マイク・タイソン噛みつき試合を再検討する


遅ればせながら、WOWOWで放映された「“鉄人”マイク・タイソン伝説」を見ている。第三回放送分での、イベンダー・ホリフィールドとの抗争劇が興味深かった。タイソンが仮釈放後、WBC/WBA統一王者として臨んだ1996年11月のメガマッチである。90年2月、東京ドームでタイソンがもしジェームス・ダグラスに勝っていれば(大方は勝つだろうと思われていた・・・)、その次の試合として戦うはずの両雄だった(ダグラス戦は第二回放送分のメインテーマだ)。そして結果は11R、ホリフィールドのTKO勝ちであった。

この試合、最初の3Rくらいは、猛烈な戦争だった。スリリングな互角の打ち合いを演じる。中盤以降、ホリフィールドがクリンチを多用するようになる。身長に勝るホリフィールドが、身体を折り曲げてタイソンの身体に覆い被さるようにクリンチし、いかにも不自然な、頬と頬を重ねるような体勢をしきりに取る。ブレイクすると今度は大きく距離を取る。その繰り返しが試合の基調だ。リーチもホリフィールドの方が長い。タイソンはさぞ動きにくかったろうし、いらついたことだろうと思う。
頭部を異常に接近させる独特のクリンチのおかげで、バッティングも頻発していた。とくに6Rのバッティングでタイソンが目尻をカット。すると、ドクターチェックのあと、ホリフィールドがここぞとばかりに猛攻を加え、ラウンド終盤にダウンを奪う。かなり現金かつダーティな作戦に見える。とはいえ、タイソンもブレイクの際に、肩パンチやヒジを入れていたようにも見える。虚々実々だ。ちなみに、客席の反応はホリフィールドが善玉。あるいは、タイソンの悪玉人気というべきだったのかも。

7Rにやっとレフリーが、ホリフィールドにクリンチ多用を口頭注意。この試合のレフリーは29歳の若手で、30試合以上のタイトルマッチのレフリング経験はあれども、これほどのメガマッチのレフリーは初体験だったという。そのラウンドはクリンチは減ったが、ホリは距離を取ってサークリングするばかりで、前ラウンドの猛攻の疲れをいやしているようにも見えた。そして8Rからはまた同じようなチークダンス。レフリーも舐められていたのかもしれないし、タイソンはもうこの時点で、耳を噛みたくて仕方なかったとしても不思議はないように思われた。ルーチンな動きの中にタイソンの穴を見つけると猛ラッシュを仕掛けるホリのメリハリのきいた攻撃が11Rに奏功し、タイソンはスタンディング・ダウンを取られTKO負け。両者ともコンディションもよさそうだったし、ホリフィールドが寄り切ったとの印象は残った。

再戦は97年6月、わずか7ヶ月後に行われている。この再戦は、PPVは200万件を売りさばいたというから、今のGSPの倍である。1R,両者猛烈なしばきあい。フェザー級もビックリのスピード。これはすごい。ホリのチークダンス・クリンチは一回目からベテランレフリーのミルズ・レーンに厳しい顔つきで口頭注意される。レフリーはタイソンサイドの要望でレーンに変更されたそうだ(Wikiより)。2R、またもやホリの低頭クリンチによるバッティングでタイソン流血。その後さらに低頭クリンチでタイソンをコーナーに詰めたホリのボディ打ちがローブローに。タイソンは攻められながら、まるでヌルヌルに抗議する桜庭のようにレフリーに何か叫んでいる。このダーティプレイにタイソン激高。さらにクリンチしてくるホリの首根っこにヒジを突き立て、「高山 vs フライ」戦のようなパンチを一発。

そして運命の3R。タイソン、マウスピースを忘れてリング中央に進み出る。力みまくった強烈なパンチが空を切る。ホリはクリンチの際、こんどはタイソンの両腕をかんぬきのように極めてくる。腕まで押さえられてついにタイソン、ホリの耳を噛みちぎる。飛び跳ねて痛がるホリフィールドの後ろ姿にもタイソンは一発。ドクターチェックのあと試合は再開。喧嘩マッチの様相。ホリは縦ヒジをタイソンの頭に落としてるし、タイソンは二度目の噛みつきをしてる。結局3R終了まで試合は行われ、インターバルの間にいったんタイソンに減点2点が宣告されたあと、改めて反則負けの宣告。

この二戦目は当時ボクはWOWOWで見ていたと思う。そのときは単に、本当に、タイソンが気が狂ったのかと思った。なんて酷い人なんだろうと思った。今の目で見なおしたとき、もちろん噛みつきがいいことだとは言わないけれど、ホリフィールドの戦法はかなりダーティで、つまり王者らしく、タクティカルでリアリスティックだった。ホリフィールドがタイソンを八方ふさがりにして噛みつきの境地に追い込んだようにも見えた。タイソンも別に、突然無茶苦茶に我をなくしたわけではなくて、2試合にまたがる、しかるべき辛抱のプロセスがあった。ボクシングは互角だったと思う。ただ、ホリフィールドはトップレベルの試合独特の厳しさ、エグさ、怖さを持っていたように思う。あのタイソンが、少しナイーブに見えるほどだった。



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BloodyElbow によると、サンボ選手権でヒョードルを下した男、ブラゴイ・イバノフが戦極と三試合契約、8月大会で藤田和之と対戦の予定。藤田>イボノフ>ヒョードルの図式を説得力を持って描けるか?

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MMA Fanhouse によると、M-1 Global のサイトで、8月初旬のアフリクション3での「ヒョードル vs バーネット」の決定が間近だとアナウンスしている。アフリクションでは、これは決定事項ではないという声明を発表している。

M-1 が先走って物事を発表するというのは、これまでも何度も見られたことであった。そしてほとんどの場合、M-1 が言うとおりになるというのが、これまでの経験である。

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BloodyElbow によると、UFC公式サイトから、このほど下記6選手のプロフィール等が削除されたという。解雇されたものと思われる。

  デビッド・ビールクヘイデン
  郷野聡寛
  デビッド・ロワゾー
  ジェイソン・マクドナルド
  Vinny Magalhaes
  長南亮

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Figure4Weekly Online によると、WWEのアンダーテイカーが両膝と臀部の怪我で欠場中。手術の予定もあり欠場は数ヶ月に渡る可能性もあるという。WWEでは現在、HHHがアングル上の怪我で欠場中、ショーン・マイケルズも休暇中のため、ジョン・モリソンのベビーターンと CMパンクのプッシュが行われているという。


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