ニュー・ミルコとクラシック・リデル【UFC115レビュー】

UFC115をWOWOWで観戦した。

ミルコ・クロコップ def パット・バリー

ミルコ・クロコップは変わったよなあと思う。まだまだぎこちないけれど、いろんな攻撃方法を試すようになった。試合中に笑顔を見せるようになった。フルラウンド動き続けることが出来るコンディションもちゃんと整えてあった。試合前からジョークを言うようにもなっていたが、試合後インタビューでも、「もうひとつ。ミスター・ダナ、サブミッションボーナスをくれ。非課税でな」などと軽快だった。戦前の掛け率で言えばミルコがアンダードッグだったのである。まるで石井慧をいなしてかわす吉田秀彦のように、打撃勝負を挑みかかる若手をベテランの味で少しづつ封じて、最後にうっちゃって見せた。これでミルコが快進撃を再開するとは思わないけれど、UFCでは11月にドイツ大会にミルコを使いたいとの強い意向を持っているとのことだし、マッチメイク次第ではもうしばらく、UFCのミルコを見続けることが出来そうだ。

試合自体はプロレス風味だった。ヤオだと指摘できる証拠もないが、どこまでガチだったのかは測りかねる。パット・バリーは戦前の褒め殺しはどこ吹く風で、1R早々から失礼なまでにミルコを攻め立てた。ミルコは2度もストンと尻餅をついてダウンしているのに、バリーは追撃をしなかった。解説のTKは、バリーはスタンドで決着を付ける気なのだろうと語っていた。そうなのかもしれない。別の可能性としては、バリーがミルコのグラウンドを恐れていたのかもしれない。ミルコのグラウンドを恐れる人も珍しいが、こればかりは相対的スキルの問題だから、あり得る話である。あるいは、バリーがレジェンドとの対決をもう少し味わい続けたい等と考えて、敢えて塩を送ったのかもしれない。ないしは、左ハイに耐えきった後で倒してやるという、プロレス的展開を夢見ていたのかもしれない。

結果的にミルコが勝つには勝ったが、本気でやればバリーが勝ったのではないかというような不思議な印象も残した。バリーはまるで、「猪木にとどめを刺さない藤波や長州」にも見えた。最後のチョークに苦しむバリーの表情も、本人には悪いけど、何だかちょっと、ほんまかいなと吹き出してしまいそうになった。もちろん、どれもこれも、ガチもガチ、ミルコがホントに強かったとの可能性もあるのであって、ただ、幅を持って楽しめましたねというだけの話。ミルコは Submission of the Night ボーナスを獲得

リッチ・フランクリン def チャック・リデル

アグレッシブでスカッとしていて男臭い、クラシックなリデルと、40歳という哀しい現実から逃げられない,うたれ弱いリデル。二つの顔を存分に表現したコクのある試合だった。これで引退するのだとしたら、多くのファンの後ろ髪を引っ張るようなパフォーマンスだったと思う。個人的にもリデルにはそんなに思い入れはないけれど、やっぱりこういう試合を見せられると、嫌いになることは難しい。老獪なポイントゲームに逃げないところなど、頭が下がる。

誇りを持って便利屋稼業を自認するリッチ・フランクリンもクールだった。自分の階級すら定まらないフランクリンだが、タイトルに全く絡むことなしに、これで実に4戦連続でメインイベントを飾っているのである。そりゃあPPVを100万件売るわけではないが、実に座りのいい人で、特にけが人が出たときの、UFCの代打の切り札である。今日の試合も、骨折しながら、パンチも食らいながら、ずっと冷静さを失わずきっちりと仕事を勤め上げ、リデルの現実を映し出して介錯してくれた。試合後に「これからどうしますか」と聞かれると、やっぱり「ダナに聞いてくれ」と答えていた。じゃあこれでショーグンに挑戦するかというと、そうではないのだろうと思う。


あと、つくづくおもったのが、「アイブル vs ロスウエル」とか、「コンジット vs マクドナルド」とか、マッチメークがホントにうまいということだ。実力伯仲してるし、スタイル的にもかみ合いまくって、シーソーゲームになっていた。別の相手と戦えば、もっと退屈な試合をしてしまう可能性もあルのだろうと思うのだが、マッチメークの妙で、テレビの前のひとときを十分楽しませてくれていた。

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試合後記者会見でのダナ・ホワイト

今夜のチャックのゲームプランはみんなご存じの通り、何のヒミツもない。いつも通りのアグレッシブな試合だった。40になって、ゲームプランを変えようとするヤツもいないよな。

チャックは引退すべきだ。彼もそう思ってくれているだろう。

ヤツはまるでチャック・リデルだった。爆弾を落とし、リッチに戦争を仕掛けた。いい試合をファンにプレゼントしてくれた。われわれは、いつか(このビジネスが)こんな風になるといいねと夢を見ていた。で、いまその夢の世界を生きている。自分は全然哀しくなんかないよ。われわれはやったんだ。リデルといっしょにね。そして、これからもずっと一緒だ。



同じく、リッチ・フランクリン

ほろ苦い勝利だよ。チャックとは友達だからね・・・自分は、チャックを引退させた男にはなりたくないな。

何発かいいのをもらったよ。チャックの真ん前に立ってる自分がアホだった。でも、彼はちょっと疲れているように見えた。それで、疲れさせてやろうと思った。彼は、空振りのパンチにすごいエネルギーを込めていた。

いいパンチはもらったんだが、自分はステップバックしていたし、「別に脳は揺れてないけど、このままじゃいけないな」とか思ってた。彼は、もっと効いてると思ったんだろう。そう言うときには彼は大振りをしてくる。そこを捕まえたんだ。



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ブライアン・ダニエルソンがWWEを解雇された模様。レスリング・オブザーバ。ダニエル・ブライアン(WWEでのリングネーム)は月曜日のRAWで、ジャスティン・ロバーツの首をネクタイで締め上げるスキットを演じたが、これにたいして外部の何者かからの圧力がビンス・マクマホンにかかったということらしい。ダニエル・ブライアンから,本来のリングネーム、ブライアン・ダニエルソンに戻すというストーリーが進行中だったことから、この解雇がアングルなのかどうか、ややこしいことになっているが、オブザーバがWWE社内情報源に取材した結果、嘘にしては規模が大きすぎると判断している。契約により、ダニエルソンはWWE解雇後も90日間は他団体に出場できない。

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