ドミニカン・ズンドコ興行


12月10日にドミニカ共和国で行われた Nemisis Fighting 主催のMMA大会「MMA Global Invasion」が派手なズンドコ大会となった。何が起きていたのか、アメリカに戻った選手からの証言などをまとめる形で、情報が少しづつ出てきている。いくつかの記事をまとめてみた。

●進行係の不在
キース・ジャーディン「第一試合の入場テーマが流れたが、誰も入場してこなかった。実際、最初の選手がアリーナに入場したのは5分後のことだった。バックステージで、入場タイミングを誰も何も言ってくれなかったからだ。入場したらしたで、今度はどちらのコーナーに行けばいいのかわからない。何もかも決められてなかった。」

●タイムキーパー不在、ゴング不在
キース・ジャーディン「第一試合が始まると、なんだか1ラウンド目が永遠に続くんだ。ケージ脇ではちょっとした騒ぎになっていた。ゴングがないのだ。彼らはどこからかホイッスルを探し出してきて、ラウンドの終わりに吹くようになった。」

エリオット・マーシャル「第一試合の1Rは8分間続いた。タイムキーパーがいないんだ。さすがに長すぎると思ったのか、主催者がタオルを投げ込んでラウンドを終わらせていた」

ポール・ブエンテロ「(その後急遽登場した)タイムキーパーは自分の携帯電話で時間を計っていた。彼はもともと警備員か用務員じゃなかったかな。とにかく、タイマー付きの携帯を使ってたんだが、ついでにメールも打ったりしていたよ。ラウンドは5分15秒だったり、4分30秒だったりしてた」とブエンテロ。

●ドクター不在

選手たちは、ドクターらしき人が全くいないことに気がつき始めた。看護士もいない。ただ、絆創膏がたくさん詰まった道具箱を持ってウロウロしている誰かがいただけだった。

エリオット・マーシャル「男が傍らに立っていて、失神KOされた選手が目を覚ますまで頭に水を振りかけていた。それを見た後、自分はあんまりスタンドでは戦わないようにしようと思った。」

●ヌルヌル蔓延

ポール・ブエンテロ「試合開始が遅れたので進行も押していた。ドミニカ出身の選手たちは体中に Icy Hot(訳注:タイガーバーム的な軟膏だと思われる) を塗りたくってウォームアップしていた。で、「Icy Hotを使ってるヤツは誰だ?」って言ってやった。ロッカールームはいやな匂いに満ちていた。マーシャルも「ズルしてんじゃねえ」と言った。

すべてを一人で仕切らざるを得なかったレフリーのマリオ・ヤマサキはドミニカの選手に対して、直ちにシャワーで身体を洗い流さないと試合をさせないと命じた。

●プロモーター逃亡劇

キース・ジャーディン「翌朝10時半頃に朝食に行ったら、プロモーターのティム・フィールズと同じ席になった。何の問題もないかのように、平然と座ってメシを食う神経がわからない。フィールズは今後の試合予定の話をしてくれた。でもそのとき、頭の中では、有り金を持ってどうやって逃げるかを考えていたんだ。

フィールズが、「ちょっと部屋に上がってくるよ。やることもあるし、お金もまとめないと活けない。ここで15分後に会おう」といって出て行った。ところが15分のはずが30分たっても1時間たっても戻ってこない。「あいつら、裏から出て行ったんじゃないか」なんて冗談を言いあっていた。それは冗談でも何でもなかったわけだけど。

選手を待たせたまま、プロモーターたちは実際、ホテルを離れようとしていた。ホテルの部屋もすべてキャンセルされ、多くの選手が宿泊場所を失った。解説の仕事で招かれていたセス・ペトルゼリとマイク・ヴァン・アースデイルも、ホテルによって私物を道に放り出された。ペトルゼリは結局その夜には、ジャーディンの部屋に居候することとなった。

ジャーディンのチームメイト、アイザック・フラッグ選手が、出て行こうとするプロモーターを捕まえていた。

キース・ジャーディン「ヤツらはすっかり荷造りを終えて立ち去ろうとしていた。靴は履いていたが靴下ははいていなかったそうだ。それで街を出ようとしたんだよ。アイザックに捕まったもんだから、ヤツらは選手全員に小切手を切り始めた」

ポール・ブエンテロ「これは本当に換金できるんだろうか・・・と思っていた。プロモーターは、大丈夫、カネはある、みんな素晴らしいとか言っていた。プロモーターは身長160センチくらいの小男で、自分は彼の前に立ちはだかって見下ろし、プレッシャーをかけてやった。

そのあとビーチで楽しんでいた束の間に、同行していたセコンドの一人から電話があった。「悪いニュースと、とてもとても悪いニュースがあるんだけど。まず悪いニュースは、全員がカネは受け取れるわけではなさそうだ。とても悪いニュースは、やつの銀行口座には4000ドルしかないらしい」

ブエンテロはすぐにホテルに戻ってプロモーターに抗議しようとした。部屋に戻ってみると、事態に気がついた選手が自分だけではなかった。ブエンテロが一言発する前に、何人かの選手がプロモーターに飛びかかり、暴力沙汰が巻き起こりそうだった

ポール・ブエンテロ「プエルトリコ人が乱入してきたときにはクレイジーだった。まるで「スカーフェイス」のシーンだった。俺だってすごく怒っていた。プロモーターののど笛を掴んでヒジでも落としてやろうと思っていたんだが、その刹那、身長140センチくらいのプエルトリコ人が割り込んできて、言葉がよくわからなかったんだけど「いますぐぶっ殺す」みたいなことを言っていた。それでしょうがなく、われわれがプロモーターを守ってやったんだ。数千ドルで殺すというのもねえ」

プエルトリコ人はどうやら、観客を300人くらいしか動員出来なかったことにも腹を立てていた。

ポール・ブエンテロ「プエルトリコ人がぶち切れていたのは、どうも幾ばくかのカネを受け取って、プエルトリコのジムからケージを借りてきて運搬したのだが、会場が支払いを受けていなかったので、持ち込むことができなかったという経緯があったらしい。そこからすべてが始まっていたみたいだ」

この時点で選手は、いったん小切手を受け取って帰路についたが、不渡りとなり、現金化できなかった。プロモーターは逃亡している。


●インターネットPPVは放置プレイ

大会ウェッブサイトには、インターネットPPV生中継と書いてあったが、中継予定日は大会後の3日後になっていた。結局中継は行われておらず、いまのところ、「中継開始日は追ってお知らせします」と書かれている。


●キース・ジャーディン、対応に奔走

ニューメキシコに戻って以来、キース・ジャーディンはマネージャと、PPVで流す予定になっているこの大会の映像権利の確保に奔走している。選手に少しでも売り上げを分配しようとしているのだ。

その件でシークレット・サービスに捜査を依頼した。起訴することは非常に簡単だろうと言うことだった。

選手の中には、ジャーディンが出場するなら自分も出場しようと思った者もいた。マネージャが「キースは出るんだよね?」と何回も聞かれていたからだ。なんだか悪いことをしたような気がする。それで、いまできるかぎり、試合映像の製作権とPPV売り上げを確保して、選手に還元しようとしているんだよ。

(出所)
Dominican Disaster (Sherdog)

The Road to Nowhere: Fighters Detail Disastrous Nemesis Fighting Show in the Dominican Republic (MMA Weekly)

Keith Jardine Documents Corruption At Nemesis Fighting, U.S. Secret Service Involved (MMA Weekly)

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ハーシェル・ウォーカーが、プロフットボーラー時代の経験も踏まえた上で、MMA選手にも労働組合が必要だと論じている

MMAプロモーターはよく稼いでいるのだから、早かれ遅かれ、選手もそうなるべきだ。すでにまずまずの報酬を得ている者もいるが、大金とまでは言えない。UFCの契約書の書き方を見ていると、早晩、選手の労働組合が必要になってくると思う。

もちろん自分はUFCの懐具合は知らない。でもあの稼ぎっぷりを眺めていれば、組合を結成してはいけないとは言えないだろう。プロで4~5戦した選手は、組合に所属すべきだ。労働組合は一種の保険になる。今は存在しないような特典も受け取れる。どうしてそうならないのかわからない。



組合が出来ると少々困るであろうロレンゾ・フェルティータはかつてこのような発言をしていた。

UFCには果たすべき役割がない。賛成だとも反対だとも言う立場にはない。これは完全に選手の問題だ。

ほかのスポーツと格闘技とで少し違うのは、格闘技は個人競技だということだ。各人それぞれが違ったニーズやモチベーションを持っている。チャック・リデルのような選手にとって都合のいいことだからといって、ポール・ケリーといった若手選手にとってもいいことだとは限らない。



ご意見番マット・リンドランドはかつてこうコメントしていた。

トップ選手が参画しない限り、うまくいかないだろう。選手というのは座敷芸者のようなもので、カネのいいところに流れるだけなんだ。全員の同意がないと組合結成は難しいし、やろうとしても水面下で反対する勢力が必ず現れる。

労働組合が欲しいという声は多いのだが、ケージの外に出ると選手は臆病なもので、権力者に立ち向かおうとはしないんだよ。

現役でいられる時間には限りがある。その期間で出来る限り稼ごうと思えば、業界の政治に巻き込まれようとは誰も思わないんだろう。



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亀田興毅 def アレクサンデル・ムニョス(ユナニマス・デシジョン)

ヒールとはいえピープルズ・チャンピオンだと思っていた興毅選手であったが、この試合などを見ている限り、ずいぶん玄人っぽくなったなあという印象が残った。凄くなっていくんだなあと、頼もしいような寂しいような。

アレクサンデル・ムニョスの試合ぶりはどことなくレナード・ガルシアのようであり、そう思えば亀田はナム・ファンのようでもあった。UFCを見慣れた目には、手数が多くて派手に振り回している方が、スコアを取ってしまったりすることが多いので、判定はどうなることかとドキドキした。ボクシングではあれで問題にはならんのですよね?

ゴールデンタイム中継で3兄弟がそろって勝つというのも、たいしたものというか、うまくいくものである。興毅はこれで、長谷川が2階級を制した直後に3階級を制したことになる。テレビ的には、裏番組にフィギュアスケートとM-1があったりして、見る方も大変だったけどやる方はもっとたいへんだっただろうと思う。生中継は30分延長されていた。流すべきCMも底を突いていたようだった。こういうのはきっと数字的にはプラスになるんだろうと思う。

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