならず、フジテレビもさぞ苦虫をかみつぶしたことだろう。「ワーク・トゥ・フィニッシュ」という意識面で相当の差があるように見えた。唯一の救いといえば、眉間にしわを寄せた清原の表情くらいなものか。K-1選手同士の試合に関しても、甲子園の試合も佐藤の試合も、悪くない試合だったんだろうけれど、総合の試合に比べて刺激に欠け、結果もことごとくフルラウンド判定勝負となり、大晦日の長時間放送の中で、テンポの良くないトイレタイムと化してしまった。

もともとMMAは、こうして他競技の幻想を食い尽くして成長していくジャンル。プロレス幻想を引っぱがして太っていった歴史もある。昨年はビジネス的にはDREAMがK-1に救われた形にも見えたが、MMAでは選手レベルでの技術戦術の充実の蓄積はしっかりと進行していることを印象付けた。専門性の殻に閉じこもっていたK-1戦士を、外側から叩き潰した印象だ。今年は、このリング上での強さが、ビジネス面にも還元されることを祈りたい。他方K-1は、格闘技としての説得力を再構築していかないといけないのではないか。K-1も選手交代の過渡期にあり、一時的に戦力が落ちていると言うことはあるのかもしれない。それにしても、このままのメンバーで再スタートして、またバダ・ハリが王座奪還とか言っても、要はオーフレイムよりは弱いんだろと思うし、いくら高校生にKー1をやらせても、一番にはなれないんだよということではどうしようもない。以前から指摘しているつもりだが、K-1は技術的にはタコツボ化しやすいのではないかと思うし、技術革新をするインセンティブもあまりない。シュルトとかボンヤスキーとか、同じ人が何年も勝ち続けてしまうのはそのせいではないかと思うし、MMAではあり得ない現象だ。ビジネス的に、それをよしとするのかどうか、ということである。

デタラメ・やけくそにも見えたマッチメークは、しばしばそうであるように、今回も多くのアップセットを生み出し、ものごとが主催者の意図したようにはならなかった面がある、という意味では、おもちゃ箱をひっくり返したような、ダイナマイト独特のバラエティ豊かな楽しさがあった。他方、「田村 vs 桜庭」の弱火な難解さ、あっさり片をつけてしまった青木の強さ、ハンセン欠場などのため、昨年の「三崎 vs 秋山」のような、見る側の心が持たないような緊張感ある試合、PRIDE的世界観は希薄な結果となった。「田村 vs 桜庭」の9分間の煽り映像を見ていないからかもしれないが。


× 佐藤嘉洋 (3R判定2-0) アルトゥール・キシェンコ ○
佐藤の試合後コメント

またパンチでアゴを跳ね上げられて、印象負けしたなと。キシェンコのパンチは重かったです。蹴りは軽かったですけど、それをパンチに繋げられました。
とりあえず今年は2月のブアカーオ、4月のディレッキー、それからブアカーオ、魔裟斗、キシェンコと、すごい選手と闘ってきました。厳しかったけど、絶対に来年に繋がります。しっかり反省して、強くなっている実感はありますからね。努力して勝ち上がっていきます。


このコメントもそうだし、各雑誌に掲載のインタビューなんかを見ていても、佐藤ってやっぱりちょっと、意識が足りないと思うなあ。この試合もキシェンコに完全に揺らされていたし、きわどい判定になったわけでもない。これで良しとするんじゃなく、単に今後も努力しますというのでもなく、まず負けは認めないと、進歩はないんじゃないかと思う。

× 所英男 (1R 2分43秒 腕ひしぎ十字固め) 中村大介 ○
中村かっけー。所は骨折だそうです。去年あれだけがんばったのに、これでフェザー級トーナメントには出られなくなるんでしょうか。ゆっくり直したら、復帰戦でKIDとやらせてあげてはどうかと思うなあ。お疲れ様。

× 坂口征夫 (1R 3分52秒 KO) アンディ・オロゴン ○
ああ、このK-1戦士は勝ったんでしたね。オロゴンは全日本キックでは「負けない試合」をして、GAORA解説の小林聡に「こいつ、もういらね」といわれていたが、コヒに勝つとか、今日の試合とか、場面に応じた結果を出す人だなあと思う。試合後コメントによると、坂口はアバラ骨折、引退は撤回。

× キン肉万太郎 (1R 5分22秒 レフェリーストップ) ボブ・サップ ○
万太朗選手がもし、コスプレ無しで普通に地味な顔で出てきていたら、ホントに目も当てられない試合だったと思う。あのマスクと、福沢さんのカラフルな実況(さすがの実況でした)のおかげで、もしかしたら一元の視聴者は、万太朗、敗れてもなお強しと思ってくれたかもしれない。マスクがづれて視界が遮られたというのも、むしろエクスキューズに作用した。アンディ・サワーのロングスパッツはダメだが、この人は全身スパッツなんだな(笑)。サップに負けるのだから世話ない。主催者としては、「万太朗はもしかすると石井慧かもしれない」と思わせたかった企画だったのかもしれない。

○ 桜井“マッハ”速人 (1R 7分01秒 レフェリーストップ) 柴田勝頼 ×
柴田の突進にはまたしてもハートを捕まれた。これでまた見たいと思ってしまうんだよなあ。かわいいよなあ。「根性があったから柴田の勝ち」と、上井さんもどきのことを言ってみたくもなる。とはいえ、レフリーは、柴田がマッハに押さえ込まれているという状況を考えて、もうちょっと早く止めてください。

× バダ・ハリ (1R 2分02秒 KO) アリスター・オーフレイム ○
こうなったらバダ・ハリは、Kー1禊ぎ期間にMMAの猛練習をして、約束通りもう一度、オーフレイムと今度はMMAで試合をして、勝たないといかんでしょうな。そうでないと、単なる犬死にですわ。本人はもう懲り懲りみたいですけど。

○ 川尻達也 (1R 2分47秒 KO) 武田幸三 ×
川尻にとっては負けて元々、テイクダウンもとられない、気楽な試合だったか。本来の実力がやたらにのびのび出ていた感じ。川尻は乗れない選手の代表だったが、アルバレス戦と併せて、ちょっと好きになってきた。武田の負けっぷりはすさまじく、隣で見ていた女房は吐き気を訴えていた。言わないだろうが、ひどい怪我ではないのか。

○ 青木真也 (1R 1分32秒 踵固め) エディ・アルバレス ×
勝ち方まで北岡に似てきたが、底が全く見えない、幻想を高める勝ち方だった。この試合については、アメリカでの評判が聞こえてきたら、改めてお伝えしたい。多くの声が聞こえては来ないかもしれない。ホリデーシーズンだし、テレビ中継はなかったし。ところで地上波ではカットされていたが、青木は試合後、こうマイクアピールしたらしい。

「今日はご来場、誠にありがとうございました!! 格闘技のトップ、アメリカ! おい、UFCよく聞け!! PRIDE買ったダナ・ホワイトよく聞けよ!! 日本がトップだ、コノヤローーー!!!!!! 大晦日、ここに集まってきたお客さん、最高です!! 来年も“DREAMの大黒柱”青木真也、精一杯頑張っていきます!! 青木真也を好きでいてくれてありがとうございました!!!!」


期せずしてUFCがトップであると口走っている。そこはホントに問題で、DREAMの大黒柱といっても、次には一体誰と戦うつもりなのかという話だ。

アルバレスは靱帯を損傷した模様で、1月23日、ニュージャージで開催される Extreme Challenge の War at the Shore 大会での小谷直之戦が案じられる。

× 桜庭和志 (2R 判定3-0) 田村潔司 ○
記者会見などで両雄並び立つときの、あってはならないような緊張した空気感が、ゴングが鳴ると桜庭のホンワカムードに取って代わられたのが気になった。むしろ田村の冷徹なパウンドが、普段とは違う緊張感をたたえていたように思えた。桜庭は見る度に、勤続疲労のようなものがますます高まっていくような気がする。動けなくて、考えていることを表現できていなかったように見えた。田村は何かを待っていて、あえて仕留めなかったようにも見えた。どちらが強いかはどうでもいいが、何を表現したかったのかが難解で解釈できない。凡戦といえば凡戦だが、それでは済まされない何かはあった。

*****

ダイナマイト放送終了後、NHKにチャンネルを合わせると、森進一が歌っていた。あまりに鬼気迫る姿には、死すら感じさせた。作詞家とのもめ事が結局どうなってこの日を迎えたのか、事情に明るくはないのだが、故人の強い怒りに圧勝してしまう森の迫力をも感じさせた。ずばり、どの格闘技選手よりも怖かった・・・

*****

過去のダイナマイトで行われた、K-1対総合のK-1ルールマッチは次の通りであった(資料出所 Wikipedia

Dynamite 2005
第5試合
○ レミー・ボンヤスキー vs ザ・プレデター ×
3R終了 判定2-1

Dynamite 2003
第5試合
○ 武蔵 vs ショーン・オヘア ×
2R 0:44 KO(左ハイキック)
第6試合
○ 魔裟斗 vs 山本"KID"徳郁 ×
3R終了 判定2-0
第8試合
△ ボブ・サップ vs ジェロム・レ・バンナ △
4R終了 ドロー

プレデターやオヘアはバリバリのMMAの選手とは言い難いし、サップも微妙なので、要はこれまで案外こういう試合は行われておらず、魔裟斗とKIDの名勝負が唯一の機会であったことがわかる(プレデターとボンヤスキーは、実際にはプレデターがかなり押していた記憶がある)。そして今回の結果を見れば、魔裟斗はやっぱり、立派にKの牙城を守っていたんだなあと言うことに気がつく。当時は、K-1ルールなんだから、そりゃ魔裟斗が勝って当然でしょ、って思っていたけれど。

キックやSBの試合に突然MMAの選手が出てきても、実は印象としては意外に勝ってしまうことも多いものである。こうなったからには、K-1による「MMAへのリベンジ」を展開していくべきだと思うが(リベンジはK-1の十八番だったはず)、それをしないなら、総合とはもう、交わらないことだ。負けた方が落ちるばかりで、勝った方がそんなに上げるわけでもないように見えるからだ。せめて禊ぎとして、武蔵が改名すべきだろう(笑)

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Dynamite!!一夜明け会見囲み(1)
Dynamite!!一夜明け会見囲み(2)
Dynamite!!一夜明け会見囲み(3)
ハンセンの代役は石田光洋だった? 谷川代表&笹原EPが舞台裏をぶっちゃけ大放談 (Kamipro)

谷川EP DREAMは3月上旬からスタートしますが、フェザー級グランプリはたぶん16人での開催になると思います。KID選手や、山本篤選手、所(英男)選手とか。

笹原EP あとは今成選手だとか、DREAMに出たことのない選手が出てくるのではないかと思います。

谷川EP 8人くらい日本人、8人くらいが外国人という感じになりますかね。KIDくんには今年こそがんばってもらわないと。

笹原EP ウェルター級の方はまだちょっと分からないですね。

谷川EP たぶん8人ですかね。これにはどんな選手が?

笹原EP(桜井)マッハ(速人)選手が中心となりそうです。

谷川EP 青木くんにはぜひ出てもらいたいな。川尻選手も階級を上げられるんじゃない? ちょっと無理かな? 逆に階級を下げてくる選手もいると思います。(ヨアキム)ハンセンはどうなったの?

笹原EP 精密検査の結果待ちです。

谷川EP 昨日の試合では田村(潔司)選手と所選手が骨折してしまいました。

笹原EP 所選手はフェザー級グランプリの開幕に治療と調整が間に合わないかもしれませんね。


──(キン肉万太朗が)今後マスクを脱ぐ可能性は?

谷川EP マスクを脱ぐというか、新たに普通にデビューする可能性はありますね。何事もなかったかのように(笑)。万太郎は万太郎で続けても面白いとは思いますけどね。

──サップ選手がDREAMヘビー級に参戦する可能性は?

谷川EP DREAMヘビー級はめちゃくちゃ面白くなると思いますよ。ミルコ(クロコップ)がいて(チェ)ホンマンがいて。ホンマンは昨日試合ができるようなコンディションではなかったんですけど、覚せいすればすごくなると思いますし、がんばって(エメリヤーエンコ)ヒョードルとか呼んで(セーム)シュルトがいて、アリスター(オーフレイム)がいて、ボブがいて、(セルゲイ)ハリトーノフがいて、万太郎がいて。“柔道の人”も出てくれればいいんですけど(笑)。

昨日はなんの文句も言わずに本当に勇気だけで出ていった選手がみんな勝って、ブツブツ文句ばっかり言ってた選手が全部負けて『気持ちいいなぁ』と思いました。ブツブツいう選手は負けますよ!

最後までゴタゴタのハプニング続きでしたけど、逆にそういうほうが大会はおもしろくなりますからね。ハンセンが倒れたんで、当日まで会場のトークショーのときまで石田(光洋)君に『やるの?』『やらないの?』っていうのがありましたね

──バダ・ハリ選手が負けてしまいました。

谷川EP いいクスリになったと思います。めちゃくちゃ落ち込んでいましたよ。大会後のパーティでもずっとすみっこで携帯メールかなんかやってましたよ。ただ主催者として反省しないといけないのは、ダウンした選手をすぐに試合に出してはいけないと改めて思いました。本人が「やりたい、やらせてくれ」と言っても。

 アリスター選手やゲガール(ムサシ)選手のK-1の試合は面白かったですね。
 普段のK-1の試合というと当たり前の間合いとリズムがあるんですけど、DREAM選手の変則的動きはK-1選手にとって勉強になったんじゃないでしょうか。
 ルールを超えた試合でK-1選手がDREAMルールで勝ったり負けたり、DREAM選手がK-1ルールで勝ったり負けたりするところに意味があると思うので僕はすごく良かったと思っています。


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