戦極第九陣【素晴らしい試合はどこへ行く】

戦極の長い長いPPVを見終わった。6時間である。途中で女房にチャンネルを奪われるわ、夕食の買い物くらいしてきてよと怒られるわで、当然に生活に邪魔される。ますます見終わらない。それでも長さを感じさせない好勝負の連続だった。素晴らしい大会だった。

正月の「戦極の乱」以来の突然の充実度を見るに付け、戦極のスケジュールがハッスル型(年2回程度のマニア開催と、そのはざまの小大会)になっていることを痛感する。次の一軍大会は11月ということなのだろう。


日沖 def 金原

まるで全日本時代の天龍が、とうとう鶴田を本気にさせた!、みたいな試合であった。日沖の恐るべき連続攻撃を耐えに耐え、打投極を回転させ、3Rには金原が概ね形勢逆転していたのだから立派。この日のベストファイトだと思うし、年間最優秀試合級だ。試合は日沖が圧倒していたし、判定結果にも納得なのだが、キャラ設定的に言って、瑠飲を下げたかのように見えるのは、しのいだ金原の方だった。

スポンサーからベストファイト賞が出たようだ(一人50万円)。


小見川 def マルロン・サンドロ

狂気の切れ味だったはずのサンドロの打撃を見切った小見川が超僅差の判定勝ち。よくもあれだけの虐殺をくぐりぬけながら、すこしづつ自分の時間をつくっていくものだ。「ラシャド・エバンス vs フォレスト・グリフィン」を彷彿とさせる緊張感のある打撃戦だった。サンドロが段々と困った顔になっていくのがわかりやすかった。判定は異論もあろう。個人的にも、小見川は負けてはいないように思うが、勝ってもいないように思う。

セコンドの吉田秀彦、小見川に「ラスト1分半!なんかしろ!」っていうアドバイスはいかがなものか。その程度でも選手には助けになるのだろうか。何かしろ、ではなく、何をするかが問題ではないのか。

マルロン・サンドロ選手インタビュー

Q:試合の感想は?
この結果については納得していない。誰が見てもこの試合の勝者が本当は誰だったのか、わかるはずだ。この試合の為にしっかり練習してきた。こんな事になるのであれば、日本に来ることは無かった。小見川選手のファンに聞いても、私のファンに聞いてもみんなわかるはずだ。



ダン・ホーンバックル def 郷野

郷野、入場演出はあっさりめ。選手コールの後「郷ノでーす」と言い、衣装をのんびり脱いでいたのは新しい。そんな郷野の前蹴りの蹴り足をつかんでおいて、ホーンバックルのハイキックが炸裂。郷野のクビが場外に飛んで落ちたのではないかと思うほどの威力で郷野は固く冷たく失神。ショッキング。容態が心配である。

勝ったホーンバックルの噛みしめるような喜び方が印象的。郷野から取ったというのは、アメリカでも結構な評価につながる戦績になるだろう。「ユンボ」というニックネームが凄いのかスキだらけなのかよくわからないが、ああいう手足の長い人がバタバタと暴れる様子はやっぱり怖い。

菊田がブログで、郷野は無事だと報告してくれている

ホーンバックルは心ここにあらず

前は「俺がジョン・フィッチを倒してやるぜ」なんていうのは冗談でしかなかったのですが、それが「現実となっていけばいいな」と思っています。



休憩中。放送のゲストに原幹恵ちゃんが登場。いやあ、この子は可愛いわあ。まさかこの子までK保広報に食われているのではあるまいな。彼女はプロレスや格闘技にチョコチョコ出てくる。今日の放送はアナウンサーも解説者もコロコロと入れ替わる。吉田、滝本、川村、高橋義生。戦極名物の迷惑なマイクアピール、前半戦でやったのは光岡だけ。助かる。

休憩あけに、日沖のドクターストップがアナウンスされる。決勝戦が「金原 vs 小見川」になったことを、あたかも待望のビッグニュースであるかのような言い方で発表していたのが、なーんか鼻についた。ジョン・チャンソンがヘトヘトの小見川をあっさりKOしてしまう絵を想像していたので、ああ、金原が戦えて良かったと思う。日沖は不敗のまま家に帰る訳か・・・いや、ドクターストップだからしようがないんだけどさ。

吉田、石井、滝本、泉の五輪メダリスト・カルテットが、柔道トップチームJTTとして紹介される。戦極お得意の4人ひとからげの売り出しであるが、ひとまとめにするにはずいぶん重厚な面々だ。泉は、プロレスのジョバーのような顔立ちだ。石井が吉田を遠回りに挑発。そうそう。そのあと内藤が挨拶。この人もよく出てくるが、いつ見ても何を言っているのか解らない。戦極は事前に挨拶を依頼していないのだろうか。


イワノフ def 藤田

ここから解説に石井慧。もっとも、「素人なので解説ではなくゲストです」とのこと。イワノフ、リングスに登場する未知の強豪のような雰囲気が香ばしい。イワノフの無茶苦茶パンチを藤田が被弾(イワノフは1Rで両手を骨折していたという)。藤田はテイクダウンを取るがその先がない。

藤田は判定に不満があるみたいだが、この人に限ってはそんな小さなことはどうでも良いのだと思う。これといった技術進歩は見られないが、フィジカルで前に出続け、顔がボコボコになっても一応心は折れないという、藤田ブランドの試合だった。出てきて、こんな試合を見せてくれただけで安心する。

僕はスポーツサンボとコンバットサンボの違いをよく分かっていなかったが、ヒョードルがイワノフが戦っているのは打撃ありのコンバットサンボなのだということがわかった。煽り映像でチラッと映っていたが、一見かなりMMAに近くて、ボコボコ殴り合っていた。


三崎 def 中村

髪を短く刈って、日焼けも控えめに、すっかり脂っ気がぬけたような三崎が微妙な表情で入場。腕グルグルはナシ。体つきはいつもよりポヨっとしているのに小さく見えるような気がする。三崎にとっては、何のために戦うのかわからない、酷な試合になった。試合をすることの方が懲罰になりうるのかなと思ったりもする。中村カズは逆に、勝ちを宿命付けられているというか、負けたら自分だけじゃなくミドル級戦線が意味が分からなくなる。ヘンなプレッシャーもあっただろう。

で、そんなセッティングの試合で、体調も良さそうには見えない三崎が、膝蹴りからフロントチョークであっという間に勝つ。ズバリ言って、いくら三崎でも、一線級相手にここまで圧倒したことはないだろうと思われるほどの完勝。そしてミドル級戦線に誰もいなくなった・・・

中村カズは自らのブログで限界かなと語っている。国保広報はカズに眼窩底骨折の疑いがあると語っている

金原 def 小見川

優勝した金原は「試合した感じがしないんですよね。日沖戦からずっとそう言ってたみたいで、夢みたいな感じなんですよね。」といっていたが、見ている側もそんな気分は共有できた。最後は前に出ようとするハートと、思ったほどついてこない意識や身体が分離して見える気がするような、壮絶な消耗戦ではありながら、どこか現実感のない、夢を見ていたような試合にも見えた。年に何回も見れるような試合じゃない。

両者体調を整えて再度の激突を見てみたい。それにしても両者とも、トーナメント前と後とではまるで別人のようだ。

無敗の日沖、僅差惜敗のサンドロにも、コンテンダーの権利は十二分にある。まるで敗者が一人も出なかったようなベスト4のせめぎ合いだった。

栄えある優勝者、金原は当日23時更新の自らのブログで、ちゃっかりTシャツを販売している。


廣田 def 北岡

北岡に捕まれて寝かされても、廣田が必要以上に慌てふためかず、なんだか普通に対応している様子が印象に残った。この大会の日沖と北岡を見て、そうか、寝技というのは掛けた側が疲弊してしまうんだなあということを改めて痛感した。そういう側面がむき出しになった大会だったのではないかと思う。王座戦で5R制だったことも影響した。

廣田は石田戦に続き、ここぞの試合を取ったことになる。次は光岡戦が有力らしいけど、そんな手堅いことを言ってないで、こういう人は勢いのあるうちにどんどん抜擢してあげて欲しい。戦極版の川尻になれる。例えばVTJで何か華のある勝負はできないだろうか。

北岡のコメント

――「もし負けたとしても一からやり直せばいい」と言っていましたが、今の気持ちはどうでしょう

(しばらく考え込み)今はそういう気持ちじゃないですね。むしろ「今までありがとうございました」という気持ちの方が強いです。精一杯かどうか分からないですけど、けっこういっぱいいっぱいでした。



海外でのレビュー記事の一例。こんな感じの記事が多かった。

Sengoku IX: Action-packed but inconclusive (MMA Fighting Stances)

せっかくのダイナミズムにも、WVRの戦極はちゃんとした答えを出すことが出来なかった。

ライト級王者は初防衛戦で敗退。フェザー級トーナメント優勝者が優勝したのはひとえに、数時間前に彼に勝った男が負傷したからで、もうひとりの決勝進出者は準決勝でジャッジからの贈り物を受け取った。ミドル級の王座挑戦者決定戦では王座挑戦者が決定しなかった。勝者が出場停止だからである。UFC帰りのスターはキャンバスに沈んだ。

今日の結果は戦極の選手序列をわかりにくくした。でもこれは、プロモーターが解決すべき問題である。大会自体は期待以上のアクションに溢れていた。


言ってることは解る。同意だ。けど、まあ、ここからの転がしよう次第じゃないかと思う。そう焦るな、アメリカ人。ただし戦極のプロモーションの弱さには同意だ。機会があればもうちょっと具体的に論じる。


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