MMAの「おもしろさ」はプロモーターが決めるべし

DREAMの笹原氏

こういうことを理解できる選手って皆無と言ってもいいんですけど、「足止めて殴り合え」とか、ボクらはそんなこと言わないんですけど、やっぱり一般の方が試合を観て、明日生きてく勇気だとか希望だとか、イベントのタイトルにもなってる夢だとか、そういうのを持ってもらえる試合というのはあると思うんですよね。

まあボク、素人ですからね(笑)。でも観てる人はほとんどの人が素人で、競技したことない人ばかりじゃないですか。野球にたとえると長嶋茂雄だイチローだというのは、その素人すら納得させたり感動させたりする実力もあるわけで、そういう人は「野球やったことねえだろ」とか、当然言わないわけじゃないですか。格闘技は野球とは違うんで一概に言えないんですけど、格闘技を知らない人すら振り向くというか、立ち止まってしまうようなことをしてほしいと思ってます。



UFCダナ・ホワイト

とどのつまりは、オレ様は格闘のファンなんだよ。大ファンだ。だからオレのやり方はこうだ。勝った負けたじゃない。どう戦ったかが問題だ。MMAの素晴らしいところは、負けても選手の幻想は消えないと言うことだ。だって、人を見たいんだから、ファンはやってくる。われわれはそこにマネーを払う。

金網に上がっておいてファイトを避けるような選手は必要ない。素晴らしい試合をする選手には毎日でも金を払ってやる。たとえ負けたって、いい戦い方をすれば、契約書以上の金を払ってやる。



「理念で世間を語る笹原氏」「オレ様基準で金の話をするダナ」という違いはあるが、まあ、似たようなことは言ってるんだろう。ただ、オレ様を喜ばせろ、という方が、世間を喜ばせろ、というより、本来のプロモーターだという気がする。するとUFCの選手は、ボスの顔色だけを見ていれば良くて、団体を背負う必要などなくなるわけである。

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レスリング・オブザーバ最新号によると、アメリカ、マサチューセッツ州でMMAが解禁される法案が通ったとのことだ。この州の特徴的な点として、実際に解禁するかどうかを、市などの小さな行政区分の判断に任せていると言うことがある。UFCでは来夏にボストン大会を実施したい意向。ダナ・ホワイトはボストン生まれだったと思う。

そのボストンの有力誌 Boston Globe がとんでもない社説を掲載した。抄訳する。

Strat Quoting
こんなに危険の高い、テレビ放送付きのドッグファイトを州内で許すためには何が必要だろうか。

そんな疑問すら不愉快ではあるが、ニューヨーク州のカトリック会議流にいえば「ヒューマン・ドッグファイティング」、俗に言うMMAのプロモーターは、明確な進出計画を描いているようだ。マサチューセッツ州とニューヨーク州の当局はMMA解禁に近づいている。相手の背後に馬乗りになって首を絞めたり足蹴りを出したりしたたかに殴ったりすることが普通であるだけでなく、むしろ興行のエッセンスであるという、血塗られたイベントに反対するモラルすらうち捨てた他の40州の仲間入りをしようとしているのだ。

たかだか10年前には、ほとんどの州で禁じられ、テレビ放送も許可されず、スポンサーもつかない、目にも見えなかったようなこの「スポーツ」はこの夏、過去最大のイベントを行った。ラスベガスでの王座戦で、510万ドルの入場料収入を上げ、数百万ドルのペイテレビの売上げを得たという。

ジョン・マケイン上院議員がこういった試合を「野蛮」だと評してから10年も経っていない。彼は50州の知事に、「MMAはスポーツではない」と手紙を書き、全面的な禁止を訴えた。こんな短期間で、この野蛮な活動が迷惑なまでにメインストリームになってきたのは一体何が変わったからなのだろうか。

サポーターは、ルール整備をあげたりする。でも数週間前のUFCラスベガス大会で、LAタイムスの記者は書いている。「血があふれ出ている。UFC100の観衆には単なる美しい景色なのだろう。マンダレイ・ベイの観客は、さらなる流血をもとめて叫んでいる」。別の記者は「最後の勝者は敵をキャンバスに沈めながら、少なくとも17発も、反応のない相手を殴りつけた」と書いている。

・・・新聞や雑誌は、この現象を無視するか、報道を通じて正当化をすすめるかの二派に別れている。スポーツ・イラストレイティッドはこれを「皮肉なことにボクシングの倫理的代替物」と呼んでいる。「強いパンチを受けるボクサーは脳に障害が残り亡くなってしまうこともある。MMAは一見もっと野蛮だが、打撃・寝技など多様な攻撃があるため結果的に致命的なダメージは少なくなっている」

ニューヨークタイムスは最近、MMAをメインストリーム・スポーツだと宣言した。しかしその理由は全く奇妙なもので、MMA選手は美容整形手術で顔の骨や繊維をプラスティックに交換することで、流血を少なくしようとしているから、などと述べている。

スポーツライターの LJ Wertheim はその著書 Blood in the Cage の中で、「MMAは、保護されすぎた社会の設計者たちに対して、きついジャブを見舞っている。これは現代のヘミングウエイのためのスポーツだ」と述べている。

そんな考え方には限界がある。ドッグファイティングが合法化されテレビ放映されれば、まちがいなく一定の規模の観客が集まる。リングサイド席は高騰し、ビデオゲームは売れ、ビール会社はスポンサーを出す。立法家もメディアも実業家も、こんなことを大目に見てはいけない。なぜ人が喜んでヒューマン・ドッグファイティングを見るのかは、「保護されすぎた社会」として考えなければならない問題である。

The disturbing appeal of ‘human dogfighting’(Boston Globe)

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Kamipro 137号、椎名基樹のサムライ三昧なる連載記事より。

競技化云々が論じられるMMAだが、判定基準を論じ明確にすることが、それにおいて最も重要なことだと確信する。ハルクトーナメントの是非を論じることではないのだ。各団体が協議し、統一の判定基準を確認できたら、MMAの発展に大いに貢献するだろう。またそれぐらいできないでどうするとも思うのだ。


この筆者はDEEP42福田vs中西戦の不可解判定を契機にこんな論を立てている。DEEPの判定基準は、(1)ダメージ、(2)ギブアップにつながるアドバンテージ、(3)積極性、(4)印象点、の順で3ラウンドを総合的に評価するというが、筆者は、「印象点」とはなんたることか、主観的にすぎるではないかと批判する。

僕は判定とか評価というのは、およそ主観的なものだと思う。客観的にやりたければ、アメリカのデータ会社に頼んで、パンチの数でも数えるしかない。

椎名氏が引き合いに出す修斗の判定基準(1)クリーン・エフェクティブ・オフェンス、(2)アグレッシブネス、(3)リング・ジェネラルシップ、だって、一見かっこよさげだが、これだって結局主観だろう。クリーン・エフェクティブ・オフェンスなんてことを客観的に説明できるのか。

判定は主観である。ジャッジはこの競技の専門家で、優劣の正確な判断が出来る人だから仕事を任されているのだろう。そういう人の主観だから信用できるのである。ただ問題があるとすれば、その主観がちっとも説明されないところにある。個人的には、ジャッジはもっと顔を出して、MMA判定論を大いに語って欲しいと思う。もちろん、チャンと説明できない人は淘汰されることになる。「今日のジャッジは●●さんだから、グラウンドを相当高く評価するよね」という試合の見方ができるとすれば、ゲームをかなり正確に楽しめることになるだろう。野球だって、今日の審判は外角に厳しいですね、とかあるではないか。そこを「印象点」という安易な言葉で誤魔化すのはたしかに感心しないし、権威主義的すぎる。いや、ジャッジに権威があるのは良いが、外の声と触れていないと、そのうち腐ってくる。

そして主観である以上、統一基準などありえもしない。ジャッジ個人の見識が入ってもいい。プロモーターの考えも入る。商業的な面も考える。そもそもケージフォースやZSTといった、ルールが明らかに違う団体もあるわけで、ルールが違えば当然に判定基準も変わってくる。女子格はどうなる?統一基準でやるのか?

「判定基準を統一したらMMAが発展する」という言明は、筆者はずいぶん確信して言い切っているようだが、そんなことはいったいどうすれば納得できるだろう。そんな事例やロジックがどこにあるのか。

とはいえ、どうしてこと「福田力」の試合になると、判定がいつもややこしいのかな、というところは確かに不可解な気はする。


この号のKamiproのプロレス特集は、読み応えと勇気のある内容だった。プロレス特集というといたずらに回顧に流れる傾向も強いが、今号は現代性をちゃんと維持していたと思う。しかし、プロレス論もなんだか行き着いたなあという感も持った。どれを読んでも論旨がなんだか似てしまっているのだ。それにしてもこの時期の専門誌で、秋山と魔裟斗の肉声を伝えないというのも、まあ変わったスタンスだなあとは思う。昔はKamiproの変わったスタンスを愛したが、今となっては単に変わっているなあと・・・

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DREAMとストライクフォースが「エクスクルーシブ」な人材交流を進めると言うことは、具体的にはどうなるのだろう。たとえば、この二団体プラス・ベラトールと非独占契約していて、いまはベラトールのチャンピオン条項につかまっているエディ・アルバレスはどうなるのだろう。あるいは、女子選手はどうなるのだろう。ストライクフォースには日本人女子選手に出る幕があると思うが。ジェイソン・ハイとかジョー・ウォーレンといった、ストライクフォースと契約していない北米の選手の今後は?


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