MMA文学の方法論 / あのセス・ペトルゼリDREAM登場か?


ストライクフォース5月15日Showtime中継大会は、次のようにヘビー級選手のオンパレードとなることが見込まれており、米MMAサイトの中には、PRIDEが戻ってきたみたいだな、と評するむきも多い。

エミリャーエンコ・ヒョードル vs ファブリシオ・ヴェウドゥム
アリスター・オーフレイム vs ブレット・ロジャーズ
アンドレイ・アルロフスキー vs アントニオ・シウバ



そんな懐古趣味に BloodyElbow が、(わりに真っ当と思われる)冷や水をぶっかけている。

そういう懐古趣味は、話の本質を見落としていると思う。今では成功へのバーはもっと高くなっているのだ。それって十分に明らかなことだと思うのだが、まだ理解していない人もいる。PRIDEにはノスタルジーがあって、われわれの心の中の少年ファンが沸き立ってしまうものだが、それって、リアルな女性が隣りにいるという社交的な喜びを捨て去って、自分のベッドをデス・スターの形に作り替えてしまう40歳のスター・ウォーズ・マニアと大差ない。

リアルなストーリーはUFC110にあった。これが未来なんだ。ノゲイラ、ヴァンダレイ、ミルコと言った古い偶像が苦闘する様子をいっぺんに見てしまうと、そのことは明らかだった。

PRIDEに感謝しないとはいっていない。すばらしい団体だった。桜庭時代が懐かしい。でもPRIDEをロマンティックに語る必要性も感じない。プロの中にも素人の中にも、PRIDEこそが最高だったと思う人がいるという感覚を受けることがある。ボクシングのアリ時代と同じことなんだろう。結構アホらしい。

MMAがどんどん良くなる一方だというつもりもないし、いろんな問題はたしかにある。でも、好むと好まざるとに関わらず、MMAの黄金時代なるものがあるとすれば、過去よりも今のほうがうんと近いんじゃないかと思う。




なお、「アリスター・オーフレイム vs ブレット・ロジャーズ」は、ヘビー級のチャンピオンシップ戦になる見通し。これ、あんまりいいアイデアではないかも・・・ヒョードルに負けたばかりのロジャーズがもし勝ったら、ヒョードルがロジャーズに挑戦することになってしまう・・・あるいは、ヒョードルはもう、ストライクフォースには戻ってこないのか・・・

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ハーシェル・ウォーカーはストライクフォース4月大会のメインカード(地上波放映)に登場しない見込み。同大会ではすでに3試合、5Rのチャンピオンシップ戦が予定されており、2時間の放送時間枠が足りなくなる可能性があるため。

これがTBSなら、選手権戦をカットしてでも、番組をハーシェル的な人ででスタートさせ、できるだけたっぷりと放送するのが常套手段であるわけで、CBSというのは欲がないというのか、MMAをちゃんとスポーツだとみなしてくれているというのか、ベルトの権威を認めてくれているというのか、なんだかずいぶんと爽やかな意思決定である。知名度抜群のハーシェルを切って、日本ですらロクに放送されない青木を起用、メインイベントだってキンボやジナがでるわけでもない。他人事ながら心配である。ストライクフォース、これでほんとに大丈夫なのか?

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DREAM.13ジョシュ・バーネットの対戦相手として、あのセス・ペトルゼリが検討されていることが、ジョシュのTwitterで明らかになった。セスはエリートXC最後の大会でキンボ・スライスをKOし、試合後に「グラウンド攻撃をするなといわれた」などと暴露した俗に言う「スタンドゲート」の張本人である。記憶が間違っていたら申し訳ないが、セスはHEROESにいきなり「誰?」という感じで登場し、まだ多少は元気だったボブ・サップをあっさり倒したこともあったと思う。その天賦のKYぶりが何を引き起こしてくれるか、期待したい。

「刺しに行く」DREAM背負って青木真也、ストライクフォース参戦(Kamipro)

DREAM5月大会にストライクフォース王者ニック・ディアスが参戦へ(スポーツナビ)

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まもなく放送開始のTUF11でコーチを勤め、放送終了後には直接対決が予定されている「チャック・リデル vs ティト・オーティス」の間で舌戦が始まっている。きっかけはチャックのトレイナーが掲載したチャックの写真で、確かにものすごく腹が出ているように見える。これをティトとジェナ・ジェームソン夫人がTwitterでからかった。これに対してダナ・ホワイトが、チャックはびしっと練習しているぞと反論しペチャンコの腹をしたチャックの写真を公開。その後下品ないい争いが続く・・・

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先だって奥さんのジャッキーが家庭内暴力で逮捕されたリック・フレアが、またもや奥さんと殴り合いを演じたとのことだ。奥さんの連れ子が110番通報している音声をここで聞くことができる。二人が酔っ払って殴り合っていると警察に訴えている。フレアは額から流血したそうだ。

フレアとジャッキーは昨年の11月に結婚、フレアにとって4人目の妻である。これってネタ?

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【★その他★】 前田日明氏の民主党公認に異変? < Gryphon(総合格闘技ニュースブログ NHBnews PRO)
このニュース、もちろん初耳だしびっくりしたんだけど、一方でああ、なんだかやっぱりこうなったかという気もする。だいたい前田は事が始まる前から別れの予感がある人なのだ。関係ないが、池谷銀牙が民主党公認候補になるらしい。

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Sherdog にあった Sam Sheridan という作家の新作への書評。単なるCMである可能性もあるが、書評文として優れていると思ったので抄訳しておく。

 ボクシングは暴力的なまでに単細胞な作業かもしれないが、そこには文学に通ずるロマンチシズムや優美さも存在している。ヘミングウエイ、ノーマン・ミラー、ジョイス・キャロル・オーツといった文学賞受賞者たちが、相当な技を割いて、このブルーカラーなスポーツの分析にせいを出してきた。そこには抗しきれないものがあるのだ。ボクシングは人生における戦いのメタファになるのである。作者にとっては蜜の味だ。

ところが同じことはMMAについては言えない。これは変な話である。マーク・ローは柔道へのラブレターともいえる「Falling Hard」で次のように書いている。「人生のリハーサルとして、グラップリングは間違いなくボクシングより優れている。だってわれわれは、いろいろな問題にからまったり、汗をかいたり、しかめっ面をさせられる事の方が、リングでKOするよりはうんと多いからである。それにしては、ミックスト・ファイトの文章は、ド派手にゴーストライトされた自伝やら、学術研究史ばかりが目立つ。優れたボクシング文学は、ガッツの中にひそむナイフのように共感を呼ぶ。しかしチャック・リデル的なMMA文学は、ホテルの部屋にある使い古されたコンドームのシャンデリアを詩的に引き伸ばしているようなものだ。こんな言い方があなたを憂鬱にするといいのだが」

サム・シェリダンはヘミングウェイとは程遠い作家だが、いま、この複雑で多層なMMAという作業の薄皮をはぐことに没頭し、MMA文学のバーをあげようとしているところだ。近著「A Fighter's Mind」は、旧作「A Fighter's Heart」の姉妹作である。後者がもっぱら身体的な挑戦の検証であるのに対し、Mind の方は脅威に臨した時の脳の働きについて分析を試みている。敗戦が選手の心理に作用するのは当然だが、いったいどのように、そしてなぜ、作用するのだろうか。エゴが自分の内なる敵となる時とは?そして、すべてを知り尽くしたような選手が、それでもオープンマインドを保てる秘訣とは?

シェリダンはそんな質問を格闘家に尋ねるだけでは満足しない。チェスの名人、レスリングのコーチ、マラソンランナーらにも話を聞いている。叡智が交わっていく様子は驚くべきものとなっている。

戦いはアニメーションのセル画のようだ。アクリルのレイヤーが一枚一枚、重なり合っている。あなたの方法論は対戦相手のスキルに、目の動きに、成熟度に依存する。そして対戦相手も同じように、あなたのことを読み取っている。試合で行われていること、その境目にある情報は、ほとんど圧倒的だ。そんな要素を開陳し、一つ一つを評価するシェリダンの才能は、彼の作品の美点である。

MMAに確実な方程式などないし、このスポーツを芸術の域に高める方法論も存在しない。でもシェリダンは、ふさわしい質問によって、われわれをそんな地に導こうとしてくれている。もしあなたが、競技者自身ですら完全には理解していないくらいに、このスポーツをよく理解したいと思うのであれば、彼の作品は必読文献である。



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