ダナ・ホワイトが仕掛ける世代間闘争【UFC100余波】

「テレビで好試合を無料放送するのはいいことだと固く信じている。僕がボクシングのファンになったのは、ABCの「ワールドワイド・スポーツ」やUSA Network の「チュースデイ・ナイト・ファイト」を見て育ったからなんだ。やがてボクシングに有料のビジネスモデルが生まれてくると、みんな欲がでてきてしまい、もはやいい試合は無料では見れない」ダナ・ホワイトは続ける。

「われわれはこれの逆を行きたい。ファンがお金を払って視聴するPPVは年に12~13回にとどめたい。そして、ファンがPPVを買ってくれる以上、無料放送でビッグファイトのお返しをしたいんだ」

ほんの数週間前まで、無料チャンネルでレスナーの試合を見ることなど考えもつかなかった。しかしホワイトは、何かを無料で与えることで、需要をさらに増やせると踏んでいるようだ。

思えばモハメド・アリは無料チャンネルでの戦いを通じて、世界的な選手になったのである。

Lesnar is must-see TV (Kevin Iole, Yahoo! Sports)

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ダナ・ホワイトがレスナーを無料の Spike TV に登場させるという。もしそうなれば、これまでのMMAの視聴者数記録はすっかり塗り替えられるだろう。1000万人獲得も十分に可能だ。それにしても、1000万人の無料視聴者は、PPVをすれば得られたであろう1000万ドルに値するものだろうか・・・

ダナ・ホワイトの話を聞いていると、彼にポピュリストの傾向があることは明らかだ。他の多くの、若くして成功した者たち同様、彼を駆り立てるものの一部には、若い頃に感じた不正義や狭量さへの復讐が見て取れる。社会を変化のサイクルに巻き込もうとするのは、反逆者の典型的な渇望だ。若きダナは、トップクラスのボクサーが厳しい対戦相手を避けることを嫌っている。プロモーターが金だけを儲けて選手をたらい回しにすることに怒っている。そしてなにより、一般大衆がビッグマッチを無料放送で見ることが出来ない現状を忌み嫌っている・・・・

ブロック・レスナーといったPPVスターをキープしながら、Spike TV でビッグファイトを放送し1000万人の視聴者に届けるする方法は一つある。ティト・オーティスを呼び戻すことだ。

While everyone else talks Lesnar, Ben Miller is thinking something else (F4W Online)

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MMAは、ニッチ市場を見いだした。UFC100はその頂点を極めた。考え得る最高のカードをホワイトは正しく作り上げた。MMAファンにとってはそうなのだ。しかしMMAファンではない人にとっては、そんなことはどうでもいいことだ。

よくある話だが、あるスポーツが最高の興行を終えると、市場は本来の均衡を取り戻そうとする。UFC100はまちがいなく、デトロイトでハルク・ホーガンがブレイクした、あのレッスルマニア3のMMA版ではあったが、マクマホンがその後、その記録を更新することが出来ないでいるように、今回がおそらく、ホワイトのキャリアの頂点になることだろう。

MMAファンはともかく、その他大勢にとって、このショーは最低限のおもしろさを満たしていない。そしてやがては、このスポーツでも何らかのスキャンダルが持ち上がるだろう。それがこの国のあり方だからだ。カネには、悪や罪が後追いするものなのだ。特にラスベガスでは。それまでの間、もうしばらくはカリフラワーの耳が花を咲かせ続けるだろうが・・・

掛けてもいい。いまのMMAは天井を打った。MMA程度の魅力で、ホワイトがこの記録を更新することは、近い将来には考えられない。彼が作ったビジネスは非常に素晴らしい。しかし、UFC100を見たいと思った人は全員、これを見た。これは山の頂であって、あたらしい基盤が出来たわけではないのだ。

言い換えれば、レスナーが怒らせたのはたぶん、見ていない人たち、見ようとしない人たちなのである。見ていた人ならきっとこう言う。「たしかにアホらしい代物だったが、それでもTシャツくらいは買っておくか」

というわけで、レスナーのお客様への態度にショックを受けて困惑している皆さんは、落ち着きなさい。これでますますファンが増えると思っている皆さんも、落ち着きなさい。もうファンはいるし、これ以上にはならないし、レスナーは次回も、井戸の中で誰かをKOして、批判派を黙らせるだろう。井戸の外では、何も変わりはしない。昔から怒っているし、今でもそうなのだ。

MMA will remain a niche sport, and the niche is full (Ray Ratto, CBSSports.com)

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ロスアンゼルス・タイムスのT.J. Simers 記者は、嫌悪感いっぱいに次のように書いている。「夜が終わる頃には、マットは血で染め上げられていて、ラスベガスの血液銀行を空っぽにしてしまった。レスナーはお金を払っている観客に中指を突き立て、WWE流に、もっとブーイングをするよう呼びかけた。このいわゆる「スポーツ」が、主流として認められるのはまだまだ先のことになるという理由をまた一つ、付け加えていた」

MMAは実際のところ、どれほど大きく成長できるものなのだろう。とくに、このスポーツの見た目の不愉快さに嫌悪感を高めているような層に届きはじめると、そう思ってしまう。

Simers 記者はほとんど60才くらいの男である。「立ち上がって男らしく戦え」といった映画や、表面的に清廉潔白なボクシングを見続けてきた彼が、レスナーを見れば、口あんぐりになってしまうのも解る。MMAファンであれば、血染めの風景も問題なく楽しめるように感化されきっているが、これを胸くその悪いものと見る人もいる。ボクシングは人を殺すが、MMAでは血が流れる。多くの人は後者に多くの嫌悪感を示す。

Simers 記者のような反応がなくなり、文化的な許容度が育ってくるためには、世代交代が起きなければ仕方ないのだろう。ボクシングだってかつては忌み嫌われていたものだが、世代が変わって、いまではトイレットペーパーやら税金やらと同じくらいの日用品になった。われわれであれば、流血だけでは選手にとって致命的ではないとか、MMAの致死率がほぼゼロだと言うことも解った上で見ているのだが、Simers 記者のような人たちは、これらを一つも理解できない。そんなものなのかもしれない。

UFC’s Next Chapter (Sherdog)

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問題は多くの主流派メディアが、ボクシングの黄金時代を見て育った「オールド・スクール」派の記者を使っていることである。そのようなメディアは、ソンをしている。その手の記者に限って、今回がMMAの頂点だったとか、あとは衰退していくだけだと言ったことを書く。問題は、MMAを批判することで、自分たちがいい気分になったり、自分たちの仕事を守ろうという希望的観測にしか見えないと言うことだ。

数字は嘘をつかない。ところがMMAに関しては、数字が無視される。主流派メディアは、このような記者はサッサと交代させるか、MMAについては書かないようにすべきである。いたずらに否定的なだけだからだ。このパイを一切れ分けて欲しいなら、少なくともこのスポーツを気に掛けている記者を雇うべきである。メディアの中には、読者層の世代交代にまるで無頓着なものもあり、困惑させられる。私は一般に、自分が好きなスポーツを、正当な理由無く、ただの無知のためにバッシングしているような新聞は買わないことにしている。

Mainstream Media Missing Out on a Golden Opportunity (BloodyElbow)


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