青木が魔王化【Dynamite レビュー】

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

TBS地上波でDynamite!を観戦した。なんと言っても青木に尽きる。石井も魔裟斗も見終わって、やれやれ疲れたな、泣いても笑っても焦ってもどうせもうすぐ年越しだなというあきらめにも似た時間帯に、CMで切り刻まれたわずか2分ほどの間隙に、とんでもない人でなし行為でお茶の間に毒を振りまいた。対抗戦の大将戦、しかも4勝4敗の後の決着戦の重要性を良く踏まえたアグレッシブさだったし、アメリカの変態マニアがヨダレを垂らすようなクリエイティブな攻撃でもあった。人の肩がかっくんと外れる瞬間をあんなに明瞭に見たのは初めてだ。

もちろん、小川直也ばりの飛行機ポーズ、立てない廣田へのFUポーズは物議を醸すだろう。戦極ファン、廣田ファンなら暴動を起こしたくなるだろうし、アメリカの変態マニアもきっと怒りだすと思う。ネットで非難囂々となるのも良い。ただしスポンサーに苦情を送るとか、そう言うことはどうかしないでほしい。リング上のことはリング上で解決してもらうのがファンにとっては一番。廣田の選手生命とか生活とか、ちょっと心配ではある。

ここまでワルをやるなら、これからもその線でうまく転がして欲しい。それにしても何でこんなにワルをやっちゃたんだろう。いつかバチがあたりはせんかとか、心配にならんのかな。

川尻の試合はカットされてしまった。ふむ。そう言えばムサシの試合も。「川尻 vs 魔裟斗」のリプレイはノーカットで流れていたけれど。


吉田秀彦 def 石井慧

入場する石井の表情は、いつものふてぶてしいものとはかけ離れた、不安げなものだった。1Rは打撃も腰が引け、省エネ戦法の吉田に冷徹に見下ろされていた。

よく1Rで負けなかったものだと思う。そしてそのあと時間が経つにつれて、石井の動きは良くなっていった。終了間際の打撃のラッシュではヒョードル並みの糸を引くナックルアローのようなフォルムも見られた。パスガードもレスナーのUFCデビュー戦っぽくもあった。スタミナの問題はまるでないようだった。今日の石井はあまり勝てそうにもなかったが、なかなか負けそうにないようにも見えた。たしかに非凡である。

ただ、石井への期待感はこんなものではなかったことも事実だ。だからもう少し緩い相手から始めるべきだったと論じる人もいるかもしれない。結果論としてはその方が良かったと僕も思う。でも石井ならこれ位のハードルは軽々と越えてくれるものだと思っていた。負けたら負けたで、再戦が楽しみになるとも思ったが、なぜかそのような後味も余り感じなかった。おそらく、全力でぶつかって吉田に跳ね返されたと言うより、石井自身のポテンシャルが発揮できなかっただけだからだろう。

亀田興毅の一生懸命なコメントにはなんだか胸が詰まった。いい子だ。


金原正徳 def 山本KID

通常のDREAM風の、試合全体を通した印象点なら金原の勝ちですんなり同意できるのだが、今回の対抗戦はラウンド毎の採点とされていたはずである。2Rは明らかに金原、3Rは明らかにKIDが取った。1Rの解釈が難儀だ。どちらとも取れる。だからユナニマス・デシジョンとなったのにはちょっと驚いた。UFCでよくある議論はこの手の話だ。

不思議なもので、負けが込みだした途端、入場時のKIDの表情を見ただけで、失神が内蔵されているように見えてしまう。見る側が咀嚼しきれない色気があるような無いような。KIDは、ジョー・ウォーレン戦で見せたムエタイをミックスさせたスタイルを引っ込めて、昔のKIDスタイルで戦った。スリリングで面白い。しかしいかんせん、以前なら飛び込んでパンチを先に当てていたのに、今はあたらないし、逆にカウンターを食らってしまう。谷川さんは「野性味」と表現しているが、反射のスピードが、以前と同じKIDではないことを示していたように思う。やっぱり新しいスタイルの開拓が必要なのではないかと感じさせる。ムエタイを応用したスタイルは、ランバーなどの成功例が出てくると、可能性を感じてしまう。

KIDはフェザー級の中の一選手としては、いまでもとてもコンペティティブな選手だと思う。でも以前のスターパワーは影を潜めた。ウォーレン戦は試合勘で、K-1での敗戦は出会い頭で、との言い訳も棄てきれなかったが、今回の試合を見るとそう思った。勝ったり負けたりしながら、まだまだ第一線で出来るとは思うが、神の子ではないKIDに需要があるのか、本人がその立場を甘受するか否かは解らない。


メルビン・マヌーフ def 三崎和雄

待ってくれ!三崎は一回倒れてからが強いんだよう!でも今日は全体にストップが早かった。その点では一貫性のあるレフリングだった。もったいない。

三崎は裁定に正式に抗議の申し入れをしたらしい。


小見川道大 def 高谷裕之

あっさりした決着の付き方だけではなく、なんだか試合全体のオーラが小見川のものだった。こんなに差があるとは思わなかった。


泉浩 def 柴田勝頼

負けちゃあ仕方ないんだが、なんだか柴田に妙な貫禄やら、ずるがしこさのようなものが垣間見えるようになってきた。まるで仕事人の中堅プロレスラーのような佇まいもある。打撃のコンビネーションには目を見張るものもあった。今回は泉の方が一階級上だということは差し引いてあげたい。テレビでは1Rと3Rだけが放送された。ラウンド毎に採点する方式だと、途中のラウンドをカットされると、採点の妥当性がさっぱり解らなくて困る。


魔裟斗 def アンディ・サワー

ちゃんと勝って絞めるところはあっぱれとしか言いようがないが、どこかもうひとつ、大大爆発とは行かなかった。引退戦の割には勝ちへのこだわりが強いような戦いぶりに見えた。最終ラウンドは珍しく、魔裟斗の方からクリンチにいく姿が目立ったが、試合後コメントを見ると頭を打たれて効いてしまっていたようだ。それにしても、これを石井と吉田の試合の後に見せられると、本当に美しい試合である。美しければいいというわけでもないけれど。


DREAM公式サイトから、選手の試合後コメントの印象的な部分を抜粋。
藤田と廣田の容態が気になる。

桜井“マッハ”速人

いつもなんか、知人に負けてしまう。その原因を突き止めたいですね(笑)。わかんないですね、俺も。


金原正徳

金原 終わったから言えるんですけど、KID選手のファンだったんですよ。昔どっかのクラブで会ったときに、「握手してください!」ってミーハーなことを言ったんで。


吉田秀彦

次の試合が決まれば、最後になるんじゃないかと思います。


青木真也

――フィニッシュの形についてなんですが、何か技の名前というのは?
青木 技の名前はですねえ。なんだろうねえ。「笹原圭一2010」です(笑)。
――その心は?
青木 いやいや、笹原さんが「刺しに行け」と言って、しっかり刺してきたので「笹原圭一2010」です。


魔裟斗

――あらためて、なぜ引退してしまうのでしょう?
魔裟斗 だってこれ以上、バカになりたくない。頭が痛いもん。もう殴り合いは嫌です。もう二度としません。


笹原圭一

――3月にDREAMをやると発表されていましたけど。
笹原 一発目が3月、ほぼ決まっているのがそれぐらいで、たぶん続けて4月というイメージで考えています。今年と同じように2010年も年6回プラス大晦日。7大会をやれればと思います、その中には海外も視野に入っています。


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