ヒョードルの視線はサイコパスと同じ【心理学者が分析】


1月29日 Strikeforce: Diaz vs. Cyborg に約一年ぶりに登場するハーシェル・ウォーカーのインタビューが Yahoo! Sports にあった。抄訳する。



80年代のフットボール・レジェンドであり、経営者でもあり、疑いもなく最高の偉業を成し遂げたアスリートでもあるハーシェル・ウォーカーは、常宿としているフェアマウントホテルの部屋で毎朝4時半に起床し、朝食前に6キロばかり走る。

その後、プッシュアップとシットアップを数え切れないほどこなし、サンホセのアメリカン・キックボクシング・アカデミーに、1回目の練習に出向く。

毎週月水金、ハングリーで若い成長株や、レスナー戦を控えたUFCヘビー級王者ケイン・ベラスケスのような火を噴くような戦闘マシーンとのスパーリングを行う。

1回目の練習が終わると、会社関係の電話応対におわれる。ウォーカーは、マイノリティが所有する食品企業としてはアメリカ有数の「ルネサンスマン・フードサービス」のオーナーなのだ。最近はフルタイム経営者としての仕事からは距離を置いてきた。過去15ヶ月のほとんどを、そして去年の7月以降はずっと、サンホセですごしているからだ。

それが済むとウォーカーはここで、この日の最初で最後の食事を取る。夕食に並ぶのは、パンとスープ。ときどきチキンが出るが、肉の赤身や魚はとらない。そのあと、AKAでの2回目の練習に参加する。

通常午前1時頃に就寝するまえには、またプッシュアップとシットアップを行う。目が覚めると、翌日も同じことの繰り返しだ。

MMA的ライフスタイルをすごしているジムのほかの選手であれば、名声を得たいとか、お金を稼ぎたいとか、チャンピオンになりたいと考えるだろうが、ハーシェル・ウォーカーがいったい何に駆り立てられているのかは想像しにくい。

「私はスポーツやトレーニングが好きなんだ。ジムの選手たちは、世界中のどんなアスリートとも変わらないくらい、熱心に取り組んでいるよ。私はMMAの成長のお手伝いをしたい。もし私の試合を見てくれるひとがいるなら、その人をMMAファンにできるかもしれない」

無名のグレッグ・ナジに3ラウンドTKO勝ちした、昨年1月30日にマイアミで行われたウォーカーのデビュー戦は、プロモーターにとっては大成功だった。大会自体には一般受けするメインイベントもなかったのに、Showtime史上、3番目に多くの人が見た試合となったのである。

ウォーカーの練習を見ていると、まるで彼が「若さの泉」でも発見したのではないかという気がしてくる。でもウォーカーは、こんなライフスタイルは他人には勧められないという。

「私はもうこんな生活が長いからね。もう何年たつのかすら分からないよ」

ウォーカーは3月3日で49歳になる。メジャー大会で戦う総合格闘家としては最年長となる。唯一、MMA黎明期のUFC4で、ホイス・グレイシーと戦って敗れたロン・ヴァン・クリフが51歳だった。

日課としているプッシュアップとシットアップは、17歳の頃から一日も欠かしていないはずだとウォーカーは言う。体重は、カレッジ・フットボーラーだった頃から30年間、1~2キロ程度しかぶれていない。

ウォーカーは陸上でも世界レベルだったし、ボブスレーでオリンピックに出場したこともある。ABCテレビが製作した十種競技大会では、さまざまな分野の現役アスリートたちを制して、2度優勝した。

次の試合でウォーカーは、新しいテクニックを見せてくれるかもしれない。

「(10年以上取り組んできた)テコンドーは忘れろと、カン・リーに言われたんだ。MMAでは使えないことが多いそうだ。でもかわりに、使える技術を教えてくれた」


ウォーカーはグローブを置いた後にも、総合格闘技に貢献をしていきたいと考えている。フットボール時代の経験を踏まえて、MMA選手を組織化し、保険を加入できるようにしたいそうだ。また、ESPNの解説者として、MMAやフットボールを語っていきたいとも考えている。ウォーカーはまた、メジャー団体と契約しながら、なかなか試合を組んでもらえない選手の窮状にも同情している。「契約してもらえるくらいの選手なら、試合を定期的に組んでもらうべきだし、そうでないならほかの場所で戦えるようにすべきだね」

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1月7日のストライクフォース・チャレンジャーズ大会で勝利した選手の中に、ラーディ・ファーガソン博士という選手がいる (Dr. Rhadi Ferguson)。オリンピック出場経験があり、柔道とブラジリアン柔術の黒帯を持ち、教育学で博士号を持ち、カリスマ・スピリチュアル・スピーカーとしても活躍中という、35歳のインテリである。

Q ご自身のMMAチームに、スピリチュアル・アドバイザーを参加させていますね。

A 週に何回も祈りの時間を持つ。アドバイザーは自分を集中させてくれたり、朗読すべき聖書の箇所を示してくれ、毎朝祈りの時間を設けてくれる。トレーニング・プログラムの一環というだけでなく、人生にとって必要なことなんだ。

ときに、みんなが僕の名前を叫んでくれていたり、グーグル検索すると自分のことを等身大以上に思ってしまうことがある。でも実際には、僕はほかのみんなと何も変わらない。謙虚でいなければならないし、足元のことをわすれてはいけない。周囲の人たちの助けが必要になるんだ。

Q フットボール出身のハーシェル・ウォーカーが若い選手のテレビ枠を奪っているという批判もあります。

A ばかばかしい議論だ。ある人の試合がテレビにのらないのは、彼が奪っているからではない。彼は他の人と同じように、勝ち取ったんだ。

レスリングだろうが柔道だろうがフットボールだろうが、それらのスポーツはすべて、時空間に対する理解と、速度の遂行が必要になる。全部一緒なんだ。孫子の「兵法」を理解していない人は、カンフーだ、空手だ、柔道だと言った最終的な姿しか見ようとしない。アートの根本を見ようとしないんだ。根本は「兵法」にあるんだよ。

Q おもしろい考え方です

A おもしろいだけじゃない。研究者にとって、これが唯一の考え方なんだよ。学者兼実践家になれば、こんな風にこのスポーツへの理解が深まっていく。深まったからと言って勝てる訳じゃないけどね。

Q あなたは、ケビン・ファーガソン(=キンボ・スライス)の親戚だとか。

A そうだね。共通の叔母に紹介されたことがあるよ。でも個人的にはよく知らない。うちの家系はバハマの小さな島なんだけど、キンボはバハマで生まれた。自分は2世のアメリカ人だ。



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「格闘技に脅しは有効か」という記事が MMA Mania に掲載されていた。この中から、ヒョードルに関する記述を抄訳。


控えめに言って、ヒョードルは威嚇的な人物だ。

マイク・タイソンのような鋭い言葉は持たないし、活気のある人でもない。ヒョードルはただただ冷静で、集中している。そして誰もが、それは嵐の前の静けさであることを知っている。ヒョードル自身は平穏な人なのであり、目の前の仕事以外には何の関心も示さないように見える。試合がはじまるとヒョードルは絶対的に凶暴で容赦がなくなる。

・・・ファイトの容赦のなさだけではなく、威嚇的なのはヒョードルの態度である。Fighters Only 誌であるスポーツ・サイコロジストがこう語っている。

ステアダウンで最強なのはヒョードルである。ヒョードルは視線を合わせない。そして表情はきわめてリラックスしている。これからバレーでも踊るのかと思うほどである。そして分岐点が訪れる。レフリーが「コーナーに戻れ」と告げたとき、ヒョードルは突如、鋭い視線を対戦相手に向ける。というより、対戦相手を突き刺してその奥をみていると言うべきか。このような視線は通常、異常行動者やサイコパスにみられるものだ。あなたのことをみているのではない。あなたを通してみているのだ。感情のない視線が肌を突き抜ける。あんな視線で射られると、多くの選手が、この場にいるべきではなかったことに気づくことだろう。ヴァンダレイ・シウバの視線は、「おまえを痛めつけてやる」と語っている。ヒョードルの視線は、「俺、死ぬかも」と思わせる。



2009年11月にヒョードルにKOされたブレット・ロジャーズはこう語っている。

これまで生きてきて、あんなに脅かされたことはなかった。ステアダウンのとき、自分はヒョードルの瞳をのぞき込んでみたが、そこには何も写ってはいなかった。まるで洞穴でものぞき込んでいるようだった。そのことに自分はすっかりおびえてしまったんだ。




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