レフリーはつらいよ


昨日のDREAMではレフリングに対する不満が残る部分があり、僕が見た範囲でも複数のブログで疑問が呈されていた。UFC96でも、殴り合い中にレフリーが割って入ったのに何故か試合が続行になったり、早すぎるストップなどがあって、ダナ・ホワイトも「まともなレフリーは3人くらいしかいないのかよ」と試合後に毒づいていたそうだ。この辺の事情は自分でもWOWOWを見てから、米情報なども参照して、必要に応じてまとめてみたい。

で、消してレフリーをかばうわけではないが、あまり安易なレフリー批判も生産的じゃないなと思う点があって、一つにはスポーツ性志向が日本より強いUFCでも疑惑のレフリングは多々見られるということ。数えたわけではないが、日本より多いくらいかも。スポーツ性が高いからこそ、皆が敏感に見ているからかえって多く感じるのかもしれないが、とにかく日本だけ・FEGだけの現象ではないということは踏まえたい。谷川が悪い、笹原が悪い、というのは決めつけすぎだろうと思う。完全否定も出来ないけれど。

さらに、やはりその場その時、瞬時に判断し審判を下さなければならないレフリングというのは、客席やテレビで見ている立場とはまるで違っていて、簡単な仕事ではないだろうということも想像できる。とくにテレビでは、ずっと引きの絵で全体像を見れるし、解説者のコメントなんかも聞こえるし、VTRのリプレイもあるし、ヘンなレフリングの後のブーイングだって聞こえるわけで、それだけの材料を得て事後的に考えるということと、現在進行形どころか未来形で自分の目と頭だけでジャッジングし、試合の流れに実際に介入していくのとでは大きく違う。

よくプロ野球で監督の采配を批判する人がいるが、やったことを結果論で評価するのは簡単なのである。古い話だが、五輪での星野采配だって、「失敗した選手を繰り返し起用した」などとしてカビ臭い頑固者の如く叩かれたが、もし結果が良ければ、「失敗した選手にリベンジの機会を与えて力を引き出した」として名采配と称えられ、星野流リーダーシップ論として有り難がられたはずだ。問われるべきは、どういう結果が出るか分からない中、未来に切り込んでいく際に、「エラーした選手を再び使うべきか否か」という考え方そのものがどうなのか、ということなのである。

レフリングもこれと同じで、結果論の評価は簡単だけど、それはそれまでの話であって、より肝心なのは、どんな考え方で試合に切り込んでいっているのか、ということだと思う。旧PRIDEのレフリングに、「ワーク・トゥ・フィニッシュ」という基本コンセプトがあった。ビビアーノへのイエローは、このコンセプトに基づいて行われたのであろうと想像される。かなりわかりにくいけどね。ビビアーノを減点してやろうとの悪巧みから、あるいはレフリー自身が良い格好をしてやろうとして下した判断ではあるはずもない。そう見えるけど。

そこが、選手やファンと共有されていないと、いつまでたってもレフリーは批判されてばかりだと思う。

この問題は意外に根が深い。というのはひとつには、敢えてさらっと書くが、どんな競技として見せたいのかという、基本コンセプトに関わることだからだ。もうひとつは、ガバナンスの問題につながりうるからだ。いまのDREAMのレフリーは、DREAMに雇われているのだと思う。スポーツとしてはおかしいといえばおかしい。UFCのレフリーは、UFCに雇われているのではない。

だからコミッションが必要だと主張しているのではない。コミッションがあったって、現に問題は起きてる。それならそうと、DREAM自前のコミッションでいいから、もっと普段から情報発信してくれればいいということだ(そういえばDREAM7の審判・ジャッジの紹介で、磯野さんがいなかったな)。

もっともレフリーはどのスポーツにあっても、批判されているくらいでちょうど良いのかもしれない。誰がレフリーをしても同じ結果になり、何の文句も出ない、そんなスポーツは全然面白くない気がするし、アスリートが人間である以上、曖昧なことが起きるのは必然なのかもしれない。

UFCレフリーのインタビュー記事があったので、以下に抄訳しておく。UFCではしばしば、試合を止めるのが早すぎる、遅すぎると言うことが議論になるので、その点について触れている。

Refs face tough calls in mixed martial arts (Beau Dure, USA TODAY)
Referees riff on stoppages (Strikes and Submissions)

スティーブ・マザガッティ

自分は元消防士で、たくさんの傷を扱ってきたし、メディカル・トレーニングもたくさん受けてきた。

試合を止めるのは簡単じゃない。事態はほんの0.5秒で起きるし、選手にはチャンスをやりたいし・・・。レベルの低いローカル・ファイトなら、顔面に一発で試合を止めるが、UFCレベルになると生活もかかっているから選手も真剣だ。選手は自分が負けたことを理解しないといけない。理解する前に試合を止めると、ホントに怒り出す。70%の選手は、あんなに早く試合を止めるなと言ってくる。早く止められることを凄く気にしている。

ストップが早すぎるとプロモーターが批判するのは分かる。プロモーターは、やろうとしていることのイメージを持っている。

レフリーというのは感謝されることのない仕事だ。人気者になるためにやる仕事じゃない。みんなレフリーをけなすのが大好きだ。とはいえ、このスポーツでは、レフリーは幾分か、セレブな感じもする。まあ、貧乏なセレブなんだが。

自分の関わった試合で深刻なけが人が出たことはないよ。


ジョン・マッカーシー

マッカーシーはUFC2からレフリーを務めはじめたが、その時点では試合を止める権限は持たされていなかった。試合は、選手自身か、セコンドが止めることになっていた。マッカーシーはセコンドに対して警告を発する形で試合に介入しようとしたが、セコンドの多くは耳を貸さなかった。UFC3からは、試合を止める権限を得た。マッカーシーの判断基準は、選手が「知的に防御 (Intelligently defend)」できなければ試合を止めるというものだった。「インテリジェント・ディフェンス」という基準は、今日でも活用されている。

アーム・バーが極まればもうチェックメイトだ。それを分かっているなら、腕を折るまで続けさせる必要はない・・・選手が叫びだしたら、自分なら試合を止める。タップと同じだ。事態をハンドル出来なくなっていると言うことだからだ。

選手が難局を乗り切ることは多い。チャンスは与えないといけない。彼らはプロだ。腕が捻りあげられているのを見るのは、どんなに痛いかわかっているだけに、こちらまで痛い。でもその時点では止めない。


ハーブ・ディーン

2004年のUFC48、「フランク・ミア vs ティム・シルビア」でのストップが早すぎるとして、ファンから大ブーイングを浴び、シルビアから抗議され、ダナ・ホワイトからはぶち切れられた。しかしハーブは、シルビアの腕の骨が折れる音を聞いて止めたのだった。後にシルビアは、骨折は分かっていたが、ラウンドの残りあと45秒だけ、痛みで身体が動かなくなるまでは、片手でミアをKOしてやろうと思っていたと明かしている。

判断基準の一つは、選手の反応だ。なにか知的なことを見せてくれなければ、試合を止める。打撃を受けている最中に指でOKサインを出しても、知的な反応とはいえないが、顔を下に向けてチョークで締められているときのOKサインは、失神していないことを意味するので有効だ。

試合を止めた後に選手から殴られたことがある。覚醒した選手から金的を蹴られたこともある。だから、痛めつけられないような防衛テクニックは多少学んだよ。


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DREAMが今夏にも無差別級GP「リアル天下一武道会」開催?(ブラックアイ2さん)

「青木&川尻を見習え!」 笹原EPがフェザー級ファイターに苦言(Kamipro)

記者の皆さん、顔が暗いですが、元気を出してください。今年のDREAMは『元気』がテーマです。前日会見でも言いましたが、09年は勝負の年だと思っています。今日のフェザー級の結果はわかりづらい階級でしたが、私どもはめげてはいません。今日の結果が『DREAM.9』につながるように盛り上げていきますので、よろしくお願いします」


なんだか今年のDREAM、結果次第では大変なことになるかのような、シリアスなしゃべりだな。大丈夫なのか?

「DREAM.7」の視聴率は2.4% 最高は青木戦(スポナビ)

3・14『club DEEP』新木場1stRING大会で白井祐矢とキム・ヨンヤンがDREAMウェルター級GP出場権を懸け激突!!(DREAM公式)

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●イギリスでUFCを放送中の Setanta Sports という衛星テレビ局が経営危機に陥ったのではないかと見られている。WOWOWが経営危機に陥ったようなもので、イギリスのファンは不安だろう。<MMA Payout>

●エミリャーエンコ・アレクサンダーがレッドデビルを円満離脱した模様。アレクサンダーの個人サイトには、今後は国際的なトーナメントでロシアの威信を守っていきたいとコメント。Five Ounces of Pain は、アレクサンダーがチームメイトとしっくりいっていた無かったという噂と、昨年のアフリクション大会前のコミッション検査でB型肝炎が発覚したらしいことを併記している。

●これはどうということもないが何となく珍しい。ヒョードルの事務所の風景。

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