ダナ・ホワイト氏の華麗な生活

8月7日付エントリの後半です)

Dana White’s billion-dollar baby (The Boston Globe)


ホワイトの自宅に招き入れられた。巨大な邸宅だ、と言葉にしたところで物足りない。ホワイトがスイッチを入れると、リビングルームの大きなカーテンが開き、プールが姿を現した。ディズニー・リゾートから直送してきたみたいだ。プールには崖もあるし滝に洞窟まである。この分譲地の町内会は、このプールが完成すると同時に、取り壊すよう勧告してきたという。いまでも毎月、2千ドルだか2千5百だかの罰金を支払い続けている。ホワイトが別のスイッチを押すと、滝に水が流れた。「子供のお気に入りなんでね。取り壊すつもりはないよ」

二人の息子、ダナ(9)とアイダン(8)が、発泡スチロールの刀で闘い始めた。ダディも早速、発泡スチロールのヌンチャクを手に参戦したがあっさり敗れ去る。息子たちはすでにMMAの研究を始めている。妻のアンは中学生の頃からの知り合いだ。ソファに腰掛けて、ホワイトの叔父と一緒にテレビを見ている。3歳の娘さん、サバンナは二匹の子犬を追いかけている。ダディが止めに入る。頼んであったピザが届いたので、ホワイトが受け取りに出る。数分後、配達係が、お代を相当にいただきすぎましたと電話をよこす。取っておきなさいとホワイト。では次回サービスしますのでと配達係。

その後もトランプで遊んだりしていたが、ファン・エキスポの設営チェックに行くまで、まだ2時間ほど潰さなければならない。そこで再びレンジ・ローバーを駆って、今度はパラス・ステーションカジノへ。バレーパーキングでホワイトは懐からソフトボール大の百ドル札の塊を取り出すと、一枚皮をむくようにしてチップを手渡した。この週末の間、誰かがホワイトのためにドアを開けたりエレベーターのボタンを押すたびに、私はこの塊から2枚、3枚と皮がむかれていくのを見ていたのであった。

クルマを降りるとき、「俺の二台のフェラーリを見せてやろう」とホワイトが言う。それはカジノの正面に停めてあった。ちょっとほこりをかぶっていた。いつから駐めっぱなしにしているのか、ホワイトもよく覚えていないという。

パラス・ステーションは彼のお気に入りだ。ベガス基準で言えばかなり落ち着いている場所だし、ストリップ大通りからも外れている。ここなら人にもみくちゃにされることなく、静かにカード遊びが出来る。どこに行ってもついてくる取り巻きのファンとも、ホワイトは立ち止まって一人一人とと話をする。どこから来たのかを尋ね、彼らの話を聞いてやる。そのことを取り巻きのファンたちは「フリークアウト」と呼び、夢中になっている。今日のような静かな夜に、カードのテーブルに行くまでのちょっとした合間にも、我々は何度も足止めを食った。

元々ホワイトのボクササイズのクライアントの一人だったサウジー出身のボビー・ムーアが、ホワイトとテーブルをともにする。取り巻きはまだいる。ちょっと不用心だ。試合会場ならボディガードやらアシスタントが付き添っているが、今日のような夜はムーアか自分たちくらいしか、周りにいないからだ。

ホワイトはTシャツにジーンズ姿で、アディダスのガゼルをかけている。サウジー時代にはみんなが掛けていたサングラスだ。最初の一手にホワイトは2万5千を賭けて勝った。ホワイトは私に、人生は実際のところ、単純なもんだよなと語った。自分の仕事をして、子供と過ごして、あとはカードでリラックスする。ただいまは、掛け金が大きくなった。40分後、ホワイトは50万ドルほど負けが込んだが、どうということもないようだった。シンプルな話だ。勝つこともあるし、100万ほど負けたことも何度もある。

「リラックスできるのはこれだけなんだよ、ブラザー」

*****

ホワイトが入場してくると、MGMグランドガーデンアリーナの観衆は大騒ぎになった。黒のトム・フォードのスーツから禿頭がそびえ立ってる。ファンから写真やらサインをねだられ、いつになったら席に着けるのかもわからない。我々はリングサイドのテーブルに陣取った。フェルティータ兄弟が夫婦で来ている。アンもやってきた。ホワイトはTwitterで試合を語り始めた。

やがてホワイトは、シャキール・オニールにメールを打ち始めた。UFCの大ファンで、いつかは自分でも戦ってみたいと明言し、練習も始めている男だ。タイソンとスヌープがハグしてる。ホワイトはサム・ワーシントンに自己紹介をしている。「アバター」に出演していた俳優だ。傍らには電話で遊んだり、スナップショットのポーズを作っているパリス・ヒルトンがいたが、ホワイトは彼女を避けて、スペードやフォレスト・ウィテカー、ウィルマー・ヴァルデラマたちとおしゃべりしている。

アンダーカードが始まって急に現実に引き戻された。オクタゴンからの距離は2フィートばかりしかなく、音が圧倒的なのだ。ローキックの爆発音、グラップリングのブーブーとすれる音、身体がキャンバスにたたきつけられる雷のような音。これぞピュア・ファイト、もっとも原始的な男と男の闘いだ。テーブルの奥ではNFLスター選手のレジー・ブッシュとラリー・フィッツジェラルドがたじろいでいる。でもそんなことは気にしていられない。最強の男は誰なんだろう?

メインイベントの紹介ビデオが始まる頃には、観客はもう気が狂わんばかりだ。シュガー・エバンスとランページ・ジャクソンが大見得を切ってリングに登場する。ホワイトはほかのみんなと同じように立ち上がって興奮している。試合が始まるとエバンスはすぐにジャクソンをぐらつかせた。両選手が我々の真ん前のケージでもつれ合う。白いドレスを着た小柄な女性が、我々のすぐ後ろまで走ってきて大声を上げた。エバンスの奥さんだ。「殴るのよ、ラシャド!」

ホワイトが私の耳元でささやいた。「時速数千マイルで心臓がドキドキしてないか?」私がその通りですと答えるとホワイトは「自分もそうだよ」と語った。


(訳注)この記事で明らかになったダナ・ホワイトの派手なギャンブル嗜好については、これをとがめる論調も見られる。

【レスリング・オブザーバ】
ホワイトのギャンブル癖は公然の秘密だ。ギャンブル自体は問題ではない。彼の住む街では合法な行為だ。カネだってあるんだろう。しかし、40分間で50万ドルも負けても平気だという、その掛け金の大きさは気になる。そのことをレポーターの目前で行い、気にもしていない。セレブによっては、これだけで大スキャンダルになることもあるだろう。そのような額でのギャンブルに対して、敵対勢力はグローブを置こうとはしないだろう。

ブラディエルボー、Michael Rome】
他人が自分で稼いだカネをどう使おうが、私には関わりのないことだ。ただ、それをレポーターに見せるというのは、下品なPRになりかねないので、今後は注意すべきだ。ホワイトが稼いだカネで気前よくチップを支払うことと、ほとんどの選手の生涯賃金より高い金額を一晩で使ってしまうことをアピールすることとは、別のことである。

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