ミルコ・ゲート【UFC99レビュー】


UFC99をWOWOWで見た。情報断ちしながら他方で三沢情報を追ってしまい、宇野敗戦の見出しをちらっと見てしまった上での観戦となった。


ミルコ・クロコップ def ムスタファ・アルターク(1RTKO)

ミルコ、見たこともないほどデカイ。アルタークの技量がわからないままなのだが、一応ミルコはグラウンドに引きずり込まれそうにもなければ、金網に押しつけられそうにも見えなかった。ヒザの踏ん張りが効いていることの表れなのだとしたら心強い。そして、プレッシャーをかけ続け、ボディ打ちやヒジをふくむ多彩なパンチでよく追い込んでいた。強いミルコが戻ってきた、とまではわからなかったが、少なくともこの試合に負けることはないだろうなと思わせた。フィニッシュ前にはアクシデントとはいえ興ざめな目つぶし攻撃も見られ、これがその後の虐殺に結びついてしまうという不透明決着となったが、レフリーがチェックしなかったのだから仕方がない。

もしUFCに継続参戦するなら、ステップアップしていくさまを見てみたいと思わせる内容ではあった。


スペンサー・フィッシャー def 宇野薫(ユナニマス・デシジョン)

宇野はフットワークも軽快だったし、変化球のようなタックルは素早く、離れ際にふと相手の背後に回りこむお得意のムーブも幾度となく見られた。フッと力を引いて体勢を変えるような動きもことごとく決まっていた。ドイツのアホな客がひっきりなしにブーイングを送っていたが、宇野らしさが溢れた好試合だったと思う。だいたい、宇野はブーイングなんて気にしない男だ。

3R終盤にはサイドコントロールを取ってヒジを落としまくる展開が見られ、個人的にはこれは宇野の快勝だろうと思ったし解説のTKもそう言っていたが、意外にも三者ともフィッシャーに付けた。この判定はいただけない。

宇野の強さがしっかりと発揮された、気持ちのいい試合だったし、UFCのオクタゴンでここまで本来の実力を発揮した日本人選手は久しぶりに見た気がするし、次戦が楽しみではあるが、この内容を再演しても判定が取れないのだとしたら、星勘定は厳しくなりそうだ。UFCの場合、連敗するとおそらく解雇だろうし。

実はサムライで最近放送された宇野特集と桜井特集で、彼らの試合ばかりを1時間続けて見て、宇野らしさ、桜井らしさということが良く理解できたような気がする。最近の試合で言えば宇野が石田に勝った試合、桜井が青木に勝った試合、ともに心が揺さぶられる好勝負だったけれども、実に若い頃から、彼らの勝ち方はこうだったんだ、と思った。細かい技術のことはわからないし、技術で言えば進化しているのだろうけれども、見ていて感じ取れるイメージは案外と変わらないんじゃないかと思えた。


リッチ・フランクリン def ヴァンダレイ・シウバ (ユナニマス)

要するに、覆い隠しようのないくらい、ヴァンダレイは昔のヴァンダレイではなくなってしまった、という事実を突きつけられたと思う。PRIDE時代の彼の、炎の剣が乱舞するような強さを思えば、まるで別人である。勢いがないのである。

星勘定的に言えば、アンデウソンに連敗し、ミドル級から上げてきたフランクリンに、ライトヘビーから下げてきたヴァンダレイが勝てないとなると、ヴァンダレイが早々にミドル級で王座戦線に絡んでいくのは遠い話だと言うことになろう。案外、秋山戦というのは年末くらいにちょうどいいマッチメークになるかもしれない。そして、幸か不幸か、秋山が勝つように思う。

戦う度にシウバの顔は、まるで試合中の桜庭のように、腫れぼったく変形していく。足もとはふらつき続け、パンチはスローになり、ガードは甘くなり、反応は鈍っていく。フランクリンが慎重さを崩さず、一気呵成に攻め込まないのが不思議に見えた。そこは「顔」の違いなんだろう。シウバだって初上陸のはずの遠いドイツの地で万雷の「シウバ」コールを背に受け、両手を大きく挙げて観衆を煽り、倒れることなく3R、まさに最後の10秒まで全力で戦い抜く姿は、プロ選手の姿としては胸が詰まるほど立派である。力は落ちているのに、メインイベンターとしてはこの上ない品格と存在感。ファイト・オブ・ザ・ナイトがスピリットを称えるボーナスなのだとしたら、この日のシウバにとって、まさにふさわしい。

シウバ、試合後会見
「将来のことは未だわからない。ファンの存在が自分の戦う理由だ。オクタゴンの中のエモーションは素晴らしい。自分はそれが大好きだし、ファンに分け与えたい。ファンもそれがわかっているから、リスペクトしてくれるんだろう」


さて、大会後にはミルコ・クロコップがダナ・ホワイトに、ほなDREAMとの契約がありますんで、さいなら、と三行半をたたきつけた模様だ。

ホワイト 「クソ汚いマネだよ。やられた。契約を電話で済ませたのはUFC史上はじめてのことだった。ヤツは3試合契約を約束してくれていたが、約束は守られない。名誉だとか何だとか言っていたし、タイトルにも絡んでいきたいと言ってた。いろんな対戦相手をオファーしたがヤツは断った。本当はケイン・ベラスケスと戦わせたかったんだ。ヤツはアルタークだけじゃなく、自分にも目つぶしを食らわせた。」

ミルコはダナに急にメールを送って出場希望を告げ、その後電話で2時間にわたって話をして今大会出場を決めたのだそうだ。

Fight Opinion はこの取引を「今井賢マジック」と呼び、ミヤトビッチ氏などの前例を踏まえれば、悪魔の方は悪魔らしく振る舞っただけ、ダナは悪魔と一試合契約をしてしまったと分析している。

>なーんかミルコ絡みではヘンなニュースが流れるなあとおもって、僕もちょっとした仮説を立てては見たが、まさかこういうことだったとは。事実上ミルコは、UFCを調整試合にして、日本に勝ち逃げしてくることとなった。アンチUFCな人や、UFCに生活奪われたと思っている人にとっては留飲の下がる思いなのかも。聞いていてあんまり気分のいい話ではないが。ただ、年末にDREAMで、「ミルコ vs ヒョードル」という、UFCに手が届かない、かつ数字を持ってそうな世界一決定戦をやろうとおもえば出来そうだ。

ちなみにUFC99前日記者会見でダナ・ホワイトは、「もしバーネットがヒョードルに勝てば、ジョシュとの契約を検討することになろう。(MMA Fanhouse)」と語っていた。誰が世界一なのか、三段論法合戦になっている。いまのところ、UFCの元王者を続々と倒しているヒョードルに分がある。

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アドレナリン3のメインイベントでは、レイ・マーサーが10秒でティム・シルビアをワンパンチでKOした。映像はこちら。巨木が朽ちるように荘厳にゆっくりと倒れている。ハッキリ言って、あまり見たことにない倒れ方ではある。

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潮崎、三沢さんに捧げるGHC王座初戴冠「見ていてほしい」=ノア(スポナビ)

ちなみに秋山準は、パニック障害であることを自ら明かしていることもあって、メンタル面での欠場なのかと思っていたが、本当にヘルニアによる欠場だということだ(どこかで読んだが、引用元をメモるのを忘れた)。


三沢光晴の思わず死んでしまいました(マキタスポーツブログ)

不謹慎なのではない。見る側にこの強さはたしかに必要だ。

それもこれも「盛り上げるため」であった、という事実。そのバカバカしさを味わっていただきたいと思う、ご冥福をお祈りするとか言う前に。極度の楽しさの裏には死がある。

インフルエンザに過剰反応する向きも、政治家にやたらクリーンなものを求めるのも、お相撲さんをやたら叱る雰囲気も、みんなプロレスを見ないからだ、プロレスという“いい加減なもの”を愛でる知性がないからそうなるのだ。


さすがにうまく言葉にしてるし、この時期に言葉にしているのは勇気がある。
うちのブログも多少はアクセス数があるわけだし、思ってることはちゃんと言葉にしていかないとな。


テッド・タナベレフェリーの容態について(大阪プロレス公式)

こちらも衝撃。何故続く?
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