レフリング問題に関する一考察


先月号の各格闘技雑誌では、角田のレフリングや、桜庭戦のレフリングに関する検証記事が相次いだ。そういうものを読んだ感想をメモ書きしていたものを、やっと文章にまとめられたので、遅ればせながら掲載したい。

格通 谷川氏

レフリングやジャッジングには、一つの競技としてのマニュアルは当然あるんですけれど、実体験をして検証しながら、判例をつくって様相が変わっていくものだと思うので・・・世論を全く無視することは出来ないと思うんです。


ルールを時代や世論に合わせてデザインしなおしていくという発想には賛成。世論も10年前と比べれば、エデュケイトされているだろうし、スポーツライクなものを求めているだろう。

ただ、ネットで「角田謝れ」とか怒っている人を世論だと考えているなら危ういと思う。こう主張すると苦情が来たりするのだが、そういう人の数って、たぶん1万人とか10万人のオーダーだろうと思う(一般にコメントの炎上って、数千件単位のことを言うと思うので、その10倍から100倍の数値を取ってみた)。しかしK-1は1000万人以上が見ている番組なのである。人数と声の大きさとを勘違いしてはいけない。そもそも角田だ武田だという議論自体がマイナーである。そしてプロレスでもシュマークの声は基本、放置プレイするものである。

マイノリティが重要な問題提起をすることなどない、と言いたいわけではない。僕だってマイノリティの一員だ。

そういえば、角田「選手」自身の引退試合は、ラスベガスで行われ、相手は当時全盛の武蔵だったと思う。こんなもん、「武田 vs クラウス」どころではない、実力差も体格差もひどいマッチメークである。よくネバダのコミッションが許可したものだ。ひょとしたらエキジビジョン扱いだったかもしれない。試合の方は、細かな記憶が定かではないのだけれど、とにかく角田は当然のように激しく打たれ、何度も倒れながらも立ち上がって粘りに粘り、浪花節的な男の生き様的なものをを見せて散ったはずである。試合後にはふらふらの身体に鞭を打って、英語で引退演説をやってのけていた。あのときには、少々クサイが泣けるよなという印象を残したのだったと思う。もちろんバッシングなんて無かった。もっとも、あんな人生劇場を、ラスベガスの客がどう思ったのかという問題は残る(笑)

角田はたぶん、武田戦のレフリングについても、自分の時のノウハウで、武田の凄みや生き様的なものををファンにしっかり伝えようとしていたのではないだろうか。そういうつもりでやったなら、たしかにあんなレフリングは角田にしかできない仕事だった。これがUFCのスティーブ・マザガッティだったら、中途半端に武田の1.5回目くらいのスリップダウンで早々にストップをかけてしまい、誰の記憶にも残らない、何のためにやったのだろうという、一方的な悲しい凡戦になっただけのことだろう。角田はもう100%、よかれとおもってやったのだ。自分の脳内では武田劇場に桜吹雪が舞い散っているのである。視聴者に感動の嵐を振りまいた積もりが、その後バッシングされたものだから、それは青天の霹靂だったのだろうし、怒りにまかせてブログで捨て台詞を吐いたりするのだろう。

例の「8対9」問題も、その場でルールを書き換えたと非難されてはいるが、これも昔のプロレスなら、その場で時間無制限の再試合が設定されたり、いきなりノーロープ・手錠マッチが始まったり、タイトルマッチだけ突如レフリーが毅然として悪役から凶器を取りあげたりすると、お客は「得をした!」と思って喜び、レフリーのナイス判断に感謝したものである。長州の「よおし、ドーム抑えろ!」的な発想だ。きっと角田も,土壇場でお得感を乗っけてくるようなファンサービスをやったのだというくらいの認識なのだろう。

どうもその昭和で浪花節なサービス精神が、平成のデルフィンたちにはまるっきり通用しないようなので、加減按配の調整が必要なのだろう。あくまで按配なのであって、今後ストップを早くするといった極端な結論は、気持ちは分かるが違うと思う。そんなことをしても、シュマークが納得するだけだし、それが済めばシュマークたちはどうせ別の問題を探し出すだけのことだ。


●ちなみに個人的な角田のレフリングへの賛否は、喜んでいるわけではないがアクセプタブル、というところだ。あの試合はそんなことより、もっともっと武田に焦点を当てるべきだと思う。「桜庭 vs 弁慶」はレフリーのグッドジョブだったと思ってる。一見危険な状態に見えたところ、まだ戦闘可能だと良く見抜いたものだと思う。桜庭はいつもああなるので、ならないように工夫して欲しい。

●この件についてのゴング格闘技の座談会って、延々と「ルール通りにやりなさい」と言っているだけのことで、もはや読まなくても解るような内容だ。議論のストライクゾーンが狭すぎる。格闘技に限らず、どんな仕事でもものごとでも、グレーゾーンはあるのであって、そのことが見えていないように思える。これではやっぱり世の中解ってないんじゃないかという感想しか持てない。

●Kamiproにあった島田のインタビューにあるリアリズムの説得力は侮りがたい。僕は今月の格闘技雑誌の中で、島田インタビューに最も気持ちよく騙された気分になった。これを良しとしたくない気持ちも残るが、かといってルール厳格派の人が、ちゃんとロジカルに、土俵を変えずに応じていくことは相当に難しい。

●レフリーとかジャッジということについては、他分野で実践している人や研究している人がもっといろいろいると思う。要は「評価」の問題、評価者と被評価者との間の期待値の問題なのだ。会社での人事評価だって実は同じ問題をはらむ。社内のルール通りに仕事をしてればそれでよしとするのか、時には仕事のためなら・お客のためなら例外を作ってもいいのか。各雑誌にはもっと視野を広げて取材してもらいたい。

●選手によって・試合の文脈によって、レフリングやジャッジングが変わる、という考え方については、僕は「本当にそこまでレフリーが見えているなら」、それがベストだと思う。「こいつならこのパウンドの嵐を安全に切り抜けられる」という見通しが正確につくなら、その防御技術も楽しめるし、切り抜けた先を是非見たいではないか。ただ「本当にそこまでレフリーに見えているなら」という前提はものすごいもので、一種の理想郷というか、けして到達しない目標だと思う。例えば選手一人一人の現時点でのスキルレベルやコンディションや耐性を把握するなんてことは、極端に言えば普段から練習や生活を共にしていないと解らないだろう。だから現実的な対処としては、便宜的に、そのような融通の利いたレフリングを常とすることには反対したい。逆に言えば、ケース・バイ・ケースで、そういうことがあっても良いのではないかと思う。ただ、それをするなら、試合ごとにルールを変えてしまえば、その方が見る側にはわかりやすい。

【格闘技 裏通信】K-1戦士・武田幸三「涙の引退」の過酷な舞台裏 (ZAK ZAK)

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