ミルコ騒動もう一つの仮説/スポーツ事故の法律




Sports Illustrated が、DREAM10で「ミルコ・クロコップ vs マイティ・モー」が行われる模様だと伝えた。

ミルコの行き先が決まった以上、ここしばらくのゴタゴタは最早もうどうでもいいのかもしれないが、一応、レスリング・オブザーバにあったデイブ・メルツァーの読みを紹介しておく。一部事実誤認もある気がするが、一定の説得力はあるので、そのまま訳す。

Quote
私の直感では、ミルコ陣営は天秤にかけていた。UFCとDREAMの両方に対して、長期契約を結んだことにしておいて、そのことを試合の前に明らかにした。万一アルタークに負けたとしても、ミルコはDREAMとは好条件で契約できる。なぜならミルコは日本ではスターだし、日本のファンは海外戦での勝ち負けにはあまり頓着しないからだ。アルタークに勝てば、ミルコの思うつぼだ。DREAMはすでに、ミルコと長期契約を結んだとアナウンスしている以上、UFCに逃げられて顔を潰すことがないよう、金額の引き上げもいとわないだろう。UFCもミルコと契約したと言ったのだから、他団体に奪われれば顔がつぶれる。結果、ミルコはよりよい条件を得ることが出来る。

6月16日の時点でミルコは、自分はどことも契約していないし、双方と話をする積もりがあると語っている。そして、「こんなに好条件かつ難しいポジションは初めてだ」とも語った。

UFCはどうやらこれを、面を汚されたと考えた。社内では、ミルコは二度とUFCにあがれないと言った話もある。ミルコ自身は、もしDREAMと契約しても、契約終了後にUFCにも戻ってきたいと発言している。DREAMは、ミルコと3試合契約を結んだと主張しており、UFCは試合の前にそのことを知らされたと語っている。

「自分は何も隠していない」とミルコはクロアチアでのインタビューで語っている。「とても単純な話なんだ。自分には真実がわかっているし、ダナにもわかっていることだ。自分はUFCと1試合契約をし、その契約を遂行した。そして、UFC99が済んだら、また話をしようと言っていたんだ。」

ミルコは、UFCでは次の試合まで6ヶ月以上待てと言うが、自分はもっと試合をしたい。DREAMは年内3試合をオファーしてくれたと語っている。そして、まだUFCでのタイトル挑戦に興味があり、UFCはベストの選手が揃っているが、自分はとにかくたくさん試合をしたいのだと語った。
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UFC99ドイツ大会について、ドイツの主要メディアがおおむね批判的な内容の報道を行っているという。シャードッグがまとめている。

主要紙に躍る見出しは「血とサーカス」「ケルンでの金網戦が国際的な暴徒を喜ばせる」「キャンヴァスに染みる血」など。テレビ放送でも「勝つために血を流すか窒息させることしか考えていない出し物で、金儲け主義の極北」「試合での暴力性が増せば増すほど観客は喜んでおり、ストリートファイトと変わらない、今後MMAはドイツでは禁止されるべき」。

そのほか、「校庭での喧嘩と変わらない。レスリングスキルは二級品」「若者はこういうことをすぐに真似してしまい、致命的な結果をもたらす」など、散々な様子である。

ドイツでのこのような反応について MMA Weekly がダナ・ホワイトにコメントを求めている。

この大会は成功だったと思うし、ここから、練習をする人が増えたり、ジムが出来たりして、広がりを見せるんだ。アメリカでもカナダでもイギリスでもそうだった。

イギリスでも最初、同じようにバッシングは受けたが、いまではそのイギリス人がドイツ人の姿勢をバッシングしている。人々を啓蒙しなければならないんだな。皆が選手のこと、競技のことを知るようになれば、すべては変わるんだ。大事なことはとにかく、われわれが最初にドイツで大会を開いたと言うことだよ。ここから始まるんだ。


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読売新聞6月16日の社会面に、三沢さんの死亡について、傷害罪を問うのは困難であるという趣旨の記事があった。読売のサイトで検索してもこの記事がうまく出てこないので、仕方なく端折りながらポイントだけタイプしておく。

●リングなど設備に問題があった場合、過失を問う可能性もあるが、スポーツの行為で罪を問うのは困難。

●ちょうど医師が手術で患者の身体にメスを入れても罪に問われないように、プロレスラーの試合は刑法上「正当な業務」行為と考えられる。

●これは、社会常識で考えて許されることは罰すべきではない、という考えに基づいており、ボクシングや相撲で選手や力士が死傷した場合も同様である。

●「危ない技を掛け合うのも同意の上」ということも罪にならない理由の一つとされ、刑法上の傷害罪の例外となる。

●ただし医師でも手術ミスをすれば罪に問われるように、試合中でもすべて刑事責任を免れるわけではない。

●プロレスには反則技がつきものだが、ルール上は禁止されており、三沢さんの事故も「プロレスの常識」を踏み外していれば罰せられる可能性はある。

つまり、「プロレスの常識」が問われるのだという話である。三沢さんの事故はそうではないが、なんだか、場合によっては底なし沼を突き詰める話になるような気もする。
格闘技に当てはめると、たとえばK-1で殴り合っているうちはいいが、バダハリ的な反則はも有罪になりえる、ということになるだろうか。

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先日の自分の三沢追悼記事、一生懸命書いたのだけれど、どうも後味が悪い。言葉にしにくいことを絞り出してみたんだけど、何かが足りていないのだろう。砂を噛むようだ。

三沢さんとの思い出(小島聡オフィシャルブログ)

見ている側の、祈りの言葉をあらためて(ときどきキックアウト)

このあたりの優しい記事を読んでいると、少なくとも原因の一つは、僕の記事には「ありがとうございました」が足りなかったと気づかされた。

今回の三沢さんの件では、言葉にならない思いを抱いた人が多いだろう。僕もそうだし、それも無理ないことなのだが、ブログをやっているような人、書くことに意義を見いだしている人は、どうか七転八倒しながらでも、その思いをぜひ言葉にしてみて欲しいと思う。忙しい人は時間が経っても構わない。なんというのか、「書く」ことの意味はたぶんそういうことだと思うし、故人と自分との目に見えないキャッチボールになるせっかくのチャンスだと思う。

三沢さん追悼特集号を22日から発売します(日刊スポーツ)

三沢光晴追悼号(東京スポーツ)

週刊プロレス 三沢光晴追悼で異例の増刷(アメーバニュース)

レスリング・オブザーバ6月22日号は、15ページにわたる三沢特集を組んでいて、いま読んでいるところなのだが、そのなかに次のような記述があった。

秋山にも多大な重圧がかかっている。NOAHは彼に、三沢のフロントとしての業務を引き継いで欲しいと考えているのだ。百田副社長は、今ツアー終了後の6月23日に会議を開き、今後の会社の方向性を話し合い、その後3ヶ月以内に新社長を発表すると語っている。


「秋山新社長」の可能性を示唆しているとも読み取れる。


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