レスリング・オブザーバーの田村・桜庭戦評

米レスリング・オブザーバ1月7日号に、Dynamite! のレビューが掲載されていました。大変興味深かったので、がんばって抄訳。

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結果的に奇妙に楽しめる大会だった。ダイナミックなフィニッシュもあり、観客も大騒ぎだったし、いくつかの試合はすばらしかった。かつてなく明白になったのは、これはアメリカで人気のあるのと同じMMAであるというより、日本のプロレスが進化したものに、MMAと同じ予測不能性がまとわりついたものである、ということだ。

視聴率は、2001年に大晦日スペシャルが始まって以来の低いものだった・・・(民放では)NTVのコメディショーに次いで第二位で、そのショーの一部には、IWGPと三冠王者である武藤敬司と、GHC王者佐々木健介が激突するコメディ・マッチが含まれた。三大タイトル王者が一試合に集結するのは日本のプロレス史上初めてのことだった。

・・・もしこの日にテーマらしきことがあるとすれば、それは、いくらカードを積み上げることが出来たとしても、リアリティをブックすることは出来ないということである。ところが全く同じ理由で、リアリティにはそれ自体のエンターテインメント・バリューがある。

・・・観客動員は1万8千、うち有料入場者数は1万とふるわなかった。メジャーな宣伝もなく、ネームバリューも劣る新日本のドーム大会はその数字を上回る。なにせ前売り段階で1万を超えている。たまアリはWWEが使ったときと同じ、2万人収容に設営されており、殆ど満員状態ではあった。PRIDE全盛期には3万5千人仕様が普通に満員になっていたものだ。

2000年の猪木ボンバイエにも出場していた唯一の選手、桜庭は、究極の因縁の対決でメインを飾った。対戦相手の田村潔司(39)は近代プロレスが生み出したもっとも偉大なワーカーの一人である。ワーカーとしてはクリス・ベノワやショーン・マイケルズに勝るとも劣らないし、プロレスの本来的な意味での目的、つまり試合をリアルに見せるという点においては、おそらくヴォルク・ハンを除けば、彼らより優れている。

全盛期には田村はまた、ソリッドなシューターでもあった。80年代後半のUWFシステムで鍛えられ、90年代にはトップレスラーの一人としての役回りを運命づけられた。彼は三人のUFCのチャンピオン、モーリス・スミス、パット・ミレティッチ、デーブ・メネーを倒しているし、全盛期のフランク・シャムロックとはシュートマッチで30分時間切れ引き分けを演じている。

田村がUインターで高田に次ぐ二番手となったころ、カレッジ・レスリングから桜庭が入団してきた。田村は桜庭をいじめたが、それは日本の文化では変わったこととは言えないし、むしろ後輩は先輩を生涯敬うのが普通であるが、桜庭は利用されていると感じた。年が流れ、痩せたカレッジ・レスラーはサブミッションを覚え、適材適所を得て真に国民的なスポーツヒーローに成長し、グレイシーを退けて日本のMMAブームを立ち上げた。

田村は別方向を歩んでいた。Uインター崩壊後、RINGSに入団し、前田のナンバー2となる。リング上では前田よりずっと優れていたが、前田にはオーラとドローイング・パワーがあった。前田が負傷欠場すると、田村がどんなにすばらしい試合をしようと、RINGSへの人々の関心は薄れていった。PRIDEのシュートがRINGSのワークを殺し始めると、RINGSはシュート度合いをどんどん強めた。185パウンドの選手として、田村は殆どの選手より強かったが、世界有数とまでは言えなかったし、ましてヘビー級トップ選手に対抗することは出来なかった。RINGS解散後、田村の影も薄れた。自らのプロモーションを立ち上げ、堅いシュートスタイルのワーク・マッチに回帰したが、それはすでに時代遅れで、Uインターを懐かしむ古いファンにしか受けなかった。シュートマッチにも出場したが結果はいろいろだった。Uインターに終止符を打つ形で、高田をシュートで倒した。その一試合だけで、東京ドームが実際に売り切れた。ヴァンダレイ・シウバ全盛期には、日本の救世主として登場したが、善戦するもKO負けを喫す。

桜庭はスターの座を得て以来、田村へのリベンジ戦を希望していた。そして、試合実現を切望するファンをいらつかせるように、田村はオファーを蹴り続けた。田村はピーク時のシウバにKOされることは望んだが、かつて指導した後輩に追い抜かれるところを誰にも見せたくなかった。先輩ということに、こだわりを持っていたのだ。

・・・試合はハッスルの「武藤 vs 高田」と競合していた。地上波でプロレスが絶滅しているときに、人がもっともよくテレビを見る時間帯に、地上波で90年代のUインターの三人とグレート・ムタが角を突き合わせているというのは、誠に持って奇妙な力学である・・・多くのファンは判定結果を聞かずして会場を離れた。この物語には、一つのエンディングしかありえなかった。それはもはやうち捨てられ、色あせてしまったが、「伝説がついに、これまでずっと避けられていた幼い頃のライバルを克服する」というものであるはずだった。

リアリティをブッキングできないという意味では、この結果こそがこの夜のテーマだった。

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>田村はショーン・マイケルズより優れたプロレスラー、という評価は新鮮。その強みを生かそうとして生かし切れない人生だったのかもしれないなあ。言われてみれば最後の10秒、ふらふらの桜庭がやっと先輩の顔を殴ってましたが、田村が殴らせたかな・・・

再選はUスタイルで、桜庭が勝つことにしてみてはどうでしょう。美しい捻れかも。

それと、「プロレス」というのは商売になるのかならんのか。プロレスでございますと言わなければ商売になってる気がする。それにしても年末年始、真の勝者は結局武藤でしたかねえ・・・

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一宮章一のもう話しちゃっていいですよね!?WAR崩壊の真実から朝青龍問題までまるっとまるごと激白だ!(OG)

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演劇界の風雲児、金守珍氏。在日コリアンの格闘家、前田日明氏。

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